「みなし残業代」とは、固定残業制や定額残業制などとも言われますが、あらかじめ一定時間数の残業代を設定しておいて、実際の残業時間にかかわらず、定額の残業代を支払うという制度です。
実際の残業時間が、設定された残業時間を下回っても、従業員は「みなし残業代」を受け取ることができ、また逆に、「みなし残業代」として設定された一定時間数の残業時間を超えて残業をした場合は、「みなし残業代」以外に残業代を請求することができます。
この「みなし残業代」設定に関しては、給料を減額する不利益変更となる可能性があります。
たとえば、1日8時間、月20日働いており、基本給が18万円だとします。そうすると、変更前の時間給は
180,000円(基本給)÷(8×20)=1,125円(時間給)
ということになり、残業1時間ごとに約1,406円の給料が発生していたことになります。 (法定労働時間を参照)
これを、基本給160,000円、みなし残業代20,000円に変更したとします。すると、時間給は
160,000(基本給)÷(8×20,000)=1,000円(時間給)
となり、残業代は時間給の25%増しなので、1時間で1,250円ということになります。
「みなし残業代」(固定残業制)というのは、日常的に残業が行われている職場において残業代を固定で支払う、というものです。 すると、この事例では
20,000÷1,250=16(時間)
なので、16時間分の残業代はすでに支払っているということになります。 したがって、月の残業時間が16時間を超えた場合に初めて別途残業代が支払われることになります。 そして、その額は上記のとおり、以前より少ない1時間当たり1,250円で計算されることになります。 このように、残業をする場合には、不利益となります。
なお、このような新たな「みなし残業代」設定に関しては、不利益変更が有効となるためには高度の必要性に基づいた合理性が必要になりますので、 会社の言い分が認められない可能性も十分にあります。
なお、「みなし残業代・手当」設定自体が違法なのではないと考えられています(各種裁判例)。
残業代の計算方法については、みなし残業制(固定残業制)で月30時間・40時間・50時間の場合の残業代計算方法もご覧ください。
こちらも合わせてご覧ください【コラム「そこが知りたい!残業代請求」】
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-
A
時間制とは、労働時間を月単位もしくは年単位で調整することで、一定期間内の所定労働時間が40時間を超えてもに時間外労働として扱わなくもよいとする労働時間制度です。
変形労働時間制の場合でも、所定労働時間を超えた(時間…
- 運送業・長距離トラック運転手ですが、夜中なども運転するのですが、タイムカードなどはありません。残業代は請求できますか。また、どのように計算するのでしょう。
- A
残業代請求をする場合、請求する側が勤務時間を証明する必要がありますので、その証拠としてタイムカードは非常に有効です。もっとも、タイムカードがないからといって残業代請求ができないわけではありません。
過去の…
- 残業代の不払いは犯罪にはならないのですか?
- A
会社は、法律上、法定労働時間を超える労働に対して残業代を支払う義務があります。そのため、残業代が発生しているのに支払わないのは原則的に違法となります。
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- A
「事業場外みなし労働時間制」の適用にあたっては、「労働時間を算定し難い」ことを満たす必要があります。この要件については、従業員が会社に対し、出退勤やスケジュールの連絡、報告を何らしていなかった場合には、会社が従業員の労働時間を管理する…
- 自分が請求できる未払いの残業代はどのようにして計算したらよいですか。
- A
会社から残業代が基本給に組み込まれているため、支払わないと言われました。残業代はもらえないのでしょうか?残業代計算については、ウェブ上で公開されている残業代計算ソフトやシミュレーションを使用し、計算することができます。
Q残業代- A
もらえる可能性が高いです。
会社の言い分が通るには、就業規則において、基本給と残業代が区別されて記載されていること及び残業代にあたる部分が法定の計算以上であることが必要です。
まずは、就業規則を確認しまし…- 美容院に勤めていますが、残業がかなり多いのにも関わらず、出勤日はすべて定時で記録されていました。このような場合、残業代請求はできないのでしょうか。
- A
タイムカード等に正確な勤務時間が記録されていない場合、それ以外の証拠によって、実際の勤務時間を証明できれば残業代を請求できます。
それ以外の証拠には、パソコンのログデータ、メールの送受信時間の記録、手帳のメモ…
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- A
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午後10時から翌朝の午前5時までの間に法定労働時間の範囲を超えて労働する深夜残…
- 残業代は誰にでも発生するのですか?
- A
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労働基準法上の「労働者」とは、他人のために労務を提供しその対価である賃金等を得て生活する者をいいます。
そして、一般的な指揮監督を受ける場合には、これに当たると考えら…- 採用時に残業代は払わないと言われています。残業代を請求することはできますか?
- A
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