- 貸金業者からの借金は本来履行期が来ている分だけ支払えば良い(期限の利益)
- 貸金業者が履行期の来ていない残りの債務も含めて一括請求できるのは期限の利益を喪失したから
- 一括請求を払えないと給与を差し押さえられる可能性があるので早めに債務整理を
【Cross Talk 】借金の一括請求をされています
借金が払えなくなって延滞をしています。督促の文書をよく見ると借金全額を一括して支払えとなっています。今支払っていないのは4ヶ月分なのですが3ヶ月分払えばいいのではないですか?
期限の利益を喪失して一括請求される状態になってしまっていますね。早めに債務整理をして立て直しましょう。
詳しくお話を聞かせてください。
貸金業者から借金をすると、毎月の返済をしていればよく、もし借りに残った借金を一括請求されたとしても契約により拒むことができます。このことを「期限の利益」と呼んでいるのですが、滞納が続くと期限の利益は喪失し、その結果、借金が一括請求されます。
借金が払えないのに一括請求するには理由があって、その後の代位弁済や裁判・強制執行をするためです。
このページでは借金の一括請求の仕組みと目的、その後の対応方法についてお伝えいたします。
借金の一括請求はなぜ起きる?
- 本来借金の一括請求をされても期限の利益で拒むことができる
- 延滞すると期限の利益を失う
借金の一括請求はなぜ起きるのですか?
そもそも、借金をしているときには履行期にきている分を支払えばよく、一括請求をされても拒むことができる「期限の利益」があるのですが、延滞すると期限の利益を失い一括請求ができるようになります。
そもそも借金の一括請求はどのような仕組みで起きるのでしょうか。
借金の一括請求はできるの?
例えば、消費者金融から30万円を借り入れ、毎月末に1万5千円を支払う契約だったとします。
このとき借り入れをした債務者は、月末に1万5千円のみを支払えば契約上の義務は果たしており、残った元金を一括で請求されたとしても、これを拒むことが可能です。
このような状態を「期限の利益(きげんのりえき)」と呼んでいます。
そのため、何もなければ借金を一括請求することはできません。
期限の利益の喪失とは?
ところが、毎月の返済が滞ってしばらくすると、貸金業者から借金を一括請求されることがあります。
これは、契約の中に延滞があった場合に、貸金業者が期限の利益を喪失させることができる旨が規定されているからです。
延滞がはじまると、貸金業者からたくさんの通知が届くのですが、その中の一つに期限の利益を喪失させる旨の通知が届いています。
それまでは延滞分の元金・利息・遅延損害金の支払いを求めるのみなのですが、以降は全てを含めた一括請求がされることになります。
期限の利益喪失については、こちらの記事をご確認ください。
期限の利益喪失は?対処法まで解説
借金の一括請求の支払いができないとどうなる?
- 借金の一括請求ができるようになると代位弁済がされる
- 借金の一括請求ができるようになると訴訟をして強制執行を行うことができる
借金の一括請求をされても支払えないのですが、支払わないとどうなりますか?
代位弁済をすることがあるのと、裁判を起こして強制執行をすることを知っておきましょう。
借金の一括請求に対して支払わなかったらどうなるのでしょうか。
保証会社が代位弁済
保証会社が代位弁済することがあります。
借金をした場合の契約にもよるのですが、返済できない場合に備えて借金に保証人となってくれる会社をつけていることがあります。
例えば、銀行のカードローンではその銀行の系列のカードローンの会社が保証会社となっていることがあります。
保証会社が未払いになっている債務について代位弁済すると、求償権という権利によって保証会社が債権者となることになります。
弁護士・債権回収会社から請求がくる
貸金業者から委託を受けた弁護士や債権回収会社から請求がきます。
弁護士は貸金業者から依頼をうけて債権回収をすることができます。
債権回収会社(サービサー)は、債権を譲渡されるか、債権回収業務の委託を受け、債権回収をすることができます。
訴訟・強制執行
最終的には訴訟(裁判)を起こされます。
お金を借りており、そこに争いはありませんから、貸金業者が勝訴し、強制執行されることになります。
返済できなくなっているような場合でも、給与の1/4を差し押さえることは可能です。
手取りが減る上に、会社に借金が支払えていないことがわかってしまうので、裁判されないように対応をする必要があります。
借金の一括請求が払えない場合の対応方法
- 借金の一括請求で払えない場合の対応方法は債務整理
- 任意整理・自己破産・個人再生の概要
借金の一括請求をされている場合にはどのような対応をすればいいのでしょうか?
代位弁済をすることがあるのと、裁判を起こして強制執行をすることを知っておきましょう。
借金の一括請求がされている時点で既に延滞をしているため、ブラックリストに載っている状態なので、借り換えローンやおまとめローンで負担を減らすことはできません。
そこで、債務整理をして対応をすることになります。
債務整理には次の3つの手段があります。
任意整理
任意整理とは、裁判所の手続きをとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる手続きをいいます。
借金の返済をするときに支払う利息や遅延損害金をカットして(ただし、利息、遅延損害金のカットが可能であるかは個々の債権者ごとに異なります。)、元金のみの返済としてもらえるようになるので完済が楽になります。
また、債権者を選ぶことができるので、例えば連帯保証人がいる・担保がついている、というような債権者を外すことが可能です。
ただし、任意整理は債務整理の中でも一番減額が少ないものになり、きちんとした返済能力が必要です。
借金の一括請求がされている場合でも、訴訟を起こされる前までであれば、通常どおりの任意整理が可能であることが多いです。
早めに弁護士に相談するようにしましょう。
任意整理については、こちらの記事をご確認ください。
任意整理とは?~任意整理の手続やメリット・デメリットを解説!~
自己破産
自己破産とは、裁判所に申立てをして、借金を免除してもらう手続きをいいます。
借金を免除してもらえる手続きなので、経済的な再生が一番早い手続きですが、住居制限や職業制限など、手続き中の制約があります。
自己破産は借金の一括請求がされていても利用可能です。
自己破産については、こちらの記事をご確認ください。
自己破産ってどんなもの?メリット・デメリットとは?
個人再生
個人再生とは、裁判所に申立てを行い、借金を減額してもらって分割で返済するものです。
自己破産では職業制限にかかる方でも、個人再生であれば職業制限にかからないので、任意整理では支払えない場合も、自己破産で職を失わずに債務整理が出来ます。
また、住宅ローンで購入した住宅がある場合に、個人再生であれば住宅を守ることができる点が特徴です。
借金の一括請求をされている場合でも利用可能ですが、住宅ローン債権が代位弁済されてから6ヶ月を経過すると住宅ローンを守る手続きができないので注意しましょう。
個人再生については、こちらの記事をご確認ください。
自己破産はしたくない!個人再生手続ってどんなもの?メリットデメリットを教えて!
まとめ
このページでは、借金の一括請求についてお伝えしました。
期限の利益というものがあり、期限の利益を喪失すると一括請求されるという仕組みを確認しましょう。
借金の一括請求がされているような場合には、早めに債務整理のために弁護士に相談してください。