- 生活保護を受給するための要件
- 自己破産をしていても生活保護を受けられる
- 生活保護を考えている場合には自己破産で債務を無くす方が良い
【Cross Talk】働けなくなったので生活保護を受けたい…自己破産をしても大丈夫?
私は働きすぎが原因で倒れてしまい、うつ病と診断されて会社を自主退職しました。しばらくは失業手当が出ていたのですが、体調が良くならないので、ずっと働けない状態が続いています。生活保護を受けようと思っているのですが、借金もあって自己破産できなくなるんじゃないかと思っているのですが…。
生活保護を受給したからと言って、自己破産ができなくなるわけではありません。逆に自己破産後に生活保護を受けることも問題ありません。借金の返済をしながら生活保護を受け取ることは難しいので、早めに自己破産手続きに着手しましょう。
そうなんですね!相談に乗っていただけますか?
借金返済ができなくなった人の中には、病気や怪我・失業が原因で働けなくなってしまい、収入がなくなるようなケースもあります。
このような場合が長く続くようであれば生活保護を受けることや、自己破産等の債務整理を検討する方も多いでしょう。
なかには自己破産をすると生活保護を受けることができない、というイメージを持っている方もいるのですが、実際に自己破産をしても生活保護を受けることは可能です。また、借金があるような場合に生活保護を受けるには自己破産をすることが多いです。
自己破産をしても生活保護を受けられる
- 生活保護の要件
- 自己破産をしても生活保護を受けることはできる
自己破産をしても生活保護を受けることができるということで良いですね?
はい、生活保護の法律上の要件に自己破産をしていないことは要件になっていません。
自己破産をしても生活保護を受けることができることを確認しましょう。
生活保護を受けるための要件
生活保護を受けるためには、生活保護法4条記載の4つの要件を満たす必要があります。
1.資産を持っていないこと(生活保護法4条1項)
貯金がある場合はもちろん、家・土地・車など自分の資産がある場合には、そういったものをお金に換えて生活に充てることが必要です。
2.能力に応じて働くことができないこと(生活保護法4条1項)
働く能力があるにも関わらず働いていない、といったような場合には、生活保護を受けることはできません。
本件の相談者のように病気・怪我・高齢などで働くことができないような場合に生活保護がうけられます。
3.あらゆるものを活用していること(生活保護法4条1項)
老齢年金・障害年金・失業手当などを利用できるものがあるような場合は、まずそちらを使いましょうということになります。
4.扶養義務者からの扶養がない。(生活保護法4条2項)
民法877条は親族間の扶養義務を定めています。
扶養義務者が扶養できるような場合には扶養をしてもらい、扶養ができないような場合、扶養を受けられても最低限度の生活をするのに十分な扶養を受けられないような場合に初めて生活保護を受けることができます。
自己破産をしたことは生活保護を受けるためにマイナスにはならない
生活保護の要件は以上の4要件です。自己破産を過去にしたことは,生活保護を受けるにあたっての判断に影響しません。
むしろ生活保護を検討しているのであれば早期に自己破産をするべき
本件の相談者のように、現在借金があり、収入もないという方もいらっしゃるかもしれません。
このような場合には、収入を得るために生活保護・借金については債務整理を検討することになります。
借金については後述するとおり、生活保護を受ける場合には生活保護費から返済をすることはできないですし、そもそも借金がある場合には生活保護が下りない可能性もあります。早めに債務整理をすべきであるといえます。
生活保護受給をする際の債務整理は自己破産
- 生活保護費で返済をすることはできない
- 生活保護の受給をするならば自己破産をする
自己破産をしても生活保護を受給できることは分かりました。現在仕事ができない状況なので、最悪の場合、自己破産をしようと思っています。ただ、借りている以上、借金をしっかり返したいという気持ちもあるので、まずは借金を返しながら生活保護を受給したいのですが、それも可能ですか?
生活保護費から借金返済をすることはお勧めできません。生活保護を受けるときには自己破産をすることになります。
生活保護をもらうときの債務整理はどのようにすべきなのでしょうか。
生活保護費で借金の返済をすべきでない理由
生活保護を受けるときにもらえる保護費は、生活をするにあたって最低限度必要なお金です。
生活保護費を何に使うかについては法律上制限されていませんが、生活保護費で借金の返済をすると、役所側から、生活保護の趣旨に反する使用だと判断され、生活保護を打ち切られるおそれがあります。そのため、生活保護費で借金の返済をすべきではないでしょう。
借金がある状況で生活保護を受給する場合、自己破産もした方が良い
このように、生活保護費で借金を返済すべきではございません。
もっとも、生活保護を受給したからといって、貸金業者からの督促が止まるわけではございません。
そのため、借金がある状況で生活保護を申請する場合、申請の前に破産をするか、申請と同時に破産をすることが多いです。
また、行政側からも、生活保護申請時に、事前に破産をするように勧められることが多く、事実上、生活保護の申請を受け付けてくれない場合もあります。
生活保護申請をスムーズに進めるためにも、自己破産をしたうえで生活保護申請をする方が良いでしょう。
まとめ
このページでは自己破産と生活保護との関係についてお伝えしました。
自己破産をしても生活保護を受けることは可能であるということを確認していただいた上で、生活保護費の中から返済をすることはできないので、自己破産をすることになる、ということを知っておきましょう。