借金の一本化は危険?債務整理との違いとどちらを利用すべきかについて知る
ざっくりポイント
  • 借金の一本化というのは複数ある借入に対して、別の金利の低い銀行などから借入をして返済し、金利の低い銀行のみとの取引に一本化するもの
  • 銀行などでは「おまとめローン」といわれるような商品名で販売されている
  • 早く完済したいのであれば債務整理を!

目次

【Cross Talk】借金の一本化と債務整理、どっちがお得?

私は現在4社から借入があるのですが、なんとか頑張って将来は住宅ローンを…と思っています。債務整理をすると住宅ローンが借りられなくなりそうなので、借金の一本化をしてくれるおまとめローンを利用しようかな?と思っています。両者の違いとどちらが良いかについて教えてもらって良いですか?

将来的に住宅ローンを組みたいのであれば、早く支払ってしまった方が良いので債務整理をおすすめします。借金の一本化には危険もありますし、そもそも利用できる人も限られているので注意が必要です。

借金の一本化と債務整理、早く支払ってしまいたいのであれば債務整理を

銀行を中心とした金融機関は、他社の複数の借金を一本化するための「おまとめローン」という商品を用意しています。複数の借入をしていると、それぞれの窓口にお金を払いにいかなければならず面倒であったり、おまとめローン自体の金利が安かったりするなどの利点があるため、借金返済に近いというイメージの方も多いのですが、結局利息がかかるのと、さらなる借金を重ねてしまい余計に債務状況が悪くなるという恐れもあります。早く返済をしたいのであれば、債務整理をおすすめします。

借金の一本化と債務整理の違いとは?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の一本化は別の金融機関からの借入
  • 債務整理は債務の支払いを軽くしたり免除するもの
  • 減額や利息の免除などで債務整理が有利だが、ブラックリストなどの債務整理に伴うデメリットなどからは借金の一本化の方が有利な場合も

そもそも借金の一本化と債務整理ってどう違うのでしょうか。

借金の一本化というのは銀行などの金融機関に借入をすることであって、債務整理のように債務に対して法律的な手段を利用して減額・免除をしてもらうものではありません。

まず、借金一本化と債務整理についての概要とその違いについて知っておきましょう。

借金の一本化とは

借金の一本化とは、消費者金融や銀行などの複数ある借入について、別の金融機関から借入をして、その借り入れたお金で複数の借入の返済をし、以後は借入をした金融機関にのみ返済するものをいいます。銀行などの金融機関の窓口では「おまとめローン」といった形で貸付を行っているものです。

たとえば、A社に50万円、B社に30万円、C社に20万円の合計100万円の借入があるとして、おまとめローンを扱っているD社で100万円を借り入れてA社・B社・C社に返済をして、以後D社にだけ返済をしていくというものです。
おまとめローンは通常金利が低く設定されているので、A社・B社・C社から借入している金利が高い場合には、金利の低いD社に乗り換えることで金利の負担を減らすことができるという商品です。

債務整理とは

債務整理とは、借金返済に困った場合に、交渉や法律的な手段で借金の返済を軽くする・免除してもらう手続の総称をいいます。返済を軽くしてもらうものとしては任意整理・個人再生が、返済の免除をしてもらうものとしては自己破産があります。

債務整理で何を行うかについては、
債務整理の相談ができる窓口から債務整理の種類や効果を紹介します!
こちらのページで詳しく解説をしておりますので参照してください。

銀行が借金の一本化を勧める理由

なぜ銀行がおまとめローンを用意して借金の一本化を進めるのでしょうか。それは、おまとめローンの貸付は、利息による収益を上げることができるというメリットがあるからです。

借金の一本化と債務整理の違い

では、借金の一本化と債務整理はどのように違うのでしょうか。借金の一本化は新たな借入であるのに対して、債務整理は今ある借金の完済を目指すもの、という違いがあります。

借金の一本化のメリット・デメリット

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金の一本化のメリットは金利が減る・月々の返済額を減らすことができるなどのメリットがあります。
  • 他方で、返済期間が長くなる、元々の会社に対する借入を重ねてしまうなどのデメリットがあります。

それでは、借金の一本化にはどんなメリット・デメリットがあるのかを教えていただけますか?

