- 自己破産をした場合の住宅ローンに関する処理
- 自己破産後に住宅ローンを組むこと
【Cross Talk】自己破産をしたときの住宅ローンとの関係を知りたい!
私は住宅ローンを組んで家を購入したのですが、借金があり自己破産をするべきなのか悩んでいます。自己破産をした場合、住宅ローンはどうなるのでしょうか?また購入した家はどうなりますか?
自己破産をする際には住宅ローン債権者も手続きに加わってもらう必要があります。一番多いケースは、住宅ローン債権者が抵当権という権利を実行し住宅を競売し、相談者様に退去依頼をすることです。家を守りたいのであれば、任意整理や個人再生も検討してみましょう。
自己破産と住宅ローンの関係については、現に借入れをしている場合どうなるのか?将来、住宅ローンを利用することはできるのか?という、大きく分けて2つの観点において問題が生じます。
家を守ることはできるのか、将来住宅ローンを組むことはできるのかを中心にみてみましょう。
自己破産後に住宅ローンを組むことはできるのか?
- 自己破産をすると住宅ローンが組めなくなるブラックリストについて
- 住宅ローンはブラックリストかどうかだけで借りられるわけではない
自己破産後に住宅ローンを再度組むことはできるのでしょうか?
いわゆるブラックリストと呼ばれるものに登録されている一定期間はできないですが、その期間が過ぎた後であれば可能性はあります。
ただ住宅ローンは、ブラックリストの登録の有無で判断されるわけではないので注意が必要です。
自己破産後に住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。
一定の期間でローンを組めなくなる
自己破産手続きをはじめると一定期間住宅ローンも含めたローンが組めなくなります。
これは、自己破産手続きを始めると、信用情報機関にその旨が記載され、借り入れをすることができなくなる、いわゆるブラックリストという状態になるからです。
ただし、ブラックリストも永遠ではなく、自己破産の場合には7~10年経過すると消滅することになっています。
ブラックリストでなくなっただけで、借入れをすることは難しい場合が多い
債務整理をする際によく質問をされる内容として、「ブラックリストから情報が消える7~10年後には確実に住宅ローンは組めますか?」というものがあります。
住宅ローンの借り入れができるかどうかについては審査があり、職業・収入・年齢・頭金の額など、様々な要素によって判断されます。そのため、ブラックリストではなくても、収入が乏しい、頭金が全くない、雇用形態が非正規社員で期間もまだ浅いなどといった状態では、貸付けを受けるのは難しいといえます。
そのため、ブラックリストを理由に融資が断られることはない、ということしか確実なことは言えません。
したがって、住宅ローンを利用するためには、自己破産をして借金が無くなった後に正社員として長く勤めて収入を安定させ、しっかり頭金を貯めるといった努力も必要になるでしょう。
自己破産後に住宅ローン組むためには?
- 自己破産をした後に住宅ローンを組むための方法
- 信用情報は確認できる
自己破産をした後に住宅ローンを組むためにはどのような点に注意が必要ですか?
自分名義で住宅ローンを組みたいのであれば、とにかくしっかり頭金を貯めるのが先決です。
自己破産後に住宅ローンを組むためにはどのような注意が必要でしょうか。
出来るだけ頭金をためる
自己破産をした後には、任意整理・個人再生と異なり、返済をする義務がありません。
そのため、いくつかある債務整理の方法の中では、もっとも早く家計が楽になるものであるといえます。
ブラックリストから消えるまでには7~10年の期間があるので、その間しっかり頭金を貯めるのが望ましいでしょう。
信用情報を確認する
住宅ローンは申し込みをして審査がされた経歴も信用情報に残ります。
そのため、安易に申し込みをして却下されないようにすべきです。
本当にブラックリストが消えているかどうかは事前にチェックしておくべきでしょう。
信用情報は確認をすることができるので、信用情報機関に開示請求をしてみましょう。
家族にローンを組んでもらうようにする
本人の信用が低い状態なのであれば家族にローンを組んでもらうことも検討しましょう。
住宅ローンは結婚をする際や子供が生まれることを契機として組むことが多いので、本人名義ではなく配偶者名義でローンを組むことも検討しましょう。
住宅ローンの審査に通りやすくする方法
- ブラックリストの後のクレジットヒストリーをつくる
- 免責された金融機関は外す
住宅ローンの審査に通りやすくするためには何かよい方法はありますか?
