- 弁護士と依頼者との間のが増えている
- 依頼前の情報収集と依頼後の積極的な連絡でトラブルを回避
- 弁護士と依頼者との間のトラブルが増えている
- 依頼前の情報収集と依頼後の積極的な連絡でトラブルを回避
【Cross Talk】弁護士と依頼者がトラブルになることがある?
債務整理をしたいのですが、自分でするのは難しいと聞いたので、弁護士に依頼した方がいいのかなと思っています。ただ、最近弁護士とのトラブルが増えていると聞いたので不安です…。
たしかに債務整理に取り組む弁護士・法律事務所が増加したことで、報酬等をめぐって弁護士と依頼者との間でトラブルが発生することが増えました。とはいえ、大半の弁護士はきちんと仕事をします。代表的なトラブル例とトラブルを回避する方法を紹介しますので、弁護士選びの参考にしてください。
お願いします!
債務整理に取り組む弁護士が増加したことで、弁護士と依頼者との間のトラブルも増加したと言われています。
経済的に苦しい中で何とか弁護士費用を捻出したにもかかわらず、弁護士とトラブルになってしまうようでは、依頼者にとってあまりにも酷です。
そこで今回は、債務整理についての弁護士と依頼者との間のトラブルの具体例を紹介したうえで、トラブルを回避する方法を解説します。
債務整理で増加した弁護士と依頼者のトラブル
- 過払い金請求に力を入れる事務所が増えたことで弁護士と依頼者のトラブルが増加した
- 過払い金バブル後も弁護士と依頼者とトラブルは発生している
どうして債務整理で弁護士と依頼者とのトラブルが増えたのですか?
債務整理、とくに過払い金請求に取り組む法律事務所が増えたことが、弁護士と依頼者との間のトラブルが増加した原因と言われています。
2007年6月に最高裁がいわゆるグレーゾーン金利を違法とする判断を示したことで、債務整理、とくに過払い金請求に力を入れる法律事務所が増えました。
一般的な過払い金請求は、ある程度のノウハウがあれば弁護士自身ではなく事務職員がソフトによって請求額を計算することができ、また当初は消費者金融なども返還できるだけの体力があったので、弁護士にとって効率よく収益を上げられる案件でした。
そのため、弁護士業界は過払い金バブルと呼ばれる状態になり、過払い金請求に力を入れる事務所が増えていったのです。
ただし、過払い金請求を始めとする債務整理の案件やそれを扱う弁護士が増加した結果、弁護士と依頼者の間におけるトラブルも増加してしまいました。詳細については2.で紹介しますが、弁護士報酬や返還された金銭をめぐるトラブルが代表的なものです。
現在では過払い金バブルは落ち着きましたが、未だに弁護士と依頼者の間のトラブルは多く発生しています。
弁護士と依頼者のトラブル例
- 高額の費用や報酬を請求されたケース
- 弁護士が返還された金銭を横領したケース
- 依頼時の見込み額と実際に返還された額が大きく異なるケース
- 弁護士資格のない者が債務整理を行ったケース
弁護士と依頼者との間のトラブルにはどんなものがありますか?
