- 医療費の支払も債務なので自己破産をすることが可能
- 自己破産後に医療ローンを組めない理由はブラックリスト
- ブラックリストは一定期間経過後に消えるので、一定期間経過後に利用可能
【Cross Talk】医療費の返済ができなくなった!自己破産できる?
先日緊急手術を行い、しばらく入院をしていました。治療と入院にかかった医療費が高額で支払うことができないのですが、このような場合にも自己破産はできるのでしょうか。
大変でしたね、医療費も債務なので自己破産で免責の対象になります。
病気や怪我で高額な医療費がかかって、そのまま支払ができないような場合もあります。
医療費は法律上、病院から患者に対する診療報酬債権で、借金のように免責の対象になるものです。自己破産後、一定期間医療ローンの利用ができなくなることも併せて確認しましょう。
医療費の返済ができなくなった場合でも自己破産はできる
- 医療費は法律的には診療報酬債権
- 診療報酬債権も免責の対象になるもの
医療費みたいなものが自己破産で免責の対象にしてもらえるのでしょうか。
医療費は診療報酬債権という位置づけで、自己破産による免責の対象になるものです。
医療費の返済ができなくなったときに自己破産をすることはできるのでしょうか。
医療費は診療報酬債権という債権の一種
病院にかかった際に病院に払う医療費がどのようなものなのか確認しましょう。
法律上医療費は、医師の診療に対する報酬の債権で「診療報酬債権」と呼ばれています。つまり、病院から患者に対して請求ができる債権の一種で、患者側にとっては借金などと同じ扱いになります。
診療報酬債権が原因で支払不能となった場合でも自己破産できる
自己破産をする際、借入原因によっては免責不許可事由とされるものがあります。
典型的なのは、競馬・パチンコなどのギャンブル、風俗・キャバクラなどの遊興、過度な買い物などによる散財です。これらは生活に必要なものではなく、自己破産をして借金の免責を認めるのは妥当でないことから規定されています。
医療費は、病気や怪我になったのが原因なのであって、生活のために必要な費用負担です。そのため、医療費が返済不能になっている状況は免責不許可事由にあたりません。(ただし、過度な美容整形などは、医療費ではありますが、生活のためにやむを得ない支出とはいえないため、収入に見合わない場合は浪費と判断され、免責不許可事由に当たる場合はあります)
また、税金や養育費など支払保護をする必要の高い債権については、免責されない場合もありますが(非免責債権)、医療費を非免責債権とする規定はありません。そのため、医療費が支払えなくなったような場合、免責対象ではあるが自己破産することは可能ということになります。
医療費の支払いができずに自己破産した場合でも医療を受けることは従来通り可能
自己破産した場合でも、病院に断られることなどなく、従来通り医療を受けることができます。医師には応召義務というものがあり、正当な事由なく診療を拒んではならないことになっています(医師法19条1項)。
支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療を拒んでも応召義務違反にはなりませんが、診療報酬を支払えないだけの理由の場合、直ちに診療を拒否することはできないとされています。
医療ローンを組むことができるか
- 自己破産手続きに入ると信用情報に事故情報が登録され医療ローンを含む借り入れができなくなるブラックリストになる
- ブラックリストは永遠ではない
この先も高額な医療費がかかる治療を受ける可能性があります。その時には医療ローンを利用することもあると思うのですが、自己破産すると医療ローンは組めないのでしょうか。
ブラックリストに登録されている期間中は、ローンを組むことはできない可能性が高いです。
自己破産手続きをしたときの医療ローンの利用について確認しましょう。
医療ローンを組むことができない理由を詳しく知る
自己破産手続きを利用すると、医療ローンが利用できなくなる可能性が高いです。なぜなら、自己破産手続きに着手した段階で、信用情報に事故情報が登録されるためです。
医療ローンなどの貸付を受ける際にはこの信用情報を確認することになっており、事故情報が登録されていると医療ローンの会社は審査落ちとして貸付を行わないことがほとんどです。このような状態をブラックリストと呼んでいます。このような状態になっている場合には、貸付を受けることができなくなる可能性が高いので注意が必要です。
なお、インターネットを検索していたりすると「ブラックOK」という融資に関する広告を見ることもあるかと思いますが、これらはいわゆる「ヤミ金融」であったり、特殊詐欺のきっかけになるようなものになることが多いので、絶対に借り入れをしないように心がけましょう。
ブラックリストは永遠ではない
ただ、このブラックリストも永遠に続くわけではありません。
自己破産手続きの場合には、5~10年で事故情報が削除されることがほとんどです。この対象期間後であれば、医療ローン会社が信用情報を確認しても事故情報は表示されません。そのため、ブラックリスト登録されていたという理由だけで、ローンの審査に落ちることはなくなります。あとは、収入・職業などの他の審査事項にも問題がなければ、借り入れをすることは可能であるといえます。
医療を受けるためのお金の調達方法は他にもある
5~10年医療費を捻出する方法を待つことができない、という方もいらっしゃるでしょう。
この場合には、生活福祉資金貸付制度という制度を検討してみましょう。生活福祉資金貸付制度とは、生活をするために必要な貸付を受けるためのものであり、公的な貸付制度です。
申し込みは自治体にある社会福祉協議会で行います。
貸付にあたっては、生活福祉協議会は信用情報機関に信用情報を照会することができませんので、審査内容にブラックリストの有無は含まれません。利用にあたっては手続きに時間がかかるものなので、必要な場合にはなるべく早く申し込みましょう。
まとめ
このページでは、医療費が原因で自己破産をすることができるか、自己破産後の医療ローンについてお伝えしてきました。医療費が原因でも自己破産はできますし、医療費は免責されます。
ただブラックリスト期間中、医療ローンを利用することはできませんので、生活福祉貸付資金の利用を検討しましょう。