- 自己破産をした場合の給与・ボーナスの取り扱い
- 自己破産をした場合の退職金の取り扱い
【Cross Talk】自己破産をしたら給与・ボーナスは差し押さえられてしまいますか?退職金はどうなりますか?
ギャンブルが発端で借金をかなりつくってしまいまして、自己破産をしてやりなおしたいと思っています。この場合、流石に給与やボーナスは差し押さえられてしまうのでしょうか。また退職金は出なくなりますか?
必ず給与やボーナスが差し押さえられるというわけではありませんし、退職金が出なくなるわけでもありません。もっとも、ボーナス・退職金がある場合、自己破産手続きに影響する場合があります。
自己破産手続きをする場合には、申立人の財産は換価され配当に回されます。給与やボーナスも資産として差し押さえの対象になるので、差し押さえられてしまうのでは?と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
自己破産手続き自体で差し押さえを受けるということは無いのですが、手続に関連して差し押さえを受ける可能性はあります。
会社を辞めるときに受け取ることになるはずの退職金の取り扱いとともに確認しましょう。
自己破産手続きでも給与・ボーナスはそのままもらえる
- 自己破産手続きを利用しても給与・ボーナスはもらえる
- 自己破産手続きを利用したからといって差押えられることはない
- 給与・ボーナスをもらうタイミング次第では手続きに影響する可能性はある
自己破産手続きで給与・ボーナスはどうなりますか?
基本的にはそのまま受け取れます。ただ自己破産手続きに関連して給与・ボーナスが差し押さえられるパターンがあるので注意をしておきましょう。
自己破産手続きで給与・ボーナスがどうなるかの確認をしましょう。
自己破産手続きそれ自体で給与・ボーナスが差し押さえられるわけではない
自己破産手続きにおいては、資産になるものはお金に換えた上で(換価)債権者に配当が行われることになっています。給与やボーナス(賞与)は金銭債権として使用者に請求することができる権利なので、換価のために差し押さえられるのでは?と考えてしまう方もいらっしゃいます。しかし、後述するように資産として計算されるものがあったとしても、破産手続き内で処理をするので、差し押さえられるようなことはありません。
債権者から裁判を起こされると給与・ボーナスが差し押さえられることも
自己破産手続きの中で給与・ボーナスが差し押さえられることがないにしても、関連する手続きにより給与・ボーナスが差し押さえられる可能性はあります。
自己破産手続きの申し立てにあたって、債権者が債務整理に協力的でない場合や、時効が近い場合、依頼者の弁護士費用が分割払いとなっており手続きが長引いている場合には、債権者が裁判を提起する可能性があります。この裁判手続きに伴う保全手続きや強制執行手続きにより,給与・ボーナスが差し押さえられる可能性はあります。
自己破産手続きの申し立てをすれば、自己破産手続きの中で差押えは解除されますが、それまでは継続的に給与・ボーナスが差し押さえられてしまいます。また,差押えを受けると会社に裁判所から連絡がいきますので,債権者への借金が支払えていないことが会社に把握されてしまいます。そのため、可能な限り訴訟を起こされないよう、弁護士に対策を依頼しましょう。
給与・ボーナスで預金がたくさんあると少額管財に
給与・ボーナスを受け取ることはできますが、それにより自己破産手続の開始決定時の手持ち現金又は預貯金の金額が多い場合には、少額管財という手続きになる可能性があります。たとえば、東京地方裁判所の運用では預金が33万円以上ある場合には、資産があるという認定がされて、同時廃止ではなく少額管財手続きで手続きが進行することになります。また,その現金や預貯金を管財人への引継予納金として納付することが必要になる場合もあります。
自己破産手続きにおける退職金の取り扱い
- 退職金は給与の前払い的な性格がある
- 退職金の一部は資産と認定される可能性がある
退職金は退職するときにもらうものなのですが手続きに関係あるのですか?
在職中でも退職金の1/8が資産として認定されるので、きちんと報告する必要があります。
退職時に会社から支払われる退職金についての取り扱いに注意をしましょう。
退職金がなぜ自己破産手続きに影響するのか
退職時に会社から支払われる退職金は、万が一懲戒解雇をされると1円の支払いも受けられないのですが、破産手続きにおいて、後述する割合で資産として認定されます。これは、退職金が給与の後払い的な性質があるとされているためです。
退職金は、破産手続が開始された時点で在職中であればその時に支給される金額の1/8が、退職後支給前であればその1/4が資産として計算されます。申し立てにおいて退職金に関する規定を取り寄せたり、場合によっては今退職した場合にいくらの退職金が支給されるかの退職金証明書の提出を求められたりすることがあります。
資産と認定される場合の取り扱い
もし、東京地方裁判所に申し立てをすべき人の退職金が160万円以上あるような場合には、20万円以上の資産があるという認定がなされ、少額管財手続きとなり,配当手続が必要となる可能性があります。
現実に退職していないにもかかわらず配当に回すということは会社を退職しなければならないのか?と思う方がいるかもしれません。しかし、このような場合でも退職をする必要はなく、実務的には資産と認定される分のお金を事前に用意して管財人に引き渡すとされています。
とはっても、自己破産をする際には大金ですので、どのように準備をするかは弁護士に相談しましょう。
まとめ
このページでは、自己破産をする際の給与・ボーナス・退職金がどのように取り扱われるのかについてお伝えしてきました。自己破産手続きにおいて資産は換価の対象にされるものですが、給与などの生活に必要なお金について、生活ができなくなるような形で勝手に精算されることはありません。安心して自己破産手続きを弁護士にご相談ください。