メリットとデメリットのどちらもありますので、確認をしていきましょう。

借金の一本化にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

借金の一本化のメリット

借金の一本化には次のようなメリットがあります

・金利が下がる
借金一本化の最大のメリットは、金利が下がるということです。
手数料などの負担を考えないで金利だけで考えてみましょう。
例えば、消費者金融に3社に対して、それぞれ30万円を上限の18%で借入しているとすると、90万円を18%で借入している状態になります。
この90万円を年利9%の利息という条件で一本化できれば、金利の負担は半分になります。

・月々の返済額が減る
返済する金利の負担が大きい場合、一本化をして金利が下がれば、毎月の返済額が減ることが期待できます。

・いわゆるブラックリストには載らない
債務整理のデメリットとしては、信用情報機関に事故情報が登録され、信用情報に基づくことができなくなる、いわゆるブラックリストに載るということがあります。
借入やクレジットカードの作成・更新、ETCカードの作成更新、携帯電話の分割購入、奨学金の連帯保証人になるなど、ブラックリストに載るとできなくなってしまうことがたくさんあります。

借金の一本化は、ブラックリストに載るわけではないので、直ちにこれらのことができなくなるというわけではありません。

借金の一本化のデメリット

一方で借金の一本化には、次のようなデメリットもあります。

・審査が通りにくいので誰でも利用できるわけではない
まず、借金の一本化は審査が厳しいので、だれでも利用できるわけではありません。
貸付を行う銀行は、1社で多くの額の貸付を行うことになります。
多くの額の貸付を行うということは、返済してもらえないリスクも上がるわけです。
そのため、審査も厳しくなります。
しっかりした収入があり、ボーナスの支払いが安定している、正社員として長期間1社で勤務している実績がある、など審査項目が厳しくなることが予想されます。

・返済した借入先から再度借入をしてしまいさらなる多重債務に陥る可能性
借金の一本化をするということは、従来借入をしていた会社には一度完済をすることになります。
つまり、これらの会社に対する与信の枠が元に戻ります。
ということは、その会社から再度借入することが可能です。

従来の借金を一本化したものに、さらに借金が増えることになると、さらなる多重債務状態となり、返済が困難となります。

・返済期間が延びてしまう可能性がある
借金の一本化をすることによって、上述したように毎月の返済額が減る可能性があります。
毎月の返済額が減るということは、その分1回の返済で減る元本の額が少なくなるということもあります。
返済時に必要な利息は、返済する元本に応じて発生するので、元本が減らなければ返済は長期化することになります。

・トータルで利息の負担が大きくなる可能性がある
上述したように、借金の一本化によって利率が下がることになり、毎回の利息の負担は減ることになります。
しかし、毎回の返済額が少なくなると、返済が長期化することがあるのも上述の通りです。

返済が長期化するに伴って、トータルで支払う利息の額が多くなる可能性もあります。

・カードローンに一本化はできないことも
おまとめローンの中には、カードローンには使えないことがあります。
申し込もうとしているおまとめローンがカードローンを対象としているのかを確認して申し込みを行いましょう。

早く完済したいのなら債務整理を

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 住宅ローンなどの目的があるのであれば、早めに債務整理をしてしまう方が楽なこともある

いずれは住宅ローンを…と考えているのですが、それであれば借金の一本化と債務整理のどちらの方が良いですか?

債務額や収支の状況にもよるのですが、債務整理のほうが早く返済できる場合もあり、ブラックリストの期間は消費が減って頭金を貯められますので、そちらの方が良い場合が多いです。

冒頭のご相談者様の場合には住宅ローンを組めるようになるために今の借金を早く完済したい、という希望でした。
この場合は債務の額や収支の状況にもよるのですが、一般的には債務整理で債務を完済してしまう方が良い可能性が高いです。

住宅ローンの借入を行うのであれば、審査にあたって頭金の存在や、現在の借入額や内容なども対象になります。
任意整理の返済の場合には原則3~5年の返済期間と、5年程度の信用情報への掲載期間(ブラックリストの期間)があります。

例えば、住宅ローンの借入をする場合には、3年で返済をして5年間頭金をしっかり貯めておく方法が考えられます。仮におまとめローンで借入をして、頭金の預貯金もなく、おまとめローンがまだ残っているような場合には、ブラックリストになっていなくても、住宅ローンの審査に通るのが厳しくなります。

もっとも、直近で自動車をローンで買い換えなければならない、などの場合にまで安易に債務整理をおすすめするものではありません。どのような行動が適切かどうかは弁護士などに法律相談をして検討してみるのが良いといえます。

まとめ

このページでは借金の一本化と債務整理との関係についてお伝えしてきました。
借金の一本化は金利が下がる大変便利なものですが、借入を大きく増やすなどのおそれもあるので、安易な利用には危険が伴います。
今後の予定なども勘案して、債務整理が適切か・借金の一本化の方が良いのか弁護士に相談するようにしましょう。