新型コロナウイルスによる自粛のせいで借金が返せない場合にはどうすればよいか
ざっくりポイント
  • 新型コロナウイルスによる自粛で失った収入を補てんする方法
  • 新型コロナウイルスによる自粛のせいで借金返済ができない時に受けられる措置
  • 適切な債務整理方法

目次

【Cross Talk】新型コロナウイルスの影響で仕事ができなくて借金が返済できない!どうすれば?

私は東京に住んでいるのですが、新型コロナウイルス対策のための自粛により、仕事場が閉鎖され私たちも自宅待機になっています。
この先のことがどうなるかわからない状況で借金の返済ができなくなりそうです。

収入をどうするかという観点と、借金をどうするかという観点から対策を練るべきです。未曾有の事態に対応するために是非弁護士を利用してください。

詳しく教えてください。

新型コロナウイルス対策のための自粛により影響を受けた人が借金を支払えなくなっている場合にはどうすればよいか?

2020年に流行している新型コロナウイルス対策のための自粛によって仕事場が閉鎖されたり倒産してしまった場合に、借金が返済できなくなることが考えられます。
国でも様々な対策を講じているのですが給付金などがいつ手元に届くかは不明瞭で、かつそれがどの程度生活保証になるのかは不明です。現状どのような給付が受けられる又は受けられる予定なのかという事と、借金をどうするのか、という事を併せて確認をしておきましょう。

新型コロナウイルス対策のための自粛によって失った収入を補てんするためには

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 新型コロナウイルス対策のための自粛による収入減対策
  • 元からこのような状況に対応するための対策

新型コロナウイルス対策のための自粛によって収入が減った又は無くなったような場合にはどのような補てんが受けられるのでしょうか。

元から経済的な危機に対応する制度もありますし、新型コロナウイルス対策で用意された給付金のようなものもありますので確認しましょう。

まず、新型コロナウイルス対策のための自粛などによって収入が減ったり、倒産・廃業によって職を失った場合にはどのような補てんを受けることができるのでしょうか。

10万円の特別定額給付金(仮称)は現在運用のための調整中

まず、国民の誰もが受けることができる10万円の給付は「特別定額給付金」という仮称で現在運用に向けてすすめられています。
申請先は住民基本台帳がある市区町村で郵送またはオンライン申請によって行うことができます。
総務省:特別定額給付金(仮称)のホームページ

小学校等の臨時休業に対応する保護者支援

新型コロナウイルスの影響で小学校等が閉鎖されている影響から、仕事をすることができなかった個人事業主に対して、1日あたり4,100円の給付がされます。
この制度は個人事業主として業務委託契約を結んでいる人を対象とした給付制度となるので注意しましょう。
総務省:新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金

「子育て世帯への臨時特別給付金」については内閣府が検討中

児童手当を受給している世帯に対して、児童1人あたりにつき1万円を支給する子育て世代への臨時特別給付金が現在検討されています。
詳細は内閣府から発表される予定です。
参考:内閣府
 

持続化給付金

2019年以前から事業所得がある中小の株式会社・個人事業主が新型コロナウイルス対策ための自粛で収入を得られなくなっている場合には、法人で最大200万円・個人で最大100万円の持続化給付金を受けることができます。

傷病手当金

もし、新型コロナウイルスに感染して治療のために入院したような場合には、公的健康保険の被保険者であれば傷病手当金を受け取ることができます。
連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなければ給与の2/3に相当する額が支給される制度で、自宅療養についても支給対象となることが厚生労働省からも発表されています。
参考:厚生労働省

失業手当

新型コロナウイルス対策のための自粛が原因で、事業主が廃業を決定したり、倒産により職業を失った場合には、失業手当を受け取ることができます。
自己都合退職をしたような場合には3ヶ月の待期期間があるのですが、事業主の廃業や倒産などの特定受給資格者については7日の待期期間のみで良いとされています。

住宅確保給付金

新型コロナウイルス対策によって離職して住居を失ったような場合や、失いかねないような場合に、家賃を支払うためのお金を給付してもらうことができるのが住宅確保給付金です。
離職2年以内の人が受けられるとするものだったのですが、4月20日以降は離職・廃業と同程度の状況にあると判断できる人に対して拡大して給付がされることになっています。
参照:厚生労働省
 

休業手当

労働基準法26条は、会社都合によって労働者が休業した場合、平均賃金の6割以上の休業手当を受け取ることができるとしています。
新型コロナウイルス退職のための自粛要請はあくまで要請ではあるものの、これによる自主休業も対象となります。

奨学金

大学等に在籍している人で、新型コロナウイルスの感染症による感染症を受けて家計が急変したような場合には、家計急変を理由とする奨学金を受けることができます。
参考:日本学生支援機構
 

新型コロナウイルス対策のための自粛によってできなくなった返済について受けられる措置

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 新型コロナウイルスに対策のための自粛によって借金返済ができない場合にどのような措置があるか

収入の補てんについてあるのはわかりましたが、まだまだ先の話になりそうなものや、今ある収入をそのまま保証してくれるものではないですね。そのため借金返済まではできないのですが、なにか良い方法はないでしょうか。

