- 任意整理中に、2回(以上)返済できなかった場合、一括請求される
- 返済しないまま放置すると、裁判を起こされ給与を差し押さえられる
- 状況の変化によって、再度の債務整理を試みる
【Cross Talk】任意整理中に支払いが遅れるとどうなるか
任意整理中なのですが、支払いが遅れてしまったらどうなりますか?
どのような合意をしたかによりますが、一般的には、2回(以上)返済できないと、一括請求されてしまいます。
返済できないまま放置した場合にはどうなるのでしょうか?
債権者は、裁判を起こしたうえで、あなたの財産を差押えようとします。特に注意が必要なものは、給与の差押です。
任意整理中なのですが、状況が変わってしまい返済の目途が立たなくなってしまったのですが、どのように対処すれば良いでしょうか?
今残っている債務について、再度の債務整理(例えば自己破産の申立て)をするなど、なるべく早い対応が必要となります。まずは、弁護士に相談してみましょう。
任意整理中、当初は順調に返済をしていたけれども、転職や入院などにより、返済ができなくなってしまう場合もあります。一般的に、2回(以上)返済できなかった場合には、債権者は一括請求できるという約束をしています。
1回だけどうしても返済が遅れてしまうというような場合には、債権者に連絡をしたうえで事情を説明すれば、従前の任意整理の続行を認めてくれることもあります。
他方、対応が遅れてしまった場合には、債権者から一括支払いのみで遅延損害金も払ってくださいといわれてしまうこともあります。
このような場合や、事情の変化で、返済できる目途がたたなくなってしまった場合には、再度の債務整理が必要となるので、至急、弁護士に相談しましょう。
任意整理での約束(合意・和解)内容は?
- 任意整理中の返済についての合意内容は、合意書に記載されているので、必ず確認する
任意整理中の返済について、どのような約束をしているかを確認したいのですが、どこに記載されていますか。
任意整理での約束(合意・和解)内容は、債権者との間で作成した合意書(和解書、契約書)に記載されています。
弁護士等に任意整理を依頼した後、解決した場合、弁護士等から、債権者との間で作成した合意書(和解書、契約書など、債権者により書面の表題は変わります。)をもらえます。その書面に、任意整理での合意内容が記載されています。一般的には、次のことが記載されています。
そして、返済が遅れた場合の措置として、次のことが記載されていることが多いです。
ここで出てくる「期限の利益」とは債務者が分割で支払っていく利益を指していますので、返済が2回(以上)遅れた場合には、債務者は分割で支払っていく利益を失い、その結果、債権者は債務者に対し、債務の残額を一括請求できることとなります。
このように、合意書にはとても大切なことが記載されているので、しっかり確認しましょう。
任意整理中、返済が遅れるとどうなるのか
- 1回だけ返済が遅れてしまっても、焦らない
- 無断で、2回(以上)返済が遅れると、原則、債権者は一括請求してくる
任意整理中、返済が遅れるとどうなりますか?
遅れてしまった回数によって、債権者の対応が変わってきます。
任意整理中、返済が遅れた場合、どうなるのでしょうか。段階的に見ていきましょう。
1回だけの遅れ
1回だけ遅れてしまった場合、どうなるのでしょうか。
もちろん、ない方が良いのですが、うっかり入金を忘れてしまうなど、1回の返済が遅れてしまうことはよくあるようです。
その場合、債権者から、電話で「入金お忘れではないですか?」という内容の連絡にとどまることがほとんどです。
その後、すぐに入金を済ませれば、大きな問題とはなりません。もし、事前にわかっているような場合には、あらかじめ債権者に連絡をし、入金できる日を伝えておいても良いかもしれません。
2回(以上)の遅れ
2回遅れてしまった場合、どうなるのでしょうか?
