- 任意整理の成功とは最後まで完済することである
- 任意整理に失敗すると、基本的に債務整理のやり直しになる
- 任意整理に成功するコツは、完済まで気を抜かずに家計を管理すること
【Cross Talk 】任意整理に成功する人と失敗する人は何が違う?
任意整理を検討しているのですが、きちんとできるか心配です。任意整理に成功する人と失敗する人は、何が違うのでしょうか?
まず任意整理の成功とは、借金を整理した後で、最後まで完済できることだと言えるでしょう。任意整理に成功するには、家計のやりくりを正確に把握するなどのコツがあります。
整理後の借金を完済して初めて、任意整理に成功したと言えるんですね!任意整理に成功する人の行動についても教えてください!
債権者と交渉して任意整理に応じてもらっても、借金を返済するのが難しくなって滞納してしまうなど、任意整理に失敗するパターンがあります。
一方で、任意整理に失敗することなく最後まで完済し、任意整理に成功するパターンもあるのです。
任意整理に失敗するパターンと成功するパターンでは、どのように違うのかを見ていきましょう。
任意整理の成功失敗について
- 最後まで完済することが、任意整理の成功だと言える
- 任意整理に失敗すると、余計な費用や時間がかかりがち
債権者に任意整理に応じてもらいました。これでもう安心ですね!
任意整理に応じてもらうことは、あくまで始まりに過ぎません。借金を完済して初めて、任意整理に成功したと言えるでしょう。
最後まで完済するのが任意整理の成功
借金を最後まで完済することが、任意整理の成功であると言えます。
任意整理とは、借金の返済が難しくなった場合に貸金業者などの債権者と交渉し、将来分の利息をカットしつつ借金の返済期間を延長することで、返済総額や月々の返済額を減らす手続きです。
任意整理によって月々の返済額を減らすことができれば、借金を無理なく返済しやすくなります。
任意整理に応じるかどうかは基本的に債権者の意思次第なので、任意整理に応じてもらった場合は、任意整理に成功したので安心だと思われるかもしれません。
しかし、任意整理に応じてもらったことは、あくまで任意整理の始まりに過ぎません。
任意整理によって借金を完済するまでには数年かかるのが一般的であり、最後まで借金を完済して初めて、任意整理に成功したと言えるのです。
任意整理に失敗する場合とは
任意整理に失敗する場合とは、次のような状況が考えられます。
債権者が任意整理に応じてくれない
債権者が任意整理に応じてくれない場合です。
任意整理は当事者の交渉がベースになるので、ごく少数ですが、任意整理には一切応じないという貸金業者も存在しています。
また、通常は任意整理に応じる貸金業者でも、1度も返済していない、返済していても1年以内の極めて短い期間である、既に訴訟を起こしている、多額の遅延損害金が発生している、といった場合には、任意整理に応じてくれないこともあります。
また、後述する二度目以降の任意整理にあたっても、厳しい条件をつけられる可能性があります。
返済能力が乏しいにも関わらず任意整理をして返済が滞ってしまう
返済能力が乏しいにも関わらず任意整理をした場合、失敗する可能性が高いです。
任意整理は長いと3年ないし5年といった長期間、毎月継続して返済を続ける必要があります。
自己破産・個人再生といった法的手続きを嫌がった結果、返済能力が乏しいにも関わらず任意整理をしたような場合には、そのうち毎月の返済ができなくなり、任意整理が失敗することがあります。
高齢のため、途中で返済能力がなくなってしまった
上述したように、任意整理は長いと3年ないし5年といった長期間にわたって、毎月継続して返済を続ける必要があります。
現状毎月の返済ができても、2年後に定年を迎えて、会社を退職・条件を変更しての再雇用となるような場合には、退職金等がなければ、長期間の返済ができず、失敗に終わる可能性がでてきます。
自分で交渉を行い通常の任意整理よりも不利な条件で支払うことになった場合
