- 債務整理ではどうして借金が減るのか
- 債務整理の手続きごとに借金が減る仕組みを解説
- 借金減額シミュレーターは必ずしも正確ではない
【Cross Talk 】債務整理ってどうしてお金が減額するんですか?
現在かなり借金があります。借金が減る可能性があると書いてあったので、借金減額シミュレーターを使ってみたいのですが、本当に減るのでしょうか?
借金減額シミュレーターだけでは判断しかねます。債務整理で借金が減る仕組みとあわせて、借金減額シミュレーターについてご説明します。
よろしくお願いします!
債務整理をすると借金が軽くなる、返済をしなくて済むと説明されます。しかし、そもそもどうしてそのようなことが可能なのでしょうか?この仕組みをきちんと知っておいたうえで、借金減額シミュレーターは必ずしも正確ではないこともあるということを確認しましょう。
このページでは、債務整理で借金が減る仕組みと、借金減額シミュレーターについて確認しましょう。
債務整理で借金が減額する仕組み
- 借金をしたときの契約内容
- 債務整理の主な3つの手続きと借金が減額する仕組みを紹介
債務整理をするとどうして借金が減るのでしょうか。
借金の基本的な契約内容と債務整理の3つの手続きで、従来の契約がどうなるのかを確認しましょう。
債務整理をすると借金はなぜ減額するのでしょうか。
借金はどのような契約によって発生して、債務整理でなぜ減額されるのか、個別の手続きごとに確認しましょう。
貸金業者から借金を借り入れた場合の契約内容
貸金業者から借金を借り入れた場合に、どのような契約を結んでいるか確認をしましょう。
借金は民法では消費貸借契約(民法587条以下)として取り扱われます。
貸金業者から借金をしたときには、借りた額と契約の内容に応じて、毎月返済をする義務が発生します。
この返済をする際には、元金と一緒に、契約で定めた利息を支払う義務があります。
また、返済が遅れると、遅延損害金もあわせて支払わなければなりません。
任意整理で借金が減額する仕組み
これらの負担が債務整理でどのように軽くなるのでしょうか。
債務整理には主なものとして3つの手続きがあるので、まず任意整理から確認しましょう。
任意整理とは、裁判所の手続きをとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法をいいます。
貸金業者と交渉をして借金を軽くしてもらうため、借金が減額されるという仕組みです。
過去事例の積み重ねによって、現在では通称「東京三会基準」と呼ばれる減額方法が定着しています。
「東京三会基準」によると、
・利息・遅延損害金をカットして元金のみの返済とする
というものです。
引き直し計算とは、利息制限法を超える利息で返済していた部分について、元金に充当して現在の残高を出す計算方法で、利息の制限を定める出資法が現在の内容になる平成22年6月1日より前に借り入れをしていた際に行なわれるものです。
任意整理では、元金の返済と併せて支払う必要があった利息・遅延損害金をカットしてもらえるので、借金の完済時期が早くなります。
任意整理については「任意整理手続ってどんなもの?メリットデメリットを教えて!」で詳しく説明していますので、ご参照ください。
個人再生で借金が減額する仕組み
個人再生は、民事再生法上で定める手続きに基づいて、借金の返済義務を一部免除するものです。
個人再生については「自己破産はしたくない!個人再生手続ってどんなもの?メリットデメリットを教えて!」で詳しく説明していますので、ご参照ください。
自己破産で借金が減額する仕組み
自己破産とは、破産法の適用を受けて、借金の返済義務を免除してもらえる手続きです。
破産法の適用をうけると、個人については免責というシステムによって、基本的には借金を含む債務の返済義務を免責してもらえます。
自己破産については「自己破産ってどんなもの?メリットデメリットとは?」でお伝えしていますので参考にしてください。
借金減額シミュレーターを使う場合の注意点
- 借金減額シミュレーターの仕組み
- 借金減額シミュレーターの注意点
借金が減る・無くなる仕組みはわかりました。では、よくある借金減額シミュレーターは、どれくらい信用できますか?
残念ですが、正確な計算を求める場合には、使用をおすすめすることはできません。その理由を確認していきましょう。
借金返済に関する情報を集めているとよく目にする「借金減額シミュレーター」はどのくらい役に立つのでしょうか。
借金減額シミュレーターの仕組み
借金減額シミュレーターはどのような仕組みで借金の減額を判断するのでしょうか。
上述したのですが、出資法が現在の利息になった平成22年6月1日より前は、出資法の上限利息の方が高い状態でした(直前までは29.2%)。
出資法の上限を超えると刑事罰の対象となりますが、利息制限法に違反しても、違反する部分が民事上無効とされるのみでした。
このことから、消費者金融や信販会社などの多くが、利息制限法を超え出資法の範囲内で貸付をしていました(この金利をグレーゾーン金利といいます)。
グレーゾーン金利については、元金に充当することが最高裁の判例で認められており、元金に充当される結果、借金が減額することになります。
借金減額シミュレーターは、このグレーゾーン金利による借金減額を、借入期間・借入額から機械的に判定しようとするのです。
借金減額シミュレーターは必ずしも正確ではない
借金減額シミュレーターは必ずしも正確ではなく、減額ありと判断された場合にも実際には借金減額が1円もないこともあります。
これは借金減額シミュレーターが、借金の額・借入期間のみで判断するためで、実際にどこから借り入れをしたか、借入期間中どのくらいの金額を借り入れしていたか、といったことについては考慮しないためです。
例えば、借入先が銀行である場合には、銀行は消費者金融などのようにグレーゾーン金利での貸付を行わなかったため、借金減額はないのですが、借入先について考慮しなければ減額ありと判定する可能性もあります。
これらはあくまで、提供している弁護士・司法書士・各種サイトが、借金減額の参考にしてもらい相談を促すために作っているものです。
そのため、実際に弁護士・司法書士と面談して、最終的に依頼後に調査をしてもらわないと正確な金額はわからないものです。
どの手続きが適切かは収入と借金のバランスで決める
あわせて、債務整理のどの手続きが適切かは、借金の額だけでは決まりません。
どの手続きが適切かは、借金の額だけではなく、収入と収支から計算される返済可能な金額にもよるのです。
そのため、同じ借金の額でも、自己破産が適切な方もいれば、任意整理が適切な方もいます。
どの手続きが適切かは、弁護士の無料相談などを活用して早めに確認してみてください。
まとめ
このページでは、債務整理によって借金が減額する仕組みと、借金減額シミュレーターについてお伝えしました。
債務整理でも、交渉で借金の返済を軽くしてもらう任意整理と、法律の適用を受けて借金を軽くしてもらう・免除してもらう個人再生・自己破産があります。
借金減額シミュレーターは確かに参考にはなるのですが、それだけで借金がどれくらいになるか正確に判断できるものではないので、ご自身にどの手続きが適切かどうかを見極めるためにも、早めに弁護士に相談してみてください。