- 大きな利益を得られる反面多額の借金を背負いやすい株やFXで借金をする人は多い
- 株やFX・先物取引などの投資で作った借金でも債務整理は可能
- 自己破産をする場合には管財事件になる点で注意
【Cross Talk】FXなどで多額の借金を背負ってしまったのですが、債務整理はできますか?
実はFXで多額の借金を背負ってしまいまして…そんな場合でも債務整理は可能なのでしょうか。
株やFX・先物取引などの投資で借金を負ってしまった場合でも債務整理はできます。ただし、自己破産手続きをする場合には、管財人が選任される管財事件になるので注意をしましょう。
テレビやマネー系の雑誌などで株などの投資で成功した芸能人の情報などを見て、様々なインターネットサイトの情報を見て、銀行のキャンペーン情報などを見て、など様々なきっかけで株やFX・先物取引といった投資をする方がいらっしゃいます。
これらの投資は利益を獲得できる反面、失敗をすると多額の負債を負うことでも有名です。
投資といってもギャンブルにも近いといえるこういった投資によって負債を負った・借金をしたような場合でも、債務整理は可能です。
ただし、債務整理の中でも自己破産手続きを利用する際には、免責不許可事由に該当するのですが、管財手続きという正式な手続きを通して、裁量免責を得ることによって免責を得ることができます。
増加する株やFXによる借金
- スマートフォンの普及やミニ株をはじめとした諸制度の整備により投資する人が多くなった。
- そのため株・FXにより借金を作る人も増加している。
そもそも、私のようにFXにハマってしまい多額の借金を負うような人ってごくごく少数派ですよね…?
いえ、スマートフォンの普及で投資も容易になったことから実は借金をする人は増えています。
株(株式投資)やFX(外国為替証拠金取引)・先物取引といった投資をすることによって、上手くいった場合には多額の利益を手にすることができます。
その反面、株価や為替相場の急激な変動などにより、上手くいかなかった際には、多額の負債を負うこともあります。株式投資については信用取引・FXの場合にはレバレッジによって、少ない元手で大きな額を動かすことが可能です。
特にFXは、現在は最大10倍までのレバレッジになっていますが、リーマンショックの頃にはこういった規制もなかったことから、多額の負債を負う人が続出しました。その後FXのレバレッジは50倍・25倍、そして現行の10倍へと徐々に規制してきたことから、一瞬で身を亡ぼすような取引の機会は減りました。
しかし、スマートフォンの普及によって、気軽にインターネットにつなげることが可能になったことから、投資に乗り出す人が続出しており、これによって失敗をして負債を負う人・借金をする人が急増しています。
株やFXによる借金も債務整理は可能
- 株やFXなどの投資による借金も債務整理は可能
本題なのですが、株やFXなどの投資による借金も債務整理はできる…ということで良いですか?
はい、債務整理を行うことができます。
では、実際に株やFXによって多額の負債・借金を負うようになった場合でも債務整理をすることができるのでしょうか。
まず、株やFXを行っている時に、たとえば相場の変動により差損が出たような場合には、証券会社に対して追証(おいしょう)などの負債を支払う必要があります。
この追証のために消費者金融・銀行から借金をした場合には、当然のことですがその支払いをする必要があります。
これらの返済ができなくなった場合には、当然ながら債務整理を考えることになります。
債務整理には、裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法である「任意整理」、裁判所に申し立てをして借金を免責してもらう「自己破産」、裁判所に申し立てをして借金を減額してもらう「個人再生」というものがあります。
後述するように自己破産をする場合には若干の注意点がありますが、どの手続きも利用することが可能です。
自己破産の免責不許可事由にはなる
- 株やFXなどの投資による借金は免責不許可事由にはなる
- 免責不許可事由がある場合でも、裁量免責によって免責される
債務整理はできるという事なのですが、ギャンブルをしたような場合には免責されない、という規定があると聞いたのですが…。
確かに、投資による負債は免責不許可事由に該当するのですが、裁量免責という制度によって免責されます。
自己破産は本来全額きちんと支払うべき債務・借金を裁判所に申し立てをして一方的に免責をしてもらうものです。
もしあなたがその人にお金を貸した立場になった場合、病気や怪我によって生活費の捻出ができなくなった場合と、ギャンブルやキャバクラ・風俗などで借金を作った場合で、同じように免責をされたらどのように感じるでしょうか。
前者はある意味仕方ないと思えるかもしれませんが、後者の場合には納得いくようなものではないですね。
そのため、破産法は債務・借金の原因や、手続きへの協力姿勢などから見て、免責するに値しないような場合を列挙して、それに該当する場合には免責をしない、としています(免責不許可事由)。投資で借金が払えなくなった…というのも当然に免責不許可事由にあたります。
では、免責されない=自己破産手続きの利用ができなくなる、と思うかもしれませんが、破産法は具体的な事情を考慮して免責しても良いと裁判所が判断した場合には裁判所の裁量で免責をする、裁量免責という制度を設けています。そして、真摯に手続きに協力して、きちんと反省をしていることを示せば、ほとんどのケースで裁量免責が認められています。
ただ、この場合、裁量免責相当なのかを調査するために、管財人という破産手続きを指導する立場の人が選任される管財事件というものになります。
管財事件の場合には、弁護士費用が若干高くなることがある上に、管財人に対する費用相当の金銭の予納が必要なので(東京地方裁判所に申し立てをする場合には最低約20万円)、注意が必要です。
債務整理後も銀行口座の開設は可能
- 株やFXで債務整理をした後でも銀行口座をつくることは可能
- ただし、債務整理をした対象の会社には口座の開設はできない。
株やFXで借金を負ったような証券会社に対する金融事故なんか起こすと、銀行の口座開設なんかできなくなるのでしょうか。
いいえ、銀行口座の開設も可能です。ただし、債務整理をした銀行で新しい口座の開設は無理だといえます。
債務整理とどうしても切ってもきれないのが「ブラックリスト」という信用情報に関する問題です。
さらに株やFXなど、金融機関である証券会社や銀行に対する債務整理をしたような場合には、金融機関からマークをされるのではないか?という心配をする方もいます。以上のイメージから、もう銀行口座は新たに開設できないのではないか?と心配をしてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、債務整理をしても新しい銀行口座を開設することを禁止する法律や慣行はありません。
ただ、A銀行に債務を負っていて自己破産をした際には、A銀行の口座が凍結されます。
その後同じA銀行に新しい口座開設をしようとしてもできませんので注意が必要です。この場合には他の債務整理の対象になっていない銀行に口座開設を申し込みます。
まとめ
このページでは、株やFXなどの投資行為によって借金を負った場合でも債務整理できることをお伝えしてきました。
FXのレバレッジ規制によって巨額の借金をすることがなくなったとはいえ、株・FXともになお大きな債務負担のきっかけになり、スマートフォンの普及で投資に乗り出す人も増えている昨今、債務整理をする人も増加しています。
このような場合でも債務整理自体は可能ですが、自己破産については注意が必要です。