- 広告で見る借金救済制度は実は債務整理
- 債務整理以外に借金を軽くするものもある
- 債務整理とは?その概要
【Cross Talk 】借金救済制度…って何ですか?
現在借金をしており、返済が厳しいなぁと思って債務整理を検討しています。最近よく広告で「国が認めた借金救済制度」っていうものを見るのですが、これは何でしょうか?
「債務整理」という言葉を言い換えただけで、制度としては自己破産や個人再生など債務整理の手続きのことを指しているようです。
そうなのですね。債務整理についても詳しく教えてもらえますか?
債務整理に関する情報・広告などを見ていると「国が認めた借金救済制度」というものがあり、債務整理とは別の特別な手続きがあるように思えますが、実際には債務整理の個別の手続きを言い換えただけです。
このページでは借金救済制度とされているものの内容と、債務整理の個別の手続きの概要を確認しましょう。
よく広告で見る「借金救済制度」とは?
- 「借金救済制度」は実際には債務整理
- 債務整理以外の方法も確認
借金救済制度って何ですか?
債務整理を言い換えただけです。借金に対する対応方法と一緒に確認しましょう。
広告などでよく見ることがある「借金救済方法」とはどのようなものなのでしょうか。
広告でしきりに流れている「借金救済制度」実は債務整理
広告で流れている「借金救済制度」は、実際には債務整理です。
債務整理は伝統的に弁護士の業務分野を指す用語で、どのようなことをしているか一般の方には馴染みがないことも多いでしょう。
しかし、実務でこのように呼ぶことから広く債務整理、借金問題というような言い方をしてきました。
借金救済制度は、広告効果などを狙って債務整理の表現を言い換えたもので、その中身は実際には自己破産・個人再生などの制度です。
中には「2022年版最新借金救済制度」などと、新しい解決方法が出来たような表現をしていることもあるので注意をしましょう。
債務整理以外に借金の返済を軽くするもの
債務整理以外には次のような借金を軽くする又は免除する制度があります。
種類 | 内容 |
---|---|
相続放棄 | 被相続人に借金がある場合に、相続人から外れることで債務を負わなくてよくなるもの。 |
限定承認 | 相続した財産の範囲でのみ借金などの債務を負うもの。 |
借り換えローン | 金利の低い銀行から借りて金利の高い消費者金融などへの返済をして利息の負担を減らすもの |
おまとめローン | 複数の消費者金融・信販会社からの借り入れを銀行から借りて返済して一本化するもの。利息が下がる・毎月の支払額が下がる効果がある。 |
時効援用 | 借金が時効を迎えている場合に支払い義務を免れるもの。 |
相続放棄・限定承認は相続人である場合にのみ利用可能で、時効援用は時効期間を経過している場合に利用可能と、手続きを利用するための条件がかなり狭いです。
また借り換えローン・おまとめローンは審査に通る必要があるので、実際に借金返済が難しくなっているような場合では利用できる方は限られます。
債務整理とは?
債務整理とは、借金返済に困ったときに利用する手続きの総称をいいます。
上述したように債務整理は、例えば離婚・交通事故・相続などの弁護士の業務分野を指す実務上の用語で、任意整理・自己破産・個人再生の個別の手続きから、適切なものを選んで借金問題の解決を目指すものです。
また、借金が平成22年6月1日以前から相当長期にわたる場合には、過払い金請求によって払いすぎていた利息を返還してもらえる可能性もあります。
「借金救済制度」である債務整理の概要
- 「借金救済制度」である債務整理の手続きの概要
- 任意整理・自己破産・個人再生の概要
実は債務整理についても詳しい内容がわかっていません。
債務整理の主な3つの手続きの概要を確認しましょう
債務整理の主な手続きの任意整理・自己破産・個人再生について確認しましょう。
任意整理
任意整理とは、裁判所の手続きを経ずに、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法です。
任意整理では、弁護士が債権者と交渉をして返済の負担を軽くします。現在では元金を36回~60回の分割で支払うのが通常で、和解時に将来支払うべき利息・遅延損害金の支払いを免除してもらうことで返済を楽にします。
貸金業者と個別に交渉することになるので、連帯保証人がいる場合当該債務は外す、自宅が担保になっている債務は外すなど、自由に任意整理を行う業者を選択できるなどのメリットがあります。
一方で、元金は払う必要があるのが通常なので、減額の効果は自己破産や個人再生ほど大きくありません。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申立てをして、借金などの債務を免責してもらう手続きをいいます。
自己破産では、破産法に規定された手続きによって、税金・養育費・慰謝料などの非免責債権を除く、債務が免責されることになります。
免責されるという点で、返済が必要な任意整理・個人再生よりも高い効果が得られるというメリットがある一方で、自宅など価値の高い財産をお持ちの場合は当該財産を維持できないなどのデメリットもあります。
本来支払うべき債務を免責してもらう代わりに裁判所に申立てをする厳密な手続きになるので、弁護士に相談しながら行うようにしてください。
個人再生
個人再生とは、裁判所に申立てをして、借金などの債務を減額してもらって、減額した借金を分割して支払う手続きをいいます。
個人再生では、民事再生法に規定された手続きに従って債務が減額され、分割払いにしてもらえることになります。
個人再生は、自己破産における職業制限を免れる点や、住宅資金特別条項によって自宅を守れる可能性がある点がメリットです。
一方で、自己破産同様に裁判所を通じた厳格な手続きが行われますし、減額された債務はなお支払わなければならないというデメリットもあります。
まとめ
このページでは、「借金救済制度」として挙げられているものが実は債務整理を指していることについてお伝えしました。
広告手段として借金救済制度という表現を使いますが、その内容は実際には自己破産・個人再生など債務整理手続きに関するものです。
債務整理以外にも借金を減額する方法はあるのですが、通常は相続人であるなど、特殊な状況でしか使えません。
債務整理をするにあたって、どの手続きが適切かは借金の額と収入・支出のバランス等によりますので、早めに弁護士に相談してみましょう。