- 自営業者や個人事業主は自転車操業に陥ることも
- 自営業者・個人事業主でも債務整理は可能
- 債務整理は早急に専門家に相談すべき
【Cross Talk】自営業者・個人事業主はどうやって借金を減らせばいい?
自営業をしていますが、このところ売り上げが落ち込み、借り入れた運転資金の返済に追われています。何とか借金を減らす方法はありませんか?
自営業者や個人事業主であっても、債務整理は可能です。それぞれの状況にふさわしい債務整理の方法を選択することで、借金を減らすことができます。
債務整理ができるのですね!詳しく教えてください。
自営業者や個人事業主は、金融機関から運転資金などの借入をしていることが珍しくありません。
約束どおりに返済できていれば問題ありませんが、自営業者・個人事業主は収入が不安定な場合も少なくなく、返済にあてるために新たな借入をするなどして借金がどんどん膨らんでしまうということもあります。
そこで今回は、そのように借金が膨らんでしまった自営業者・個人事業主が借金を減らす方法について解説します。
自営業者や個人事業主を襲う借金地獄
- 自営業者・個人事業主は思わぬ支出などで借金をしてしまう可能性がある
- 借金を返すために新たな借金をする自転車操業になるおそれも
自営業者や個人事業主が借金の返済に苦しむのは、どんな理由が考えられますか?
自営業者・個人事業主が事業を営むには多くの支出が必要になりますが、だからといってそれに見合った収入を安定して得られるとは限りません。収入が少ないために借入をしてしまうということは珍しくないのです。
その後、収入が増加すればいいのですが、収入が増えないと返済のためにさらに経営が苦しくなり、新たに借金をするという事態に陥りかねません。このようにして、借金の返済に苦しむことになるのです。
自営業者や個人事業主は、賃料、什器備品の費用、仕入れ等の費用、従業員の人件費など、事業をするために様々な出費を要します。
しかし、自営業者・個人事業主の収入は、給与所得者(サラリーマンなど)のように安定しているものではありません。
想定していたより売上が少ない、予想外の支出が発生してしまった、取引先が倒産してしまって売掛金が回収できなくなった等の様々理由から、事業を続けるためにやむなく借金をすることもあります。
借金をしてもしっかり返済できていれば問題はありませんが、借金をした後も売上が伸びないなどの理由で収入が増加しない場合、借金の返済のためにさらに経営が苦しくなり、借金を返済するために新たな借金をする、いわゆる自転車操業状態になってしまいます。そうなると、利息を返済するのが精一杯になり、いつまでたっても元本が減らず、借金まみれになる可能性が高くなります。
事業継続しながら、債務整理はできる?
- 事業継続をしながら債務整理も可能
- 事業継続をしながらの債務整理は個人再生がおすすめ
できれば今の事業を継続しながら債務整理をしたいです。
個人再生の利用を検討してみましょう。
事業継続をしながら債務整理をすることはできるのでしょうか?
事業継続しながら債務整理は可能!個人再生がおすすめ
事業継続しながら債務整理をすることは可能なのでしょうか?
後述しますが、自己破産では事業継続は難しい可能性が高いのですが、それ以外の手続きであれば事業継続をしながら債務整理は可能です。
取引先に債権者がいないような場合には、借金減額の効果が高い個人再生がおすすめです。
個人再生の種類
個人再生には次の二種類があります。
小規模個人再生
小規模個人再生とは、継続的には又は反復して収入を得る見込みがあり、再生債権の額が5,000万円を超えない場合に、民事再生法第13章第1節の規定に従って行われる民事再生手続きのことをいいます(民事再生法221条1項)。
この手続きは小規模の個人事業者が利用することを想定した制度で、個人事業主が利用しやすい手続きです。
給与所得者等再生
給与粗所得者等再生とは、継続的には又は反復して収入を得る見込みがあり、再生債権の額が5,000万円を超えない場合の中でも、給与やこれに類する収入を得ていて、変動の幅が小さいと見込まれるような場合に、民事再生法第13章第2節の規定に従って行われる民事再生手続きのことをいいます(民事再生法239条)。
個人事業主でも、固定の取引先から、安定した報酬があるような場合に利用可能です。
その他個人事業主や自営業者が借金を減らす債務整理方法
- 自営業者・個人事業主も債務整理ができる
- 状況に応じて適切な債務整理を選択する!