任意整理は貸金業者との交渉になりますので、弁護士に依頼せずに自分で行うような場合、失敗する可能性が高いといえるでしょう。
貸金業者は相手が弁護士の場合、多くの案件の蓄積・いままでの和解基準に従って、基本的には元金のみの分割返済とすることになります。
しかし、相手が個人である場合、貸金業者にとって有利になるような内容で合意することを求めてきます。その結果、遅延損害金を全額つけられてしまう、利息をつけられてしまうなど、通常の任意整理よりも不利な条件で支払うことになってしまう可能性があります。
任意整理に失敗するとどうなるか
任意整理に失敗した場合、以下の対応を検討しましょう。
任意整理に応じない債権者以外と任意整理をする
任意整理に応じない債権者から借り入れをしてしまっている場合には、その債権者以外との任意整理を検討しましょう。
任意整理に応じない債権者には従来どおり支払いをして、その他の債権者との間で任意整理をして返済計画全体が崩れないようにすれば、任意整理を成功させることができます。
任意整理に応じない債権者は、交渉をしようとするだけで訴訟を起こしてくることがあるので、きちんとした見極めが必要です。
見極めができる債務整理に詳しい弁護士に依頼するのは、任意整理を成功させるために必須であるといえます。
任意整理以外の債務整理方法を検討する
任意整理の交渉ができないような場合や、返済が厳しい場合には、無理に任意整理をするのではなく、自己破産・個人再生という他の債務整理方法の利用を検討しましょう。
任意整理では交渉に応じてもらう必要がありますが、自己破産・個人再生は、相手が応じなくても、法律上の手続きをとったうえで、借金の減免をしてもらえます。
まだ介入していない会社に介入して負担を減らす
借金のうち一部を既に任意整理していたものの、支払いが厳しくなる場合があります。
この場合には、まだ任意整理をしていない会社との間で任意整理を試みて、全体として返済を減らすことができるかどうかを検討しましょう。
クレジットカードを引き続き使いたい、連帯保証人が居るので迷惑はかけたくない、などの理由で任意整理していたかった貸金業者がある場合には、この方法は検討可能です。
遅れながらでも返済をする
任意整理においては、貸金業者である債権者と、2回分以上の延滞があると期限の利益を失う・2回以上の延滞がある期限の利益を失う、といった条件で和解をすることが一般的です。
2回分以上の延滞があると期限の利益を失うとしている場合、例えば毎月10,000円の分割返済をしている場合には、20,000円以上の延滞が生じたときに期限の利益を失います。
2回以上の延滞があると期限の利益を失うとしている場合には、文字通り延滞が2回あると期限の利益を失います。
期限の利益を失うと、毎月の支払い・延滞している分のみではなく、残額も含めた一括請求をされることになります。
そのため、返済できないにしても、遅れながらでも返済をして、どこかで延滞している分について追いつくようにしましょう。
再度の任意整理を行う(再和解)
再度任意整理を行います。
例えば、50万円の債務を任意整理して、毎月2万円を10回返済したところで返済できなくなった場合、残った30万円を基に再度任意整理を行います。
残った30万円を元に30回分割毎月1万円の支払いとすれば、毎月2万円の支払いからは半分になるので、無理なく払える場合にはこの方法は有効です。
ただし、貸金業者としては、1度目の任意整理の約束を守らなかったことに対して慎重になるので、長期の分割を断る・払えなくなってから再度任意整理するまでの間の遅延損害金を請求してくる、といった可能性があります。
再度の任意整理を行うためには、弁護士に再度依頼することも必要になりますので、その際の弁護士費用が別途必要となる点も注意をしましょう。
任意整理の経験者から学ぶ成功する人失敗する人の特徴
- 家計のやりくりを把握すると、任意整理に成功しやすくなる
- 不意の出費に備えて貯蓄をしておくと、任意整理に成功しやすい
任意整理に成功しやすい人の特徴はありますか?
