- 農業は天候不順による不作や、自然災害などによって作物がダメになるなど借金を抱えることが多い
- 農家の借金も債務整理は可能
- 農協からの借金についての対応を知る
【Cross Talk】農家の借金は債務整理できるの?
私は農家なのですが、今年台風の影響でかなりの数の作物がダメになってしまって借金が残っています。
農家って債務整理はできるのでしょうか。
もちろん債務整理はできます。
農家の債務整理については農協からの借り入れが多いという特徴があるので、債務整理の上では注意が必要ですね。
借金の返済に困った場合に利用する債務整理は、農家が借金をした場合でも利用できます。
農家というと国から補助金が下りていて、なり手も少ないので実は高い収入があると考えてる方も多いようなのですが、一方で天候による影響を受けたり、場合によっては台風などの自然災害により作物がすべてダメになることもあります。
また、多額の設備投資が必要で、そのために借入をする事もあります。
さらに、安い海外産の輸入によって突如売れなくなる、売れても価格が下がるといったリスクもあります。
このような複合的要因によって、農家も借金の返済ができなくなる事があります。
農家だからといって債務整理ができないわけではないのですが、注意が必要です。
借金に苦しむ農家は意外と多い
- 借金の返済ができなくて苦しんでいる農家は多い
そもそも農業で私のように債務整理を考えなければならない人ってそんなにいないですか?
いいえ、天候や自然災害、安い海外産の輸入といった要因によって、当初予定していた収入を得ることができないというケースはよくありますので、心配しないで弁護士に相談・依頼してください。
「農家」という仕事に対しては、キツいけれどもなり手が少ないので、国が補助金などで保護してくれる高収入の仕事というイメージを持っている方も多く、債務整理なんかするの?と思う方も多いかもしれません。
しかし、実際には天候不順によって作物が育たず出荷できなくなったり、台風に代表されるような自然災害により作物がダメになったり、突然海外の安い産地で作られたものが輸入される、といったことによって収入が一気に落ち込む、なくなるという可能性があるのが農家です。
農業を始める、ずっと続いている農業に新しい機械や設備などを入れる、といった事をするにあたっては多額の資金が必要になりますので、借り入れをすることがあるのは他の自営業と変わりません。
また、当然にパチンコ・競馬等のギャンブルやキャバクラなどの遊興、病気などのよる高額の治療費の補てんなどで借り入れをするようなこともあります。
その結果、借金の返済に苦しむことになる農家もいます。
農家の借金も債務整理は可能!
- 農家が債務整理を禁止する法律・規定はないので、農家も債務整理は可能
農家である、という理由で債務整理をできないという事はないでしょうか。
農家であることを理由に債務整理を禁止するような規定はありませんので安心しましょう。
以上のように農家が借金の返済に苦しむ可能性がある以上、債務整理をすることが望ましい場合もあります。
この債務整理をするにあたって、農家であるという事を理由に債務整理ができなくなる、という事はありません。
債務整理手続きの一つである任意整理では、債権者との交渉によって支払い条件を決めるのであって、農家であることを理由にこれを禁止する法律の規定や判例などはありません。
裁判所に申し立てる自己破産についての手続きを規定する破産法において、農家であること理由に申し立てを禁止する規定はありませんし、宅建業者・警備員のように資格をもっていると欠格事由にあたって失職するということもありません。
同じく裁判所に申し立てる個人再生においても、民事再生法において、農家であることをもって利用を禁止する規定はありません。
なお、それぞれの手続きの詳細については、「借金が返済できない!どうにかしたい!借金(債務)整理の手続4種類の特徴を教えて!」のページをご覧ください。
農協からの借金への対応
- 農家の多くが農協から借り入れをしているので、農協との債務整理についての知識を持とう
農家なので農協から借金をしているのですが、何か注意点はありますか?
いくつか注意点があるので見てみましょう。
農家の大部分が農協(JA)と深いかかわりにあることが多く、農協は農業を営むために必要な土地・器具・肥料の仕入れなど農業に関係のあるものや、農家およびその家族を対象に生活を充実させるための貸付をしていることがあります。
そのため、債務整理をするにあたっては注意が必要です。
農協と債務整理をしても農協と関わることは可能
まず、農協から借入をしていても債務整理をすることは可能です。
農協は消費者金融などの貸金業者に比べれば低い利率で貸付をしていますが、利息をとっているので任意整理によって利息をカットしてもらうことは有用です。
自己破産・個人再生においては農協も手続きに参加してもらう必要があり、農協にだけは従来通り借金を支払うということはできません。
ここで、農協に債務整理をすると、以後農協と関わることができず、農業が続けられなくなるのではないか?と心配する方もいらっしゃるかもしれまんが、新たな借入れは難しくなりますが、農協と関わること自体は否定されません。
農協に対する借入すべてが対象になる
農協は目的によって多様なローンの種類があります。
そのため、農家の方は農業を営むための借入の他にフリーローンを組んでいる、というように複数の契約をしている事があります。
このような場合に、フリーローンだけ債務整理をして、事業用の契約については債務整理はしない、という事はできないことに注意が必要です。
自己破産・個人再生を利用する場合にはすべての借入が手続きの対象になるので言うまでもないのですが、任意整理の場合にも、細かく一つの契約についてだけ(たとえばフリーローンについてだけ)任意整理をするといったことができませんので注意をしましょう。
担保や保証
農協からの借入については、土地などの不動産を担保にしていたり、家族を連帯保証人にするようなケースもよくあります。
連帯保証人との関係を注意しなければならないとともに、農業を続ける場合には農地に設定された抵当権をの実行を回避する工夫が必要になります(大体のケースでは任意整理を利用する)。
まとめ
このページでは農家の借金減額のための債務整理についてお伝えしてきました。
天候等によって収入が大きく左右される農家も債務整理をすることができるのですが、農協の存在を考えながらの債務整理になります。
返済が苦しくなればなるほど取れる選択肢が狭まってきますので、早めに弁護士に相談をするなどして対応するようにしましょう。