代表的なものとしては、高額の費用や報酬を請求された、返還された金銭を弁護士に横領された、などがあげられます。また、弁護士資格のない者が債務整理を行っていたというケースもあります。
弁護士と依頼者の間には、知識や経験に大きな差があるため、依頼者が不満を抱きつつも弁護士の事件処理が終わってしまうということが起きやすいといえます。
大半の弁護士は、依頼者に丁寧な説明をした上で事件処理を行うため、トラブルになることはめったにありませんが、一部の弁護士や業者は、依頼者を食い物にしていることがあります。
ここでは、弁護士と依頼者とのトラブルの代表的な例を紹介します。
必要以上に高い費用や報酬の請求
弁護士に事件処理を依頼するのは初めてという方が多いため、費用や弁護士報酬の基準、相場が分からず、必要以上に高額の費用や報酬を請求され、言われるままに支払ってしまい、後でトラブルになってしまうということがあります。
返還されたお金の横領
弁護士に過払い金請求を依頼した場合、消費者金融等から返還される過払い金は弁護士の預り金口座に送金され、費用や報酬を差し引いた残額が依頼者に交付・送金されるのが一般的です。
いったん弁護士の口座に送金されるわけですから、その弁護士の事務所の経営状況が悪かった場合、弁護士が返還された過払い金を横領し、経費の支払いに充てるなどする可能性があります。
依頼時に聞かされた返還額と実際の返還額に大きな差がある
依頼時に弁護士から返還される見込み額を説明された場合、その額と実際の返還額に大きな差があるときも、トラブルになるおそれがあります。
貸金業者という相手方が存在する以上、その反論を受けることはやむを得ませんが、大きな差が出る原因としては、当初の弁護士の見込みが甘い、依頼を誘引するためにあえて多めの見込み額を伝える、消費者金融等との交渉が不十分である、「返還されたお金の横領」と関連しますが返還された過払い金の一部を弁護士が着服しているなどの可能性が考えられます。
そもそも資格のない偽弁護士であることも
「必要以上に高い費用や報酬の請求」で解説したとおり、通常の過払い金請求は、ある程度のノウハウがあれば弁護士自身でなくてもそれなりに作業を進めることは可能です。
そのため、弁護士は名前を出しているだけで、実際に事件を処理するのは弁護士に雇用された事務職員であったり、弁護士と提携する団体であったりする場合があります。
このような場合、非弁活動・非弁提携という違法行為に該当する可能性があるだけでなく、直接的に弁護士がかかわっていないため、事件処理がずさんである場合も少なくありません。
トラブル回避の方法
- 依頼前に費用や報酬の相場や弁護士の実績などの情報を集める
- 依頼後は弁護士とこまめに連絡を取る
弁護士とのトラブルを回避するにはどんなことに気を付ければいいですか?
まず、依頼をする前に弁護士の報酬の相場や依頼をしようとする弁護士の実績などについて調べておきましょう。また、依頼をした後は、弁護士と積極的に連絡をとり、事件処理の進捗状況を確認するようにするといいでしょう。
費用や報酬の相場を知っておく
弁護士費用は弁護士と依頼者の協議で自由に決めていいのが原則ですが、手続ごとにおよその相場があります。
任意整理の場合は1社4~5万円、自己破産で同時廃止の場合(破産管財人が選任されない場合)は20~40万円、個人再生の場合は45~60万円程度が相場です。
弁護士費用の相場の詳細については、「高くて払えない!?借金(債務)整理手続の費用って相場はいくらぐらい?」をご参照ください。
弁護士に依頼をする前に、費用について詳しく説明を受け、上記の相場の金額と比較してみてください。
相場とあまりにもかけ離れた金額を提示された場合、必要以上の費用、報酬を請求されている可能性があるので、注意してください。
依頼しようと考えている弁護士の実績を確認
最近はHPを開設している法律事務所が多いので、HPなどで依頼をしようとしている弁護士の実績を事前に確認するといいでしょう。
できれば依頼をしようとする分野の取り扱い実績が豊富な弁護士が望ましいと言えます。
積極的に弁護士と連絡を取る
「費用や報酬の相場を知っておく」「依頼しようと考えている弁護士の実績を確認」のように事前に情報を集めて弁護士と面談した結果、依頼をすることになった場合、積極的に弁護士と連絡を取るようこころがけましょう。
弁護士には、依頼者に対し、事件処理について報告する義務があるので、こまめに弁護士に連絡を取り、
進捗状況を報告してもらうべきです。
その際、口頭では理解が難しいことや、万が一、後日トラブルになった場合に備えて、書面で報告してもらうのも良いでしょう。
まとめ
債務整理についての弁護士と依頼者との間のトラブルとその回避方法について解説しました。
トラブルが増えていると言っても、ほとんどの弁護士はきちんと仕事をしてくれます。債務整理について弁護士への依頼を検討している方は、このコラムを参考に弁護士を選び、依頼後も積極的に連絡を取ってトラブルを防止するようにしてください。