ブラックリストの後なのでクレジットヒストリーを積むことと、免責された金融機関を使わないということは特に注意をしましょう。
自己破産でブラックリストが消えたあと住宅ローンの審査に通りやすくする良い方法はあるのでしょうか。
クレジットヒストリーを積む
ブラックリストの後に特に気をつけておくのがクレジットヒストリーです。
クレジットヒストリーとは、信用情報に残されている記録のことをいいます。
どんな人でも百貨店やスーパー・家電量販店でポイントカードの利用をしていると、一緒にクレジットカードを作るものです。
借金をしていない人でも、クレジットカードの利用・携帯電話の分割購入などの履歴が残っていて、これがきちんと返済されている記録が残っています。
これが、一度ブラックリストになって、そのブラックリストが消えると、全く記録が残っていないという状態になります(スーパーホワイト)。
すくなくとも債務整理をしたことがあるということに気づく住宅ローンの担当者も多いですし、返済をきちんと出来ているかも確認できないです。
ブラックリストが終わった後に、いきなり住宅ローンの申し込みをするのではなく、小口のクレジットカードを作る携帯電話の分割購入をするなどして、クレジットヒストリーをきちんと積んで、返済をしっかりしている事実をつくってから住宅ローンの申し込みをするのが良いでしょう。
自己破産で免責になった金融機関を避ける
次に、自己破産で免責になった金融機関は避けましょう。
自己破産を含めて一度債務整理をした相手はブラックリストが終わった後でも貸し付けを行いません。
このような状態のことを「社内ブラック」と呼んでいます。
住宅ローンは審査に落ちたことが情報として残ってしまい、落ちた回数が多くなれば多くなるほど借り入れが難しくなります。
債務整理をした金融機関に住宅ローンを申し込んではいけません。
比較的通りやすい金融機関を選ぶ
金融機関の中でも審査が通りやすい・通りづらいものがあります。
とくに都市型のメガバンクよりも、地方銀行や信用金庫・JAバンクのように地域に密着しているところのほうが、積極的に貸そうとします。
できれば、比較的審査が通りやすいこれらの機関を利用するのが良いでしょう。
住宅がある場合の自己破産以外の解決方法
- 任意売却
- 自己破産以外の債務整理
すでに住宅ローンを組んでいる人が借金返済が難しくなっている場合にはどうしたらいいでしょうか。
自己破産だけが債務整理ではないので他の方法も検討してみましょう。
金融機関に相談する
返済が難しくなった場合には、借金をしている金融機関に相談するのは一つの手段です。
一時的難しくなっているような場合には、利息のみの返済としてもらうことで無理なく支払いを継続することも可能となります。
これらはあくまで一時的に猶予をすれば足りるような場合に用いられるもので、将来にわたって返済が難しい場合には別途の手段を検討することになります。
住宅が競売にかけられる前に任意売却の検討をする
任意整理の場合には元金を36回から60回分割、個人再生は法律で定められた金額を36回分割で、返済しつづけるものになるので、支払い続ける根拠がない場合には利用できません。そのため、自己破産が避けられないような場合には、任意売却を検討しましょう。
任意売却とは、抵当権がついている不動産を競売にかけるのではなく、売却活動を通して買ってもらうことを指します。
競売では、不動産の市場価格の5~7割程度の金額しかつかないことがあります。たとえば、相場が2,000万円の不動産であった場合、1,000~1,400万円程の売値となり、その分債務に充当できる金額も減ります。
債務者はどのみち不動産を出ていかなければならないので、2,000万円で売れようが、1,000万円で売れようが関係のないことなのですが、もし売却代金の中から引っ越し費用を負担してもらえるのであれば、そのほうが助かりますよね。
債務者に引っ越し代のようなインセンティブを与えることを条件に売却活動をしてもらい、債権者が債務に充当できる金額を確保することができる手続きが任意売却なのです。
また、任意売却の中にはリースバック(セル&リースバックともいいます)というものがあり、住宅を買ってくれた人から住宅を借りることで、住宅の所有権は失うものの、賃貸物件として住み続けることができる制度もあります。自己破産を選ぶからといって自暴自棄になるのではなく、現在の住居に住み続けたいのであれば任意売却を検討してみる価値はあります。
リースバックについては「住宅ローン返済に困ってもリースバックで自宅を維持できる?」でお伝えしていますので参考にしてください。
自己破産以外の債務整理
「債務整理=自己破産」と考えている方も多いと思いますが、債務整理には他にも任意整理・個人再生という手続きがあります。
借金の支払ができなくなったという状態がどの程度なのかにもよりますが、収入が完全に途絶えている場合を除いて、任意整理・個人再生という「返済すること」を前提とする手続が可能となります。
任意整理の場合には、住宅ローン債権者を除いて任意整理をすることよって、住宅ローンをそのまま払い続け、を所有することが可能です。
個人再生の場合には、住宅資金特別条項という制度を利用して個人再生を行うことで、住宅ローンを手続きから除くことができます。
まとめ
このページでは、自己破産手続きと住宅ローンの関係についてお伝えしてきました。
住宅ローンについての悩みもそれぞれ異なりますので、弁護士に相談をして具体的な状況のもとでどう解決できるのかを検討するのがよいでしょう。