前記の通り、任意整理における債権者との合意書には、多くの場合、返済が2回(以上)遅れた場合、債権者は債務の全額を一括請求できると記載されています。
つまり、債権者としては、いつでも裁判を起こし、一括請求してくることが可能となりますが、債権者及びその他の事情によって、債権者がとってくる対応は大きく異なります。
例えば、やむを得ない事情があり、2回だけ返済が遅れてしまう旨を、あらかじめ債権者に伝えておくなどして、債権者が理解を示しているような場合には、2回返済が遅れたことをもって、債権者が直ちに裁判を起こしてくることは考えにくいでしょう。
他方、債権者の内部のルール上、どのような事情があるにせよ、2回返済が遅れた時点で、自動的に、裁判を起こす手続きを進めていくといったような債権者もいるようです。
いずれにしても、無断で2回返済が遅れたというような場合には、債権者としては、返済の意思がないものと考えてしまいますので、2回の遅れだけで、今後の返済の目途が立っているような場合には、債権者と事前に協議をしておいた方が良いでしょう。
一括請求後も無視しつづけると訴訟・差し押さえが行われる可能性がある
一括請求をされても支払わずに無視しつづけると、貸金業者は裁判を起こし、差し押さえを行います。
金銭債権の支払いを受けられない場合には、相手の財産を差し押さえる強制執行が行われるのですが、強制執行を行う前提として訴訟を起こす必要があります。
なお、「任意整理後の返済ができないような状況で、差し押さえるものはないのでは?」と考える方も多いのですが、給与は給与債権として1/4が差し押さえの対象になります。
貸金業者から借り入れをするときには、勤務先は必ず報告するので、給与が差し押さえられることになります。
全額の支払いが終わるまで給与の1/4は差し押さえられたままですし、給与の差し押さえは会社に通知されるので会社に返済ができていないことを知られることになります。
任意整理中、返済の目途が立たなくなってしまったら
- 任意整理中に、返済の目途が立たなくなってしまうことはある
- 再度の債務整理を、早めに弁護士に相談する
任意整理中、当時約束した内容での返済について、目途が立たなくなってしまった場合、どうすれば良いのでしょうか?
その場合には、再度の債務整理が必要となりますので、なるべく早く、弁護士などに相談しましょう。
任意整理は、通常3年から5年という長期間の手続きになるので、その間に状況が変化することもあるでしょう。
例えば、転職で収入が減った場合や、長期の入院で仕事ができなくなった場合など、約束した内容での返済の目途が立たなくなってしまうことも起こりえます。
その場合には、再度の債務整理が必要となりますが、どのような選択肢があるか確認していきましょう。
依頼が終了している・辞任されている場合は貸金業者と交渉する
返済できない期間がわずかで任意整理を継続したい場合には、貸金業者と交渉することになります。
貸金業者と交渉する場合には、弁護士・司法書士との依頼がどうなっているかによって、交渉のやり方が変わってきます。
依頼が終了している場合、任意整理が終わって弁護士は既に辞任している場合には、貸金業者と直接交渉をすることになります。
任意整理を依頼した事務所経由で返済している場合の対応方法
一方で、弁護士・司法書士を通して返済をしている場合や、返済が終わるまで依頼は続いている状況としているような場合には、まずは任意整理をした弁護士・司法書士に相談をしましょう。
弁護士・司法書士が貸金業者と直接交渉してくれるのか、弁護士・司法書士との関係はその時点で終了となるのかについては、事務所によるので相談の際に確認しましょう。
再度の任意整理
債権者が応じてくれれば、再度の任意整理をすることも可能です。
もっとも、債権者にとっては、前回の任意整理よりさらに緩和した条件となってしまうことや一度頓挫していることからまた頓挫するのではという危機感など、ネガティブな要素が多いことから、応じてくれないことの方が多いでしょう。
自己破産または個人再生の申立て
返済が難しく再度の任意整理が難しい場合には、再度の債務整理をする場合に、自己破産・個人再生で債務整理を行います。借金を減額したものを分割で支払う手続きが個人再生で、借金を免除してもらうのが自己破産です。
再度の任意整理にすべきか、自己破産や個人再生にすべきかについては、その人の収入・支出から計算される現実的な返済可能額と、残った借金の総額次第であり当初の債務整理と変わりません。
どの手続きを行うのかは弁護士とよく相談して決めるようにしましょう。
まとめ
このページでは任意整理中に、借金の返済が遅れたり、返せなくなってしまうとどうなってしまうのかを解説してきました。例え返済の目途が立たなくなってしまったとしても、一人では悩まずに、まず弁護士などに、なるべく早く相談してみましょう。