借金返済ができない場合の措置について見てみましょう。

新型コロナウイルス対策のための自粛によって収入がなくなった・減ったような場合に、どのような措置をとることができるでしょうか。

絶対にしてはいけない放置

当然ですが、絶対にしてはいけないのが放置です。
新型コロナウイルス対策で被害を受けたとはいえ、そのことによって個別に借金の契約についての条件を変えるものは現在ありません。
放置をすると、遅延損害金がかかり、残金を一括で請求されることになり、事態が収束した後に新型コロナウイルスのせいにしても覆ることはないといえます。

奨学金の返済期限猶予

借金の中でも奨学金について、新型コロナウイルスによる影響を受けて家計が急変したような場合には、減額返還・返還期限猶予などの措置をとることを表明しており、これによって信用情報について不利益を被らないようにするように配慮をすることとしています。
参考:独立行政法人日本学生支援機構
参考:減額返還
参考:返還期限猶予

借り入れ先の金融機関の窓口

消費者金融・銀行など借り入れをしている金融機関で新型コロナウイルス対策によって返済が難しくなった場合の相談を受け付けています。
未曾有の事態でもあり、どのような措置が受けられるかというのはケースバイケースになるのですが、放置をするのではなく相談することは重要です。
借り入れをしている先のホームページを確認すると、相談に関する連絡先が記載されています。

債務整理

新型コロナウイルス対策による影響は先が見えません。
全世界的に大きな経済的ダメージを受けている現状で、借金を返済することができる状態に戻る保証はどこにもありません。
そのため、早めに債務整理をすることを検討しましょう。

新型コロナウイルス関連の債務整理についての注意点

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 新型コロナウイルス対策が原因の返済不能についての債務整理についての手続き別注意点

債務整理をする際に新型コロナウイルス対策が原因で借金が払えなくなったことは影響するのでしょうか?

直接的には影響しないといえます。手続き毎に見てみましょう。

新型コロナウイルス対策が原因で借金の返済ができなくなり債務整理をするに至った場合に注意点はあるのでしょうか。

任意整理の場合は新型コロナウイルスに関する事態終息後に債務の返済をできるか

任意整理手続とは、法的手続(裁判所の手続)をとらず、直接債権者と交渉し、返済すべき借金の額を決定したうえで、この借金を分割払いで返済する手続をいいます。
利息や遅延損害金をカットした元金を分割して支払うことになるので、新型コロナウイルスによる影響を受けている・受けていないに関わらず、元金の分割返済ができるか、という一点に関わります。
新型コロナウイルスによる影響を受けて退職をしたような場合でも、分割弁済をすることができるならば手続き利用に影響はしません。

手続きについての詳細は
任意整理手続ってどんなもの?メリット・デメリットを教えて!
こちらのページで詳しく説明しておりますので、こちらをご覧ください。

自己破産をする場合に新型コロナウイルスに関する借金をしたとしても手続きに影響しない

自己破産は、裁判所に対して申立をして、免責をしてもらうものです。
自己破産手続には、管財人が選任される少額管財という手続きと、管財人が選任されない同時廃止という手続きがあります。
借り入れ原因がギャンブル・遊興・浪費といった免責不許可事由があるような場合には、裁量免責というものをしてもらうために、少額管財手続きによることになります。
そのため、管財人への引継予納金として20万円~50万円の支払いが必要になります。
新型コロナウイルス対策が原因で借金をしたようなものが支払えなくなったとしても、免責不許可事由にあたるものになるわけではありません。

そのため新型コロナウイルス対策の影響が原因で借金をした場合は、同時廃止で進められる可能性があります。
ただし、免責不許可事由があるような場合で、従来は支払えていた場合でも、新型コロナウイルス対策が原因で返済が不可能になったとしても、借り入れ原因が変わるわけではないので少額管財となります。
新型コロナウイルスが関係することによって特別に同時廃止にしてもられることも見込めないといえるでしょう。

自己破産については
自己破産ってどんなもの?メリット・デメリットとは?
自己破産手続の2つの種類!同時廃止と管財事件って何?それぞれの違いを解説
以上2つの記事で詳しく解説しておりますので、こちらも参照してください。

個人再生も任意整理と同様返済が可能かどうかで判断をする

裁判所に申し立てをして、元金を減額してもらったうえで分割返済をするのが個人再生手続きです。
個人再生手続きは、裁判所に対して申立をすることになる手続きですが、自己破産のように借り入れ原因について問われる手続きではなく、再生計画後の支払いが可能かどうかによって判断をします。
そのため、新型コロナウイルス対策によって収入が減ったような場合でも、継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、手続き後の分割返済ができるという場合には利用することが可能です。
個人再生についての詳細は
・自己破産はしたくない!個人再生手続ってどんなもの?メリット・デメリットを教えて!
こちらのページを参照にしてください

まとめ

このページでは、新型コロナウイルス対策による自粛などによって収入が少なくなって借金が支払えなくなったときの対応方法についてお伝えしてきました。
全世界を対象にする未曾有の危機であり、前例のない事態になります。
本コラム掲載後にさらに給付金・借金返済に関する措置が増えている可能性もあります。安易に対応をするのではなく、専門家である弁護士に相談しながら適切な方法をとるのが適切だといえます。