自営業者や個人事業主が借金地獄から抜け出すにはどうすればいいですか?
自営業者や個人事業主であっても債務整理は可能ですから、それぞれの状況に応じた債務整理を行うことで、借金負担を軽減することができます。
自営業者や個人事業主が借金を背負ったとしても、債務整理をすることで借金を減額することができます。
債務整理には、大きく分けて次の4種類があります。それぞれ手続きや効果が異なりますので、借金の総額や支払能力などを考慮して最適な方法を選ぶといいでしょう。
任意整理
任意整理とは、裁判所を通した手続きをとらず、依頼を受けた弁護士が直接債権者と交渉して借金を減額させたり、支払い方法を無理のない分割払いにする方法のことをいいます。
裁判所を介さないので、債務整理の中ではもっとも簡易な方法であり、費用も掛かりませんし、交渉がうまくいけば時間もそれほどかかりません。
ただし、あくまで任意の交渉ですから借金減額の効果はさほど大きくありませんし、分割による支払条件について、債権者との交渉が常にうまくいくとも限りません。
ですから、借金の額があまりにも大きいような場合には、任意整理では借金問題を解決できないこともあるでしょう。
特定調停
特定調停とは、裁判所の仲裁によって、債権者と返済方法などについて話し合いをする手続きのことをいいます。
裁判所の調停委員が双方の言い分を聞いて話し合いを仲裁してくれるので、任意整理と違って直接債権者と交渉する必要はありません。
ただし、話し合いで合意を目指すことに変わりはないので、借金減額の効果はそれほど大きくありません。
自己破産
自己破産手続(及びそれに伴う免責手続)は、債務者の財産を清算して返済に充て、そのうえで残った借金の支払義務を免除する裁判所の手続きです。
支払義務がなくなるわけですから、借金の減額という点に限れば最も効果があると言えます。
ただし、借金の免除というメリットだけでなく、財産を清算しなければならないというデメリットがあることに注意が必要です。
自営業者・個人事業主の場合、事業で必要となる什器備品や在庫なども、経済的価値があれば清算の対象になってしまいますので、事業の継続が難しくなることが考えられます。
それぞれの債務整理手続の詳細については、「借金が返済できない!どうにかしたい!借金(債務)整理の手続4種類の特徴を教えて!」をご参照ください。
知識・経験のある専門家にいち早く相談することが重要
- 借金問題は早期の解決を!
- 借金問題は専門家である弁護士に相談するのがおすすめ!
自営業者・個人事業主でも債務整理できることはわかりました。ただ、何から手を付けていいのかよくわかりませんし、仕事もあるのでなかなか手続きを進められそうにありません。
借金問題を放置すると、利息が膨らんでどんどん借金が増えて行ってしまいます。そうなると、任意整理や特定調停では解決できず、選択肢が少なくなってしまうこともありえます。ですから、借金問題でお困りの場合は、早急に専門家である弁護士に相談すべきです。
いずれの債務整理方法を取るにしても、借金は時間が経過するほど自転車操業で借入が増えたり、返済ができずに利息や遅延損害金が膨らんだりします。
借金の額が増えると、減額の効果が小さい任意整理や特定調停では借金問題を解決できず、個人再生や自己破産といった複雑な手続きが必要になり、場合によっては事業を継続できなくなるおそれもあります。
ですから、借金問題を抱えている場合には、債務整理の専門家である弁護士に早いうちに相談することが重要です。
まとめ
自営業者・個人事業主の債務整理について解説しました。借金でお悩みの自営業者・個人事業主の方には、早急に債務整理に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。