任意整理によって制限されるものや制限に代わる代替案について詳しく解説いたします!
ざっくりポイント
  • 任意整理をすると新たに借金をしたりクレジットカードを作ったりすることができない
  • 与信審査の必要がないデビットカード等は作ることができる
  • 官報に載ったり、住所・職業等が制限されたりすることはない

目次

【Cross Talk 】任意整理をすると日常生活でどんなデメリットがある?

カードローンやクレジットカードの返済額が増えてきて、返済することが大変です。任意整理をしたいのですが、カードが使えなくなると普段の生活が不便になりそうでなかなか決められません。どうしたらいいですか?

たしかに、任意整理をすると新たに借金をしたり、クレジットカードを作ったりすることはできなくなります。しかし、デビットカードなど審査なしで作れるカードもありますし、自己破産・個人再生と違って官報に載るなどのデメリットもありません。ですから、借金がそれ以上増えないうちに思い切って任意整理をしてもいいのではないでしょうか?

思っていたほどデメリットはないんですね!

都市伝説には騙されてはいけない!任意整理の本当の影響とは?

任意整理をしたくてもその後の日常生活に支障が出ることを懸念して決断できないという方がいらっしゃります。
任意整理にデメリットがないわけではありませんが、デメリットをおさえる方法がある場合もあります。また、任意整理のデメリットと思われているものが、実は誤解、単なる都市伝説だったということもあります。

そこで今回は、任意整理が日常生活に与える影響について詳しく解説いたします。

ブラックリストによる影響

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 任意整理をするとブラックリストに載ってしまう
  • ブラックリストに載ると与信審査が必要なものは作れなくなる

任意整理をするとブラックリストに載ると聞いたのですが、ブラックリストに載るとどんな影響があるのですか?

ブラックリストに載ると、新たに貸金業社などから借入をすることができなくなったり、クレジットカードを作れなくなったりします。簡単に言えば、任意整理をしたことで経済的な信用が落ちたので、後で払うという契約ができなくなる、ということです。

ブラックリストとは

任意整理をすると、いわゆる「ブラックリストに載る」ことになります。

ブラックリストに載るとは、正確に言うと、信用情報機関に事故情報(返済が滞こおったり、債務整理をしたりした情報)が登録されるということです。
信用情報機関とは、貸金業者やクレジットカード会社、銀行等が会員となる機関で、会員から個人の信用情報を収集したり、会員に個人の信用情報を提供したりする機関です。

貸金業者がお金を貸したり、クレジットカード会社がクレジットカードを発行したりするということは、後日、貸したお金を返してもらったり、利用したクレジットカードの料金を支払ってもらったりする必要があるということです。
小売店での売買のようにその場で代金を払って取引が完結するわけではないので、貸金業者やクレジットカード会社からすれば、後日、本当に支払ってもらえるか、取引の相手方が信用できる人物であるか否かが非常に重要になります。

そこで、信用情報機関が個人の信用情報を収集し、提供しているのです。

任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録されることから、次の「借金ができない」以降で解説する制限を受けることになります。

借金ができない

貸金業者等は、新たに貸付の申込みを受けた場合、信用情報機関で申込者の情報を確認します。
そこで事故情報があることが分かると、貸金業者は融資を断ります。
したがって、任意整理をしてブラックリストに載ると、貸金業者等から新たな借入をすることはできなくなります。

もっとも、これは貸金業者等が貸倒れのリスクを避けるためにしていることであり、任意整理をしたからと言って、借金をすることが法律上禁止されるわけではありません。

ですから、親族や友人などの個人、あるいは勤務先の会社から借金をすることは可能です。
また、生活福祉資金貸付制度(自治体が低所得者や障害者または高齢者に対し、無利息または低金利で貸し付けをする制度)を利用することも可能です。

