- 自己破産手続きの概要
- コロナウイルス感染症対策で影響を受けた人が自己破産手続きをする場合の注意点
【Cross Talk】コロナウイルス感染症対策で影響を受けて借金返済ができなくなりました
私は会社員として勤務していたのですが、コロナウイルス感染症対策で会社の事業が縮小しているせいで残業が減り、大きく収入が落ちました。もともと残業が多くて残業代があることを前提にして借金返済を頑張っていたのですが、アテにしていた残業代がなくなって借金返済ができません。このような場合でも自己破産はできますか?
返済ができないのであれば自己破産の利用は可能です。コロナウイルス感染症対策で影響を受けそうなことについて考えてみましょう。
よろしくお願いします。
2020年に全世界で蔓延しているコロナウイルス感染症の対策のために経済活動に大きくブレーキがかかっています。観光業や飲食業を中心に経済的な影響を大きく受けた結果、収入が無くなった・減ったことが原因として自己破産を検討する方も多いのではないでしょうか。このページではコロナウイルス感染症対策によって影響を受けて自己破産をする場合の注意点についてお伝えします。
自己破産手続きの概要
- 自己破産手続きとは
- 他の債務整理手続きとの違い
借金返済に困ったら自己破産と思っていたのですが、債務整理といってもいろいろな手続きがあるんですね。
はい、自己破産は債務整理の中の一つです。自己破産手続きの概要と他の債務整理との違いなどを考えてみましょう。
自己破産手続きと他の債務整理手続きの違い
自己破産手続きとは
自己破産手続きは、債務整理方法の1つで、裁判所に申し立てをして所定の手続きによって借金の返済を免除してもらうものです。
他の債務整理手続きとの違いは
債務整理には他に任意整理・個人再生といった方法があります。
これらの手続きはいずれも借金を減額してもらって返済を続ける手続きであり、自己破産手続きは借金返済を免責してもらうことができる点に特徴があります。
そのため、債務整理の中でも最も早く経済的に立ち直ることができる点に特徴があります。
どんな人が自己破産手続きに向いているか
債務整理の中でも自己破産はどのような人に向いているのでしょうか。
まず、任意整理・個人再生が返済をすることが前提である手続きである以上、収入を失っているなどして返済ができなくなっている人は自己破産手続きを利用することになります。
任意整理は借金の元金を36回(3年)~60回(5年)で分割返済をする手続きですので、この支払いができない場合は収入があっても任意整理をすることはできません。
例えば借金が300万円ある場合には、一番長期の60回の分割返済をする場合でも毎月5万円の支払いが必要です。
毎月3万円程度の支払いしかできないのであれば、自己破産を検討することになります。
また、自己破産をすると一定の資格で登録する職種につけなくなるので(警備員・宅建業・保険外交員など)、自己破産よりも個人再生を利用することになります。
借金の額・返済能力を中心とした事情によって個々に判断せざるを得ないので、どの手続きが向いているか弁護士に相談して検討するのが良いでしょう。
コロナウイルス感染症対策で自己破産をする際の注意点
- コロナウイルス感染症対策で影響をうけたことが原因でも自己破産をすることはできる
- ギャンブルなどが原因で借金を始めた人がコロナウイルス感染症対策で影響をうけて借金が払えなかった場合でも少額管財になる
- コロナウイルス感染症対策で裁判所の期日が延びる可能性がある
自己破産手続きの概要についてはわかったのですが、コロナウイルス感染症対策で影響をうけたことが自己破産手続きに影響を与えるのでしょうか。
影響がある場合もあるので確認してみましょう。
コロナウイルス感染症対策で影響を受けた人が自己破産をする場合に何か影響はあるのでしょうか。
コロナウイルス感染症対策が原因でお金を借りた場合の自己破産
コロナウイルス感染症対策が原因で収入が少なくなったなどしてお金を借りた場合でも自己破産手続きの利用は可能です。
急に返済ができなくなったことから、直近でとにかくお金をあちこち借りてまわったけども、全く収入の目途がたたないような場合もあります。
このような場合には、借り入れをして一度も返済をしないまま自己破産手続きを行うようなこともあります。
このような場合、貸金業者としても詐欺を疑って強硬な態度を取ることがあり、すぐにでも訴訟を起こして財産を差し押さえにかかることもあります。
返済ができない…と長期間悩んでいるとあっというまに給与を差し押さえられることもあり得ますので、返済ができない場合には早めに弁護士に相談をするようにしましょう。
コロナウイルス感染症対策が原因で返済ができなくなった人の自己破産
もともと借金をしていて返済をしていたけども、コロナウイルス感染症対策が原因で仕事がなくなる・減るなどして自己破産をする場合もあります。
自己破産をする場合、競馬やパチンコなどのギャンブル・キャバクラなどの遊興・過度なショッピングなど、不適切な借り入れ原因で借金をしたような場合には、免責不許可事由となり、少額管財手続きで裁量免責を得るのが基本です。
「コロナウイルス感染症対策で影響を受けて返済ができなくなった場合には、やむを得ない返済不能ではないか?」と思うかもしれませんが、判断はあくまで借金をしたときの基準で考えますので注意をしましょう。
期日延期の関係で手続きに時間がかかる
コロナウイルス感染症対策の一環として、緊急事態宣言を解除した後も裁判所は従来どおりに期日をすすめていません。
例えば東京地方裁判所では通常の裁判期日も隔週で行っており、自己破産手続きを取り扱う民事20部も緊急性があるものから順次受け付けていて、破産申し立て・申立後の手続き進行について大幅に時間がかかっている状況です。
そのため、たとえば職業制限の期間や、郵送物が管財人に送られる期間が延びるといったことも想定され、再度コロナウイルス感染症が広く蔓延して、緊急事態宣言が発令されるようなことがあれば手続きがストップすることも考えられます。
一般的には申し立てからは同時廃止から2ヶ月程度で、少額管財は早ければ3ヶ月程度で終了するという情報を目にすることもあると思いますが、その期間はかなり伸びるということを覚悟しておくべきです。
まとめ
このページでは、コロナウイルス感染症対策によって影響を受けた人が自己破産をする場合についてお伝えしてきました。
コロナウイルス感染症対策によって手続きの進行に影響を受けていることもあるので、なるべく早めに弁護士に相談するのが良いといえます。