- ゲーム・ソシャゲの課金の仕組みは射幸心を煽る仕組みになっており、スマートフォンの普及で過度の課金により返済不能になっている案件が急増中
- 浪費行為は破産手続きで免責されない「免責不許可事由」に該当する
- 裁量免責がされれば免責される
【Cross Talk】スマートフォンを使っていてゲーム・ソシャゲで課金しすぎて払えなくなった!自己破産できる?
スマートフォンでゲームをしているのですが、強くなりたくてついつい課金しすぎてしまって、払えなくなって消費者金融から借りて課金…ってことを繰り返しているうちに払えなくなってしまいました。自己破産するにあたって問題はありますか?
ゲームでの課金は免責不許可事由にあたる可能性が高いですが、誠実に破産手続きに協力すれば裁量免責という形で免責されることが多いですし、もし何らかの事情があって裁量免責が認められることが難しい場合であっても任意整理や個人再生の利用により救済される可能性があります。
スマートフォンの普及によって、インターネットを利用したゲーム、いわゆるソシャゲといわれるものを楽しむ人が増えました。このようなゲームにはレアアイテムや自分のキャラクター強化のために課金をするガチャというシステムがあり、大いに射幸心を煽る仕組みになっています。
その課金のために債務整理が必要になるほど借金をしてしまう人が急増しています。これらはキャバクラやギャンブルで借入を増やした場合と同じく免責不許可事由とされていますが、実際には、裁量免責という制度により免責してもらえる場合が多いといえます。仮に免責が認められないとしても、任意整理や個人再生が利用できますので、諦めずに弁護士に相談しましょう。
ゲーム・ソシャゲ課金をするまでの経緯とその後の結果
- インターネット上で遊べるいわゆるソシャゲがスマートフォンの普及で気軽に遊べるようになった
- ガチャのシステムは射幸心を煽るもので、実際に返済できないほどの借金をしてまで課金している人がいて、このような人は債務整理を行っている
お恥ずかしい話なのですが、スマートフォンでソシャゲにハマってしまい、借金しながら課金をしてしまい、返済ができなくなっています。私のような課金で債務整理が必要になるような人ってなかなかいないですよね?
いいえ、ガチャのシステムは射幸心を煽るもので、かなりの人が課金に大金をつぎ込んでいます。その結果債務整理が必要になる人も実は増えているんですよ。
ゲームというと、家庭用ゲーム機と専用ソフトを購入して遊ぶというイメージがある人もいらっしゃるかもしれませんが、最近ではスマートフォンの普及によりソーシャルゲーム(通称:ソシャゲ)を楽しむ人が急増しています。
ソシャゲの仕組み
ソシャゲ(ソーシャルゲーム)とは、インターネットを介して他のユーザーと遊ぶゲームです。
基本的には無料で遊ぶことができます。
ゲームを有利に進めるにあたって欠かせないアイテムや、自分のキャラクターを強化するためのアイテムを獲得するために「ガチャ」をする必要があります。
ガチャとは、ゲーム内で使用するアイテムをランダムで手に入れることができるシステムで、ゲーム内の条件を満たしてすることもできますが、よりレアなアイテムを手に入れるためには課金をしなければならないものもあります。
どうしてガチャで過度な課金がされるのか
ガチャは1回だと数百円程度のもので、すこしやりすぎたからといって、それ自体は多重債務を引き起こすものではありません。
しかし、希望のアイテムを必ず手に入れることができるわけではなく、レア度の高いアイテムを手に入れるためには数万~数十万円程度の課金が必要な場合もあります。
近所で同じゲームをしていたり、SNSなどを通じて同じゲームで多数の仲間ができることがあります。
また人気のゲームですと、高額な賞金が手に入る大会が開催されていたり、ゲーム実況動画の配信をしているなどして、ゲーム仲間で大きなコミュニティができあがることがあります。
「より強くなりたい」
「レア度の高いアイテムを見せびらかしたい」
といった動機から、課金に歯止めがかからなくなることは珍しくありません。
課金をするときには、プリペイドカードを利用するほか、クレジットカードを使ったり、携帯電話の支払いと一緒に精算することも可能です。多様な支払方法に対応しており、利用しやすくなっています。
その結果ついつい利用しすぎることが非常に増えています。
クレジットカードの請求額が数十万円に上っていて、リボ払いに変更するということなどから、どんどん多重債務にのめりこんで、ついには債務整理となるのです。
課金をしないようにする方法
- 未成年者の場合には年齢認証を必ずする
- ルールとしてプリペイドカードしか使わない
- ソシャゲではなく家庭用ゲーム機で遊ぶ
怖いですね。課金をしないようにするためにはどのような対応策がありますか?
