- 任意整理をしようとしている債務者に裁判を起こすメリットがある
- そのため任意整理をしようとしている債務者も訴えられる可能性はある
- 専門家にありとあらゆる事を話すのが貸金業者に訴えられない最善の方法
【Cross Talk】任意整理するのに訴えられるって本当!?
借金返済が思うようにいっておらず延滞してしまっているので任意整理をして訴えられるのを回避したいです。
任意整理をしたからと言って確実に訴訟をされるのを防ぐことはできませんが、訴えられるポイントはいくつかあるので、債務整理の相談の際に弁護士にきちんと状況を話してください。
裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法である任意整理は、支払っていくことを前提に債権者と交渉をするものです。
支払い方法について交渉するのだから訴えられるような事はないだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には訴訟に発展することもあります。
ただ、裁判を起こされるポイントは限られており、債務整理の経験が豊富な弁護士がその情報を知っていれば適切な対処をすることもできるかもしれません。訴えられたくない!という場合に知っておくべきことをチェックしてください。
任意整理をしているにもかかわらず訴えるのはなぜか
- 支払いの交渉をするための任意整理をする場合でも訴えるメリットがある
- 回収をするという目的だけではない
そもそも任意整理って支払っていきます、という手続きなのに、なぜ貸金業者が裁判をするのですか?そもそも差押えをするようなものすら手元にはないんですが。
裁判をして給与を差し押さえて回収をするという意図もあると思いますが、場合によっては裁判を起こした上で執行ができないということを証明すれば債務について貸倒償却という処理ができ、貸金業者や金融機関において税務・会計上のメリットがあるためです。
裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法である任意整理をする方の動機としては「払えないからと言って訴えられたくない」という意識があるかもしれません。
任意整理をすると、返済をストップすることができる上に、督促を受けなくなるというメリットがあると説明されるため、訴えられることもないと考える方も多いのです。
しかし、任意整理を弁護士に依頼しても貸金業者は裁判を起こすことを禁止されておらず、実際に裁判を起こすことがあります。
裁判を起こす動機としては、まず、債権を回収するためというものがあり、そのために裁判をした上で勝訴判決をもらって強制執行を行います。
日々の支払いにすら窮している状態で強制執行されるようなものはない…と思うかもしれませんが、勤務をしている方であれば給与の一部が強制執行の対象になります。
またもう一つの動機としては、回収ができない債権についてはなるべく会計上の貸倒償却という処理をしたいというものがあります。
回収ができない債権は不良債権となるので、そのような債権を大量に抱えていることは、場合によっては金融庁の指導の対象になる可能性があるなど望ましくないことがあります。
また貸倒償却をすれば、税務・会計上良い効果を得ることもできます。
この貸倒償却を行うためには、債務者が自己破産をするか、貸金業者が回収のための裁判を起こしたものの勝訴判決を得ても回収できなかったと証明できる場合(執行不能調書によって証明する)でなければなりません。
債務者が返済もしない、自己破産をするでもない、というときには裁判を起こすしか貸倒償却する方法がない、という状態なのです。
任意整理で訴えられるパターン3選
- 任意整理をして訴えられるパターンがある
任意整理をしても訴えてくるかもしれないのであれば、安心して任意整理ができませんね。
いえ、任意整理をしている最中に訴えてくる場合にはパターンがあるので、それを知っておけば訴訟はかなり避けられます。
任意整理をしても裁判を起こされるという事であれば安心して任意整理に取り組めない…という心配をする方もいらっしゃるかと思いますが、実際は任意整理をしている最中に訴えられる場合には主に3つのパターンがあります。
任意整理に着手したにもかかわらず長期間たっている
パターンの一つは、弁護士に任意整理を依頼したにもかかわらず、長期間たっても実際の支払い交渉がはじまらない場合です。
任意整理を依頼した直後は、取引の履歴の送付や計算などで時間がかりますし、大半の依頼者は弁護士費用を分割払いにするので、その支払いが終わるまでは貸金業者と和解交渉を行いません。
ですので、弁護士費用の支払いが遅れていたり、仮に支払い自体は行っていても本人と連絡が取れなくなっている、依頼者が交渉で一切譲る気がない、というような場合には貸金業者との交渉開始や、交渉の進行がどんどん遅れてきます。
このような場合には、貸金業者としても支払う意思がないとみなして、訴訟を起こさざるを得ないということになります。
なお、弁護士が裁判を代理してくれることになるのですが、支払い義務を免れるものではない以上、貸金業者の請求を退けてもらって借金を無くしてもらうということは基本的にできません。
時効が近い
時効というと刑事事件のイメージがあるかもしれませんが、民事にも消滅時効というものがあり、債権も行使しなければ時効により消滅することになっています。
もっとも、裁判をすれば、債権を行使したと評価され、時効は完成しません。
そこで、貸金業者や金融機関は、債権保全の観点から裁判をすることがあります。
このような場合には、時効が近い会社に対してのみ先に任意整理交渉をするなどで対応します。
そもそも貸金業者に任意整理に協力する意思がない
実は貸金業者の中には任意整理に協力する意思がない会社があります。
そのような会社と任意整理の交渉に入ると、すぐに訴訟を起こしてきます。
このような会社から借入をしている場合には、任意整理を行わず従来通り支払いをしていくことで訴訟をされないようにするのが一般的です。
貸金業者に訴えられる可能性を少しでも減らすためには
- 債務整理の経験が豊富な弁護士であれば貸金業者が訴訟を起こすパターンを知っている
- 法律相談の段階でなるべく正直に話をする
裁判をするのにパターンがあることはわかりましたが、実際にそのようなパターンに陥らないためにはどうすればよいのでしょうか。
債務整理問題を理解している弁護士であれば、裁判を起こされるパターンを理解しているのですが、依頼者が本当の事を言わないために裁判を起こされるに至っていることがほとんどです。
法律相談の段階できちんとありのままを伝えるようにすれば裁判を起こされる可能性は大幅に減るといえます。
以上で触れたように、任意整理をしても訴えられる場合にはパターンがあり、弁護士はそのようなパターンをきちんと知っています。
にもかかわらず裁判を起こされるのは、弁護士が判断に必要な情報が依頼者から伝えられていないということがあります。
また、法律相談の段階で毎月弁護士費用の支払いができるとしていたのに実際にはその金額の支払いができなかったというような事によるものもあります。
法律相談の段階で、正直に弁護士に話し、事情が変わった場合にも弁護士にすぐに知らせるようにして、訴訟をされないようにしましょう。
まとめ
このページでは任意整理をするにあたって訴訟をされる場合についてお伝えしてきました。任意整理をしても裁判をされる可能性があり、裁判を起こされる場合にはパターンがあります。
弁護士とよくコミュニケーションをとって裁判を起こされないようにうまく対応していきましょう。