任意整理に成功しやすい人は、完済するまで気を抜くことなく、家計のやりくりを把握できる人です。急な出費に備えて、なるべく貯蓄しておくことも重要ですね。
家計のやりくりを正確に把握する人は任意整理に成功する
家計のやりくりについて正確に把握しておけば、任意整理に成功しやすくなります。
家計を把握するためのポイントは、収入と支出の両方についてきちんと把握しておくことです。
入ってくるお金である収入について把握しているのは一般的ですが、支出についてもきちんと把握している人は、意外と少ないかもしれません。
収入が十分にあるし、任意整理にも応じてもらったから返済は問題ないだろうと思っていても、支出について把握しておかなかったことで、気づいたら任意整理の返済にあてるお金が足りなかった、という場合もあります。
任意整理を成功しやすくなるためには、まずは毎月どのような支出があるか、食費や遊興費など、支出の種類を知っておきましょう。
支出の種類を把握できたら、次は支出の種類ごとにどの程度の出費をしているかをチェックします。調べた結果、例えば食費の出費が多すぎるとわかったら、外食を控えるなど、支出を少なくするための工夫を検討しましょう。任意整理に成功しやすい人は上記のように、収入だけでなく支出についてもきちんと把握できる人です。
借金の返済にかかる金額をきちんと把握したうえで、毎月の収入で支払える範囲でのみ出費することを心がけましょう。
完済まで気を抜かずに家計の管理をする人は任意整理に成功する
借金を完済するまで気を抜かずに家計を管理する人は、任意整理に成功しやすくなります。
任意整理による返済を始めたばかりの頃は気持ちも引き締まっているので、家計の管理をしながらきちんと返済をするのもさほど困難ではないでしょう。
しかし、任意整理は数年かけて借金を返済していくのが一般的であり、その場合完済までには年月がかかるものです。
任意整理を始めてから年月が経過するうちに、当初は引き締まっていた気持ちも緩んできて、思わぬ落とし穴にはまってしまう危険性があります。
まだ借金を完済しないうちに、「少しくらいならいいだろう」とつい高価な買い物をして返済する余裕がなくなったり、「勝てばいいから」とギャンブルにお金を回してしまって、回収できなくなるなどです。
上記のような失敗パターンを防ぐには、借金を完済するまで気を抜くことなく、家計の管理を最後まで怠らないことが重要になります。
家計の管理と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、高価な買い物やギャンブルなど、自分から余計な出費をしないことが重要なポイントです。
余計な出費を増やさずに、任意整理を完済するその日まで、収入と支出のバランスを崩さずに続けられる人は、任意整理の完済に成功しやすくなります。
完済まで不意の出費に備える人は任意整理に成功する
完済までに発生する可能性がある不意の出費に対して、きちんと備えられる人は、任意整理に成功しやすくなります。任意整理を完済するまでには年月がかかるのが一般的であり、その間に思わぬ出費が発生する場合があります。
不意の出費の理由は様々ですが、例えば、家族の急病で治療費がかかったり、他人に怪我をさせて賠償しなければならなかったりなどです。
毎月の収入と出費の収支についてギリギリの範囲で返済してきたので、急に高額な出費が必要になったことで、任意整理の返済ができなくなるのが失敗のよくあるパターンです。
上記のリスクを防ぐには、可能な範囲でなるべく預貯金をすることを心がけましょう。
任意整理の返済だけで精一杯なので、とても預貯金にまわす余裕などないと思われるかもしれません。
しかし、副業を始めて収入を増やしたり、スマートフォンなどの通信費をより安価なプランに見直したり、月額制のサブスクリプションの契約を解約するなど、工夫できる方法も様々です。
万が一の急な出費に備えて、自分でできることから始められる人が、任意整理に成功しやすい人といえるでしょう。
まとめ
債権者に任意整理に応じてもらったものの、借金を滞納して任意整理に失敗してしまうパターンがあります。任意整理に応じてもらうことは始まりであり、借金を完済したときが任意整理に成功したときと言えるでしょう。
任意整理に成功しやすい人の特徴として、完済まで気を抜かずに家計を管理したり、不意な出費に備えて貯蓄をしたりすることが挙げられます。
任意整理などの債務整理を成功させたい場合は、債務整理の経験が豊富な弁護士に相談し、適切なアドバイスを得ることをおすすめいたします。