- 任意整理の概要
- 任意整理の期間延長は基本的にはできない
- 支払えない場合には再度任意整理をする必要がある
【Cross Talk 】任意整理後に払えなくなった場合、期間を延長できますか?
任意整理の利用を検討しています。長期間分割で支払うことになるのはわかりますが、きちんと支払えるかどうか不安です。もし途中で払えなくなった場合には期間を延長してもらったりできるのでしょうか。
任意整理で決められた支払い方法によって支払う必要があり、期間の延長はできません。
もし払えない場合には再度任意整理をする必要があります。
そうなのですね、無理のない任意整理を最初からすべきですね。
債務整理の方法の一つである任意整理は元本を長期間で分割して返済する手続きです。
長期間返済を続けていると、どうしても支払えないという場合も発生しえます。その場合でも、任意整理の支払い期間を延長してもらうことはできません。
支払いができなくなった場合には再度任意整理をやりなす必要があります。
そうならないように無理なく任意整理をするためのコツと一緒に詳しく確認しましょう。
任意整理とはそもそもどのような仕組みか
- 任意整理の基本
- 支払い回数・期間をどのようにして決めているか
任意整理そのものがどのようなものかあまりわかっていないので教えていただけますか?
任意整理とは裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法で、支払い回数や期間は交渉で決める形になります。
まずは、任意整理がそもそもどのような仕組みか、支払い回数や期間はどのようにして決められているのかを確認しましょう。
任意整理の基本的なしくみ
任意整理とは、裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法をいいます。
借金をすると、元本を利息・遅延損害金などと合わせて毎月返済する必要があります。
任意整理は、利息・遅延損害金などをカットしてもらうように交渉して、元本を分割で返済するのみ、となるように債権者と交渉します。
支払い回数・期間の決め方
任意整理の支払い回数・期間の決め方について確認しましょう。
任意整理は元本を3年(36回)~5年(60回)の長期で分割返済するように調整されます。
例えば、50万円の借入がある場合、3年の36回払いですと、毎月約1万4千円程度、5年60回ですと毎月8,500円程度の支払いをすることになります。
ただし、元本が少なくなっているような場合に、毎月の支払いが5,000円を下回る場合には、管理などの関係から回数が短くなることがあります。
例えば、元本残高が10万円程度になっている債権者と36回の分割交渉をすると、毎回の支払いは2,800円程度になりますので、この場合には毎月5,000円を20回分割で払うという内容の交渉に帰着することが多いです。
より少ない金額で長期の支払いにしてもらえるかどうかは、任意整理を依頼する弁護士次第になりますので、弁護士は慎重に選ぶべきです。
任意整理の期間の延長をすることができるか
- 任意整理の期間の延長はできない
- 支払えない場合には再度任意整理をする必要がある
任意整理の支払いの回数や期間の決め方はわかりました。では支払いができなくなった時に任意整理の期間は延長できないのでしょうか。
はい、任意整理で決められた期間の延長をすることはできず、当初定められた通りに支払う必要があります。
任意整理の期間の延長は認められません。
任意整理の支払う期間の延長はできない
任意整理の合意内容は「和解契約」という形でまとめられます。
つまり、債務者側としても、絶対に合意した通り、という前提でするのが任意整理です。
そのため、期間を延長してほしい、というのは認められません。
支払えない場合には遅れながらでも支払いをする
ただし、3年~5年の間には、冠婚葬祭・賃貸の更新・車検など、多くのお金が必要となるケースがあり、一時的に支払えないこともあります。
このような場合にそなえて、任意整理で合意した支払いができなかった時のことについても決められています。
多くの場合2回分(もしくは2回)支払いが遅れると期限の利益を喪失するとされています(期限の利益の喪失が何を指すかは後述します)。
毎月の支払いが1万円だとすると、2回分は2万円です。
例えば、毎月の1万円の支払いができない場合でも、5,000円でも3,000円でも支払って、2万円を超えないように遅れながらでも支払いましょう。
「2回」とされているときには、文字通り2回支払いができないと期限の利益を喪失しますので、上述の例ですと1万円の支払いができない場合には、2回目の支払いをきちんとできるように、手元に貯めておくことになります。
延滞が長期間にわたるとどうなるか
延滞が長期間にわたると、上述した通り期限の利益を喪失します。
期限の利益とは、返済期がまだ来ていない債務の支払いを求められても拒むことができる債務者側の利益のことをいいます。
例えば、50万円について毎月1万円ずつ支払うことになった場合、その1万円の支払いができていれば、残った期限の来てない金額の請求をされたとしても、返済を拒むことができます。
2回ないし2回分以上延滞すると、期限の利益を喪失して、債権者は残額全てについて債務者に請求することができるので、裁判をしたうえで給与を差し押さえることも可能となります。
どうしても支払えない場合には任意整理を再度やりなおすことも
どうしても返済できない場合があるので、その場合には再度弁護士に相談・依頼をして、任意整理をやり直すことになります。
例えば、50万円を毎月1万円ずつ支払う任意整理をしていたとして、20ヶ月分支払ったところで返済できなかった場合には、残った30万円をもとに再度長期の分割返済の任意整理の交渉をします。
従来の任意整理とは異なり、本当に支払えるかどうかを詳しく精査することになるので、収入に対する調査や分割回数が少なくなるなどの不利益があることは覚悟が必要です。
無理のない任意整理をするために
任意整理をしていて、期間を延長してほしい、支払えなくなったということが生じるのは、任意整理を無理にすすめようとしたことが原因の場合があります。
弁護士に依頼をする際に、毎月返済可能な金額を弁護士に申告して依頼をします。
しかし、当初返済できると思っていた金額の支払いは、借金返済のためにギリギリの生活をしていたときを基準に申告することが多いです。
そのため、任意整理をはじめて生活に余裕が出ると、支出が増えていざ任意整理が始まると当初申告していた返済ができないケースがあります。
任意整理後に支払えなくならないように、最初の債務整理依頼時に弁護士に相談する際にきちんと家計を把握しておく、任意整理依頼後に生活のレベルを上げすぎないように気を付ける、などで、返済不可能な金額での任意整理がされないように気を付けるようにしましょう。
上述した通り、特に冠婚葬祭は事前に予測できない出費になることが多いので、できれば手元で貯金をしておき急な出費に備えられるようにしておきましょう。
まとめ
このページでは、任意整理の期間の延長を中心にお伝えしました。
和解契約という形で決められた任意整理の期間は、延長はできず、支払えなくなったら再度任意整理をやりなおす必要があります。
そうならないように、無理のない任意整理をすべきです。
そのためには債務整理に強い弁護士に相談することをおすすめします。