過度な課金を抑制する方法と、そもそも課金をしない方法を考えてみましょう。
ソシャゲへの課金で借金地獄にならないための方法を検討しましょう。
未成年者の場合には年齢認証をする
ソシャゲには課金の際に年齢認証があり、年齢によって課金できる額の上限が決められています。
子どものソシャゲへの課金を防ぎたい、未成年者なので過度な課金をしないようにしたい、というのであれば、ゲームの年齢認証を行い、過度な課金を防ぐことが可能となっています。
プリペイドカードの利用しかしない
度が超えた課金は、クレジットカード・キャリア払いなど、金額を気にしないであとから払えるものを利用する方がおこないがちです。
ソシャゲを楽しむ場合には、絶対にプリペイドカードでしか払わないというルールを作っておけば、過度な課金は避けられるでしょう。
家庭用ゲーム機で遊べるもののみで遊ぶ
ソシャゲは、ずっと課金をしつづけることが必要です。
それに比べて、家庭用ゲーム機で遊べるものについては、本体とソフトのみで遊ぶことが可能です。
インターネット接続するものについては、接続する期間費用はかかりますが、例えば Nintendo Switchでインターネット接続のゲームを遊ぶ場合でも、年間2,400円で利用可能です。
ソシャゲでついクレジットカードを使ってしまう、という方は、家庭用ゲームしか使わないことも、借金を増やさない対策となるでしょう。
すでに課金をして借金ができてしまった場合の対処法
- 免責不許可事由があっても裁量免責により自己破産ができる
- 自己破産ができない場合でも任意整理・個人再生の利用が考えられる
では、私のようにソシャゲ課金で借金を作ったケースだともう債務整理は難しいでしょうか。
自己破産をする場合には免責不許可事由にあたります。ただ免責不許可事由がある場合でも「裁量免責」という制度がありますし、自己破産ができない場合でも個人再生・任意整理の利用が検討できます。
ソシャゲでした借金がある場合には債務整理で対応しましょう。
債務整理とは
債務整理とは、借金返済に困っている場合に、借金問題を法的に解決する手段です。
その人の借金の額と返済能力次第で以下の3つの方法の中から適したものをえらびます。
ただ、自己破産をする場合には注意が必要です。
任意整理
任意整理とは、裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法です。
奨学金のような連帯保証人がいるような債務がある場合に、避けて債務整理をすることができる自由度の高い債務整理方法です。
一方で、長期の分割にはなるものの元金の返済は必ずしなければなりませんので、返済できる能力が必要となります。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申立をして、借金を免除してもらう債務整理の方法です。
借金をしすぎて支払不能となった場合に利用でき、借金を免除してもらうことができる制度です。
しかし、ソシャゲで課金したような自業自得の借金の場合に免責をしてもらえるのでしょうか。
ソシャゲで課金をしたような浪費が借金の原因になっていることは、破産法上、免責不許可事由とされています(破産法252条1項4号)。この免責不許可事由に当たる場合は、免責されないのが法律上の原則です。つまり、浪費が借金の原因の場合、免責されないのが原則です。
最初はソシャゲで作った借金だったけども、途中から生活費や他の返済のためにも使うようになったという場合でもこれに該当する場合があります。
ただ、免責不許可事由がある場合でも、手続きへの真摯な参加やその後の反省などを踏まえて相当と裁判所が認めるときは、裁判所の裁量で免責をすることが可能です(破産法252条2項:裁量免責)。
現実には、浪費が借金の原因でも、この裁量免責によって免責されるケースも多くあります。
ですから、ソシャゲで借金をつくって返済できなくなったからといって、諦めずに相談をしましょう。
個人再生
個人再生は、裁判所に申立をして、借金を減額してもらって分割返済していく手続きです。
任意整理で返済できないほどの債務を負った場合には、自己破産をすることになります。
しかし、住宅ローンで住宅を購入したような場合には、住宅を失うことになります。
また、自己破産をすると、宅建士・保険募集人・警備員など一定の職業につけなくなります。
このような場合には個人再生を利用することもあります。
個人再生を利用すると、住宅ローンは従来どおり返済することが可能なので、住宅を失いません。
また、自己破産をするわけではないので、自己破産で仕事が制限されてしまう職種の方でも利用できます。
まとめ
このページでは、ゲーム・ソシャゲへの課金で自己破産手続きが利用できるのかどうか、についてお伝えしてきました。
ゲーム・ソシャゲへの課金が原因で借金を返済できない人は増えてきているのですが、このような借金自己破産をする際には浪費と評価され、免責不許可事由にあたります。
とはいえ、債務整理手続きが何もできないものではありません。破産の場合も裁量免責により免責される可能性もありますので、諦めずに弁護士に相談するなどして対応することをおすすめします。