- 個人再生は民事再生法に基づいて裁判所に申し立てる手続き
- 申立てにあたっては申立書と付属書類を添付して提出することになる
- 申立て自体は個人でも行えるが、弁護士に依頼をすることで大きなメリットを得られることも
【Cross Talk】個人再生の書類を知りたい
個人再生をするには書類を揃える必要があるのですか?
はい、個人再生は裁判所に申立てをして行う手続きですので、書類が必要です。
どのような書類が必要ですか。
申立書と申立書に添付する書類があります。
個人再生は裁判所に申立てをして行う手続きです。申立ては書類を提出して行うことになっており、申立書という書類を作成をして提出をします。申立書に記載している事項を補足したり、裏付けるための資料として添付資料も併せて提出することになっています。
個人再生は書類が必要な手続き
- 個人再生の申立てはどのようにして行うのでしょうか?
- 裁判所に申立てをして行うという特徴
- 申立てにあたっては書類を提出して行うように規定されている
個人再生の申し込みはどのようにしているのでしょうか?
規則で書類を提出して行うことになっています。
個人再生は、任意整理・自己破産と同様に債務整理の一手法で、借金を圧縮したうえで分割して支払いを行う手続きです。
この個人再生は、民事再生法という法律に基づいて行う手続きで、手続きの利用は裁判所の許可が必要となっています。
この許可を得るためには、裁判所に個人再生をすることの申立てをすることになっています。
民事再生法を個人が利用する個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2つの種類があります。
個人再生の申立方法について、民事再生法では特に規定はしていませんが、裁判所が民事再生手続きについて「民事再生規則」というものを定めており、その2条において申立ては書面でしなければならないとしています。
これを受けて、個人再生は、申立書と付属書類を提出することになっています。
個人再生に必要な書類~申立書
- 申立書に書くことは民事再生規則で決まっている
- 日本弁護士連合会でもフォーマットを出している
提出する申立書にはどのようなことを記載するのですか?
民事施行規則第12条等に規定されている事項を記載するのですが、日本弁護士連合会のホームページにフォーマットがあるので、それを参照に埋めていく形になります。
個人再生の申立書にはどのような事項を記載するのでしょうか。
全ての民事再生手続きの申立書に記載すべき事項については、民事再生規則第12条に規定があります。
また、小規模個人再生については民事再生規則112条に、給与所得者等再生については136条1項・2項に規定がされています。
どのような事を記載するかについての細かい規定がそれぞれ説明されているのですが、それらの民事再生規則で定められた事項がきちんと記載されたフォーマットが、日本弁護士連合会のホームページに掲載されています。
実務上もこのような書式に必要な事項を記載して提出して行います。
個人再生に必要な書類~添付書類
- 民事再生を利用する要件を満たしているかなどの確認のために、添付書類の提出が義務付けられている
申立書のほかにも添付する書類が必要なのですか?
はい、民事再生をするにはいくつかの要件があり、その要件に合致しているかを確認するためのものとして添付書類の提出が義務づけられています。
民事再生手続きは借金の返済に困っている…というだけで申立てができるものではなく、支払い不能のおそれなどの要件を満たす必要があります。
申立書記載事項の裏付けや、個人再生手続きを利用する要件を満たしているかどうかを確認するという観点から、添付書類の作成・収集が義務付けられています。
債権者一覧表
債権者の氏名など、必要な事項を記載したものを、小規模個人再生でおいては民事再生法第221条3項において債権者一覧表と呼んでおり、その提出を必要としています(民事再生規則14条でも同様に規定)。
給与所得者等再生においては同法第244条が第221条3項を準用しておりますので、同様に必要になります。
債権者一覧表に記載すべき事項としては、221条3項各号、民事再生規則第114条1項各号に規定されていますが、こちらも前述した日本弁護士連合会のホームページにフォーマットがありますので、そちらを利用するのが一般的です。
住民票の写し
申立書には申立人の氏名住所が掲載されており、これを裏付ける書類として住民票の写しが必要とされます(民事再生規則第14条1号)。
財産目録
民事再生手続きでは、清算価値保証原則という、保有資産に関する特約があります。
そのことの確認のために、個人再生手続きでは、保有している資産について財産目録の提出を必要としています。
財産目録についても前述の日弁連のホームページにフォーマットがあります。
給与明細・確定申告書の写し等
個人再生手続きにおいては、支払い不能であることや、個人再生で圧縮した債務を減らすことができるかということに関する計画(再生計画)などで、収入がどの程度あるのかが参照されます。
そのため、給与明細や確定申告書類に関する書面・家計の状況を記載したものを提出する必要があります(民事再生規則112条3項1号)
家計の状況を記載したものについては、上述の日本弁護士連合会のホームページに記載があります。
財産目録に記載された財産の価額を明らかにする書面
