借金返済に困って任意整理をした場合に仕事・家族その他生活にどんな影響があるのかを詳しく見てみましょう
ざっくりポイント
  • 任意整理をした場合に仕事に影響することはほとんどない
  • 任意整理は自己破産・個人再生に比べて家族に内緒にできる可能性が高い
  • 任意整理をしたことによって家族に影響することはほとんどない
  • 任意整理をすることによって発生する生活の変化を知っておけば怖くない

目次

【Cross Talk】任意整理をすると仕事・家族などに影響して、生活に支障をきたすようなことはあるのか。

任意整理をすると生活が変わってしまいそうで怖いです。

例えばどんなことが変わると思っていますか?

仕事をするのに影響がでたり、家族に知られてしまったり、任意整理をした影響が出るようなことです。

若干の例外がありますが、基本的には影響はないと考えてもらって差し支えありません。他にも注意点をお伝えします。

任意整理により仕事・家族への影響などは心配する基本的に心配する必要はないが、例外もあるので専門的な弁護士に相談をする。

自己破産や個人再生に比べ、任意整理は簡単な手続きで行うことができるので、今までの日常生活をあまり崩さずに行うことはできます。例外的に影響することはありえますので、専門的な知識を持つ弁護士に相談をする必要があります。

任意整理は生活への影響が出づらい

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 債務整理の手続きである任意整理は自己破産・個人再生と比べると影響が少ない。

なるべく生活に影響が及ばない形で借金をどうにかしたいのですが。

債務整理の中でも任意整理は日常生活への影響が少ないです。

借金返済ができなくなった時に利用する債務整理ですが、借金を免除・減額してらえるというメリットがある一方で、これを利用する場合には生活をしていく上で何らかの影響は生じます。
すべての手続きに共通するのがいわゆる「ブラックリスト」です。

借入をするにあたって信用情報という個人の与信に関する情報を参照するのですが、任意整理・自己破産・任意整理のどれを利用する場合でもこの信用情報にその事実が記載されます。

これがブラックリストといわれる状態です。

その結果、住宅ローン・自動車ローンなども含む借入ができなくなったり、同様に信用情報を参照するクレジットカードを作ることもできなくなります。

自己破産や個人再生を利用すると、裁判所に申し立てをした上で審理をしてもらう関係上、どうしても裁判所に行かなければなりません。最近は弁護士・司法書士への相談は夜間や土日でもできるようになりましたが、公的な機関である裁判所は夜間土日に対応していません。

そのため、平日の日中に時間を取る必要があるので、平日の日中に仕事をしている人は、お休みをするなどして時間調整する必要があります。
自己破産手続きで少額管財という手続きになった時には、自分宛てにくる郵便物はすべて管財人に送付されて中を見られた上で申立人に送付されることになっています。

2週間程度の郵送物がまとめて管財人から送られてくるという状態になるので、同居の家族に知られてしまう可能性は高いでしょう。裁判所の手続をとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法である任意整理を利用する場合には、弁護士が債権者と話合いをして手続きを終わらせてくれますので、生活への影響を最小限に抑えることができます。

任意整理の仕事への影響を知る

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理をしたからといって仕事を解雇されるようなことはない
  • 会社でクレジットカード加入が義務になっている場合には注意が必要
  • むしろ借金を放置しているほうが仕事への影響が大きい

任意整理を利用していると今の仕事が出来なくなるということはありませんか?

そのようなことはありませんので安心してください。

会社に知られてしまうということはありませんか?

ものすごく例外的なケースを挙げると可能性としては0とはいえませんが、基本的にはありません

任意整理をしたことが仕事との関係でどう影響するでしょうか。

任意整理を理由に解雇をされることはない

まず、任意整理を理由に解雇されることはありません。
債務整理に関するホームページやwebコンテンツを読んでいると「警備員・宅建士などの資格をもっている人は仕事につけなくなる」という記述を見かけるかもしれません。
しかし、これは自己破産をする場合に発生する「欠格事由」というものに基づくものなので、任意整理をする場合にはあてはまりません。

労働に関する法律の中にも任意整理や債務整理を利用したことに対するペナルティを課すような条文はないので、解雇はないと考えてよいでしょう。

会社に知られずに任意整理をすることができる?

いくら解雇はできないとしても、債務整理をするような人だと会社にわかってしまうと、会社から目をつけられてしまう、現在のポジションや出世に影響する…といったことは避けらないことがあります。
任意整理は基本的には情報が会社に知られることはありませんが3つのケースで注意が必要です。

1つ目は、会社に借入をしている、公務員の方で共済に借入をしているような場合です。
任意整理は債権者と交渉することで債務の圧縮をします。

そのため、会社への借入や共済への借入を手続きの対象に含めると、当然ですが会社に通知がされますので、会社にわかってしまいます。
自己破産・個人再生と異なり、任意整理は個々の債権者との交渉なので、特定の債権者のみを外すということが可能です。
そのため会社・共済に借入がある場合には、手続きから外してもらいましょう。
2つ目は、会社が社員に提携カードを作ることを事実上義務付けているような場合です。
会社としては福利厚生の一環なのですが、従業員がメリットを受けるためのカードを作るときに、クレジットの機能がついたカードを作るように従業員にお願いしているところがあります。