クレジットカードが作れない

貸金業者から借金ができなくなるのと同じように、新たにクレジットカードを作ることもできなくなります。

ただし、クレジットカードは作れなくても、デビットカードを作ることはできるので、キャッシュレス決済の代替手段になるでしょう。
デビットカードは、カードの支払いと同時に預金口座から引き落としがなされるもので、残高が不足している場合は決済エラーとなります。
つまり、デビットカードの場合、現金払いと同じようにその場で決済が終わる(または残高不足で決済できない)ため、利用者を信用していいかの審査(信用を供与することを「与信」といい、その審査を与信審査といいます)をする必要がありません。

そのため、任意整理をしてブラックリストに載っても、デビットカードを作ることはできるのです。

ETCカードが作れない

ETCカードは、クレジットカード会社の発行するカードによって、有料道路の通行料金を後日決済するものです。
利用者が信用できるかどうかが関係しますから、ブラックリストに載るとETCカードも作れなくなります。

ただし、ETCパーソナルカードを作ることで、ETCを利用することはできます。
ETCパーソナルカードとは、クレジットカード契約をしない方もETCの利用ができるように作られたものです。
通行料金が後日引き落とされる点ではETCカードと同じですが、ETCカードと違うのは、あらかじめ平均利用月額を5000円で切り上げた額の4倍した額をデポジット(保証金)として預託し、未決済残高が預託金の80%を超える場合にはカードの利用が停止される点にあります。
このようにして未払いのリスクを避けることができるので、ETCパーソナルカードは任意整理をした後であっても作ることができるのです。

携帯を分割購入することができない

携帯電話、とくにスマートフォンの端末本体は高額になってきており、分割払いが一般的です。
分割払いの場合、購入した人に信用を供与していいかの与信審査が必要になりますから、ブラックリストに載ると携帯電話を分割購入することはできなくなります。

もっとも、あくまで分割払いができないだけですから、一括で購入することは可能です。

こんな影響はあるの?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 自己破産や個人再生ほど多くの制限はない
  • 選挙権、被選挙権には影響ない

ブラックリストに載ったことによる影響はわかりました。それ以外に日常生活に何か影響ありますか?

自己破産や個人再生と言った裁判所の手続を利用した場合の制限は、任意整理にはあてはまらないものが多いと言えます。選挙権や被選挙権が影響を受けることもありません。ですから、ブラックリストに載ったことによる影響以外は、特段気にかける必要はないでしょう。

官報に公告されるのは自己破産・個人再生

自己破産や個人再生をすると、その事実が官報(国の発行する機関誌)に公告されることになっています。
官報を一般の方が目にする機会が多いとはいえませんが、一定期間分の官報はインターネット上で無料で閲覧することができるので、その気になればだれでも見ることができるものです。
そのため、自己破産や個人再生をしたことを知人等に知られてしまうおそれがないとはいえません。

これに対して、任意整理は債権者との個別の交渉ですし、信用情報は本人か信用情報機関の会員である貸金業者等しか確認することができないので、任意整理をしたことを周囲に知られるおそれはまずないでしょう。

自己破産を利用するとされる制限は任意整理では適用されない

自己破産をすると、破産手続中は裁判所の許可がなければ居住地を離れることができなくなり、警備業など一定の職業に就くことが制限されます。
また、破産者宛ての郵便物は破産管財人に転送され、破産者宛ての郵便物を受け取った破産管財人は、これを開封することができるとされています。

任意整理にはこのような制限はないので、居住地を離れることもどんな職業に就くのも自由ですし、郵便物が転送されることもありません。

公民権・選挙権がなくなるといった都市伝説に注意

選挙権や被選挙権が亡くなることはありません。これは自己破産や個人再生をした場合も同様です。
選挙権が亡くなるというのは都市伝説に過ぎません。

まとめ

このページでは、任意整理が日常生活に与える影響について解説しました。うわさや都市伝説に惑わされず、正しい知識を持って、任意整理をするかどうかを決めるようにしてください。