財産目録の作成をする必要があるのですが、当然ながらその内容は申立人の財産の状況を正確に表すものでなければなりません。
ですので、財産目録に記載された事項が正しいものであることの裏付けをするための書面の提出が必要とされています(民事再生規則第112条3項2号)
よく添付を求められるものとしては、退職金がある職場に勤務している方は、退職金証明書などの書類を提出します。
自動車を持っている場合には、車検証とともに、販売する際にいくらになるか、という査定をしてもらったものを提出します。
住宅・敷地の登記事項証明書等
個人再生を利用するメリットとして、住宅ローンは個人再生手続きから除外して従来通り支払い続けることができる特例である、住宅資金特別条項の利用によって自宅を維持できる場合があります。
この住宅資金特別条項の利用をする場合には、維持しようとしている不動産に関する建物・土地などの登記事項証明書等、住宅ローンに関する契約書など、民事再生規則102条にある書類を提出する必要があります。
登記事項証明書は実務的にはよく「登記簿」という言われ方をします。
一部弁済許可申立書
住宅資金特別条項を利用する場合に、住宅ローンについての弁済をするために必要な書類が、一部弁済許可申立書です。
住宅資金特別条項を利用する場合でも、再生計画が認可されるまでは、再生債権の弁済はできなくなります(民事再生法85条1項)。
この規定によって住宅ローンの返済を停止する場合でも、住宅ローンについて遅延損害金の支払い義務や、期限の利益が失われてしまうことになってしまいます。
このため、一部弁済許可という条項が規定されており(民事再生法197条3項)、裁判所の許可を得るために、一部弁済許可申立書の提出が必要です。
その他
法令で規定されているのは以上ですが、これらの書面の他に、実務的に提出するようになっているのが、清算価値算出シートです。清算価値保証条項に関する判断をしやすくするために、清算価値算出シートの提出が求められています。
個人再生申立て後に提出する書類
- 個人再生申立て後に提出する書類
- 財産状況等報告書・債権認否一覧表・再生計画案が必要
個人再生を申立てた後には書類の提出は必要ですか?
はい、財産状況等報告書・弁済計画表・再生計画案が必要です。
個人再生を申立てた後には次のような書類が必要になります。
財産状況等報告書
申立てをした直後で1ヶ月くらいを目安に提出する書類が、財産状況等報告書です。
申立て時に財産目録を提出しているので、ほとんどの場合で「財産目録に記載した通り」とチェックできる欄にチェックをして提出することになります。
申立て後に何らかの原因で財産状況が変動した場合には、変動内容を記載します。
債権認否一覧表
個人再生が始まると、債権者は裁判所に債権の届出を行います。
その内容について、届け出た内容を認めるか異議の有無を一覧表にして提出します。
異議がある場合には異議書として、異議の内容をまとめて提出をします。
再生計画案
個人再生で減額した債権をどのように返済するかを示す書類を提出する必要があります。
この計画案をもとに、再生計画案の認可/不認可の判断がされるので、慎重に作成する必要があります。
再生計画による返済計画表(案)
併せて、再生計画による返済計画表(案)を別途作成して提出する必要があります。
返済計画を一覧表にしたものです。
自分で個人再生をするよりも弁護士に依頼する方が良い理由
- 弁護士にサポートしてもらうほうが失敗せずに個人再生ができる
個人再生は弁護士に依頼したほうがいいのでしょうか。
弁護士費用を気にして自分でやろうと思っている方もいらっしゃいますが、弁護士に依頼したほうがサポートは厚く失敗の可能性は大幅に減ります個人再生を弁護士に依頼すれば、どうしても弁護士費用が必要となるのですが、それでも弁護士に依頼したほうが良いのには次のような理由があります。
書類作成の代行またはサポートが受けられる
個人再生の申立てには、ここまで述べてきたようにたくさんの書類の作成・収集が必要です。
債務を大幅に減額してもらえる、特別な手続きですので、その運用は厳格で、確実に抜け・漏れなく進めていかなければなりません。
弁護士に依頼すれば、手続き書類の作成を頼むことができ、必要な添付書類にはどのようなものがあるか、サポートを受けながら手続きを進められます。
債権者から督促を受けなくて済む
貸金業者への返済が遅れると、電話・郵送・訪問で督促を受けることになります。
弁護士に個人再生を依頼すると、貸金業法21条1項9号によって、正当な理由がない限り本人に督促をすることができなくなります。
そのため、落ち着いてじっくり申立ての準備ができます。
仕事の支障を抑えて進められる
日中仕事をしている方ですと、添付書類を収集するために、役所に電話をかけたり折り返しの電話をもらったりなどの対応をする際に、仕事を抜けなければならない場合があります。
弁護士に依頼すれば、効率よく手続きを行うことができるので、仕事に支障を抑えて、資料の作成・収集を進めることが可能です。
まとめ
このページでは、申立てに必要な書類についてお伝えしてきました。
個人再生は裁判所に申立てをする手続きなので申立てには書類が必要であり、申立書と添付書類をきちんと揃えて提出する必要があることを知っていただいたうえで、手続きを確実に進めるのであれば、弁護士に依頼をすることが重要であると考えておきましょう。