任意整理を利用した場合でも、ブラックリストという状態は避けられないので、カードの更新の際にはわかってしまうことがあり、これは避けられないでしょう。
3つ目は、給与の差し押さえを受けるような場合です。
任意整理を依頼しても、まれに弁護士費用を滞納したりして手続きが伸びているような場合や、任意整理に協力しない債権者が居る場合、交渉が終わって支払いをしている時にこれが延滞してしまったような場合には、債権者は裁判をして債務者の財産を差し押さえます。

この「財産」というと家・土地などの不動産、株券などを思い浮かべるかもしれませんが、給与も差し押さえの対象になります。
給与の差し押さえは、裁判所から会社に対して差押命令という通知を送ることで行い、会社はこれにより給与を直接労働者に支払うことができなくなります。
このようなケースでは会社にわかってしまうので注意が必要です。

新しく就職・転職をする場合

これから就職・転職をする場合でも、任意整理をした事実は外部からは分からないので、影響はありません。

任意整理の家族への影響を知る

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理は家族に内緒にできる
  • 任意整理をしても家族の信用情報に影響はない
  • 住宅ローンの連帯保証人になること、家族カードの主債務者は注意

仕事は続けられるとしても、家族との関係も不安です。妻はお金に厳しい人なので知られると離婚されるかもしれません。

任意整理は家族に知られずにできることが多いですよ

任意整理で妻がカードを使えなくなるというようなことはありませんか?

信用情報は人ごとに違うので、奥様のカードが使えなくなるということはありません。ただ奥様のカードが「家族カード」の場合には注意が必要です。

任意整理をすることで家族にはどんな影響があるのでしょうか?

家族にも内緒にしやすいのが任意整理

自己破産の中でも少額管財という正式な手続きをする場合には、郵送物が一度管財人のもとに届いて中を開けられて、まとめて自宅に送付されてきます。
特に局留めにしてもらえるような事もありませんので、たとえば2世帯住宅でポストが別々になっている…といったような事がない場合には、通常とは違う郵送物があると思ってしまう人もいるかもしれません。

任意整理はこういった裁判所が関与する手続きがありません。
和解書などのやりとりをするのにどうしても郵送するケースはあるのですが、法律事務所のデザインがされた封筒を使用しない、弁護士という肩書を出さず個人名で出す、職場への送付をする、事務所に取りに行くことにする、局留めにするなどの対応ができます。

任意整理をしても家族がブラックリストに入るということもない

任意整理によって本人はいわゆるブラックリストとなります。
しかし、家族といえども別の人なので信用情報が影響することはありません。
ですので、夫が債務整理をしているため、妻のクレジットカードが使えなくなった…というようなことはありません。

ただし、夫が家族カードを発行して妻が利用しているような場合には、そのカードはあくまで夫の与信のもとに成り立っているので、利用できなくなるという点に注意が必要です。

その他の影響を知る

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • ヤミ金融に注意!どうしても入用の場合には生活福祉貸付を利用する

任意整理によって生活で他に気を付ける点はありますか?

任意整理は返済を前提とした手続きなので、借金の返済は続けなければいけませんが、それにより日常生活が苦しくなっても借入ができません。借金をしていない貸金業者から自宅に郵送が来たり、ショートメッセージで「ブラックでも融資OK」というような誘惑が増えますが、これらはヤミ金融なので絶対に手を出さないようにしましょうということですね。

借入がどうしても必要な場合はどうしたら良いですか?

その場合には生活福祉貸付を利用してください。

任意整理をするとブラックリストという状態になります。
そのため新たな借入はできないのですが、任意整理自体の返済もあることから、急な出費などについていけない場合がどうしてもあります。

任意整理を始めたくらいから「ブラックでも融資OK」というような郵送物やショートメッセージが増えます。
どうしても苦しくてこういったところから借入をすると、大変な目にあいます。
これらの業者は通称「ヤミ金融」と呼ばれており、違法な金利での貸付を行って、過酷な取り立てを行います。

一度借入をすると、法外な利息を申し向け・返済が滞ると家族や職場など知ってる連絡先にかたっぱしから連絡をします。
葬儀や引っ越しを余儀なくされたなど、どうしてもお金が必要な場合には市区町村が行っている生活福祉資金という制度があり、これはブラックリストの状態でも利用できるので、こちらを利用しましょう。

まとめ

このページでは、任意整理によって生活、とくに仕事・家族にどのような影響を与えるかについてお伝えしてきました。
債務整理の手続きの中でも任意整理は裁判所を利用しないため、比較的、手続きに伴う負担が少なく利用できます。
どんな影響があるのか、ないのかを確認して、自分の場合は本当に大丈夫か?と気になることがあるようでしたら、是非弁護士に直接相談をしてみてください。