- 個人再生の返済は再生計画案が認可されて1ヶ月後から始まる
- 履行可能性テストがある裁判所へ申し立てると再生計画案の認可前に支払いがはじまる
- 依頼をした後は弁護士費用の支払いがあるので忘れずにする
【Cross Talk】個人再生の支払いはいつからはじまるの?
個人再生を利用しようと思っているのですが、支払いっていつからはじまるんですか?
「支払い」を「債務の返済」という意味で捉えるのなら再生計画案が認可された1ヶ月後ですが、現実には弁護士費用の支払いや、東京地裁への申立ての場合には履行可能性テストというものがあります。
個人再生手続きを利用した場合、実際に債務の支払いをするのは再生計画案が認可された1ヶ月後になります。しかし、個人再生を利用すると、まずは弁護士費用の分割での支払いや、東京地方裁判所に申し立てるような場合には履行可能性テストというものがあり、再生計画案認可までの間にも様々な支払いがあるので注意をしましょう。
個人再生の全体スケジュールを把握しよう
- 個人再生のスケジュールを確認する
個人再生において債務の返済はどのあたりから始まるのですか?
再生計画案が認可された1ヶ月後なので本当に一番最後です。いったん個人再生全体のスケジュールを見てみましょう。
まずは、個人再生の全体のスケジュールの把握をしましょう。
1)弁護士に法律相談をする
個人再生を含む債務整理は、突然裁判所に申込みをすることで始まるのではなく、弁護士に法律相談をするところからはじまります。
たしかに法律上は本人が裁判所に直接申し立てをするという形で個人再生を利用することは禁じていません。
しかし、個人再生は本来全額払うべき債務を減額する手続きなので、厳格な手続きによるものです。
そのため、申立書を作成して添付書類を揃えて裁判所に申立てをすることになり、その準備には弁護士に依頼しても最低1ヶ月~2ヶ月はかかります。
弁護士に依頼をすると弁護士費用がかかるのですが、依頼をしてからは返済を止めることができ、督促を受けないで済むようになるので、落ち着いて申立てができます。
弁護士に依頼をするためには、まずは弁護士に法律相談をするところからはじまります。
2)依頼した後は弁護士費用の支払いと債権の調査
弁護士に依頼をした後は弁護士費用の分割払いを行い、弁護士は債権者に対して受任通知という依頼を受けたことを知らせる通知を債権者に送付し、債権者から債権の届け出を受けたり債権調査のための取引履歴の取り寄せをおこないます。
3)申立ての準備
弁護士費用が支払われた頃には債権の調査も終わっていますので、申立ての準備を始めます。
申立書に記載する事項を擦り合わせて、添付書類の収集を行います。
4)個人再生手続きの申立て
書類作成が終われば申立てを行います。
裁判所からは手続きを指揮する個人再生委員が選定されることがあります。
5)申立手続の開始決定
裁判所が手続きを開始する決定を出します。
6)債権の届け出
決定がでると、債権者は「私は債権者です」という事を伝えるために、債権の届け出の手続きを行います。
これにより漏れている債権者がないかといったことを確認します。
7)再生計画案の認可
届け出た再生計画案が認可されると、1ヶ月後の指定された期日から債務の支払いがはじまります。
個人再生の支払いが始まるのはここだ
- 個人再生の支払いは再生計画案が認可された1ヶ月後
- ただし、弁護士費用の支払いや履行可能性テストといった支払いもあることを知っておこう
返済が始まるのは一番最後ですよね?
はい、再生計画案が認可された1ヶ月後です。ただし弁護士費用の支払いや、東京地裁に申し立てると履行可能性テストがあるので、それらも併せて知っておいてください。
個人再生の手続きを利用した場合、債務の支払いは上述しているとおり、再生計画案が認可されて1ヶ月後に始まります。
しかし、個人再生手続きには様々な支払いが生じますので、広く「お金を支払う必要があるのはどのような場合か?」という観点で次のようなものを確認しておきましょう。
まず、依頼をした後には弁護士費用の支払いがあります。
弁護士費用については通常、弁護士が手続きを始める前に着手金という形で一括して支払うのですが、債務整理を必要としている状況の人にそのような支払いは難しい事の方が通常です。
ですので、債務整理を多く経験している事務所のほとんどが、一旦依頼は受けるとして費用は分割で支払うことを認めています。
まず弁護士費用の支払いをしないと手続き自体が進みませんので、必ず必要な支払いとして認識をしておいてください。
仮に弁護士費用の支払いが滞る状態が続くと、弁護士は辞任をするので、一斉に債権者から債務を請求されることになります。
なお、再生委員が選任される場合には予納金として、裁判所から15万円の支払いを求められ(東京地方裁判所で弁護士に依頼して申し立てた場合)、申立てまでにこれも一緒に用意することになります。もっとも、場合によっては、この予納金については、再生申立て後、分割して支払うことも可能です。
2)履行可能性テスト
東京地方裁判所に申立てをする場合には、申立てをした後に「履行可能性テスト」というものがあることを知っておきましょう。
「履行可能性テスト」というのは、債務の履行(=支払い)ができるかどうかをテストすることをいい、申立てをしてからしばらく再生委員に支払いをすることをいいます。
これは申立てをするとすぐに始まるとに認識しておきましょう。
3)返済の開始
裁判所での手続きが終わって再生計画案が認可されると、1ヶ月後から債務の返済が始まります。
この支払いが全部終わると、個人再生手続きは終了という事になります。
返済できなくなってしまうと、自己破産手続きに移行することになりますので、きちんと支払えるようにしておきましょう。
まとめ
このページでは、個人再生手続き全体の流れをみながら、個人再生の支払いのタイミングについてお伝えしました。
債務の支払い自体は手続き全体でも最後まで無いのですが、弁護士費用の支払い・履行可能性テストなど、個人再生の準備期間中や手続き開始後にも、お金の支払いが必要なものはたくさんあります。
近々で沢山のお金を使うような場合もあるときには、個人再生を依頼する弁護士に相談するようにしましょう。