ブラックリストになったら何ができなくて、何ができるのかを知る
ざっくりポイント
  • ブラックリストとは信用情報に事故情報が登録されている状態
  • 信用情報を参照して行われる信用取引ができなくなる
  • 信用情報を参照しないものは従来通り利用可能

目次

【Cross Talk】ブラックリストになったらできること、できないこと?

債務整理を考えているのですが、「ブラックリスト」に入れられると思うと怖いなって思ってしまいます。

信用情報を参照される取引ができないので不便ではあるのですが、生活できないレベルではありません。
何ができて・何ができないかをしっかりおさらいしておきましょう。

ブラックリストによりできること・できないことを把握する

債務整理をすると信用情報に事故情報が掲載されることになります(いわゆるブラックリスト)。
これにより、一般的には新たな借入ができない、クレジットカードの利用ができない、ということになる結果日常生活が成り立たなくなる、と思ってしまう方もいらっしゃいます。

確かにできない事がある以上不便ではあるのですが、代わりになる手段はあるので全く生活が成り立たなくなるといったことはありません。できること・できないことを把握しておきましょう。

ブラックリストとは?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 信用情報に事故情報が掲載されている状態をブラックリストと呼んでいる
  • リストやデータベースになっているというわけではない

そもそもブラックリストってどういったものですか?どこでリスト管理されているのですか?

特にリストになっているわけではなく、貸付の状態を把握している信用情報機関の保有する信用情報に事故情報が記載されている状態のことを「ブラックリスト」と呼んでいます。

債務整理のデメリットとして「債務整理を行うとブラックリストに載る」という表現がされることがあります。
債務整理をすると、通知を受けた貸金業者がその事実について信用情報を管理している会社に伝えます。信用情報を管理している信用情報機関はこれを受けて事故情報(異動情報)を記載します。
その結果、後述するように新たな借入、クレジットカードの作成ができないという状態になり、この状態を「ブラックリスト」と呼んでいます。

ただ、特にリストやデータベースといったもので管理をしているわけではありません。
また、この状態も一生続くわけではなく、任意整理で5年、自己破産・個人再生で7年程度で消去されます。
詳しくは「ブラックリストってそもそも何?ブラックリストの基礎から解説」を参照してください。

ブラックリストに登録されるとできないこと

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • ブラックリストになると信用情報を参照する取引ができなくなる

ブラックリストになるとできないのはどのようなことなのでしょうか

信用情報を参照される行為はできなくなります。
具体的な例を挙げながらお伝えします。

ブラックリストになるとできないことは様々ありますが、共通点としては信用情報を参照して取引をすることです。具体的には次のようなものが挙げられます。

新たな借り入れをすることは原則できない

まず、新たな借り入れをすることは原則できなくなります。
この借り入れというのは、銀行や消費者金融・信販会社だけではなく、自動車ローン・車検ローン・住宅ローン・事業者ローンといったものも含まれます。
地方などで自動車が生活に必要不可欠で、車検や自動車の買換えが必要な場合には、債務整理とは別にしっかりお金を貯めておく必要があります。

クレジットカードを利用すること

クレジットカードの利用もできなくなります。
クレジットカードを利用している会社相手に債務整理をすると、そのクレジットカードは会社判断ですぐに利用できなくなります。
また、任意整理でクレジットカードの契約をしている信販会社に対する債務整理をしなかったとしても、クレジットカードは有効期限の更新があり、その更新の際に信用情報を参照するので、その際に利用できなくなります。
当然ですが新しくクレジットカードを発行してもらうこともできません。
後述するようにデビットカードで代用できるので、インターネットショッピングなどは可能です。

ETCカードを利用すること

高速の利用料金の支払いをするためのETCカードもクレジットカードと同じく利用できなくなります。
詳しくは「借金の債務整理(自己破産・個人再生)をしてもETCカードを使える方法を解説」を参照してください。
こちらも後述するようにETCパーソナルカードの利用でETCの利用はできます。

携帯電話の分割購入

携帯電話・スマートフォンを新しく契約したり、新しい機種を購入したりする際に、端末を分割で購入することができなくなります。
詳しくは「任意整理・自己破産後は携帯電話って契約できるの?ローンは組める?」を参照してください。
後述しますが、携帯電話の契約や機体の一括購入はできます。

保証人になる

住宅ローンを組む際に、夫の名義で住宅ローンを組んで、妻が保証人になる、といった場合があります。
このような保証人になることも、信用情報を参照されるためにできなくなります。

ブラックリストに登録されてもできること

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • ブラックリストになってもできること

ブラックリストになってもできることにはどんなことがありますか?

信用情報を参照されない行為はできます。いくつかよく質問されるものをお伝えします。

ブラックリストになると、信用情報を参照される取引をすることができなくなるとお伝えしました。ということは、信用情報と関係のないものについては従来通りできるということになります。

家族カードの利用

例えば、夫の名義で妻や子供なども利用できる「家族カード」というものがあります。
この場合、信用情報は夫の情報が参照されるので、仮に妻が債務整理をしたとしても妻が家族カードを利用できるということになります。

デビットカード・ETCパーソナルカードの利用

事前入金制のデビットカードや、デポジット制のETCパーソナルカードといったものは、信用情報とは関係なく利用できます。
ですので、インターネットでの物品の購入や、ETCの利用は、従前よりは不便にはなるものの、利用自体はできるといえます。

保険への加入

生命保険など保険への加入も問題なく行うことができます。
詳しくは「借金で自己破産したら生命保険は解約しないとダメ?新たに加入できない?詳しく解説 」を参照してください。

携帯の契約や一括購入

携帯・スマートフォンの端末の分割購入はできなくなるのですが、携帯を新しく契約したり、端末を一括で購入したりすることは問題なく行えます。
詳しくは「債務(借金)整理をした後もスマホ・携帯電話は使える?」を参照してください。

信用情報を参照しない貸付

上記で新たな借入は「原則としてできない」とお伝えしてきたのですが、信用情報を参照しない貸付があり、そういったものは行うことができる可能性があります。
例えば、市区町村が行う生活福祉資金貸付制度、年金担保融資、積み立て型の生命保険の契約者貸付などです。

ただ、ブラックでもOKとして貸付を行うものの中には闇金融などの違法金融業者が居るので、このような業者には絶対に手を出さないようにしてください。

選挙権・公民権・就職・転職

ブラックリストがいろいろ制約されるというイメージから、選挙権や公民権に制約がかかる、就職や転職もできなくなる、といったイメージを持っている方もいらっしゃいますが、こういったものも信用情報を参照しないため制約されることはありません。

ブラックリストへの登録が終了してもできないこと

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 債務整理をした会社との取引はいわゆる「社内ブラック」でできない
  • クレジットヒストリーとの関係でできないことがあることに注意

ブラックリストではなくなっても出来ないことはないのですか?

いわゆる「社内ブラック」で債務整理をした会社との取引ができないほか、ブラックリスト後すぐにはクレジットヒストリーがないため大きな取引ができない可能性が高いです。

ブラックリストではなくなっても出来ないことはあるのでしょうか。

借り入れをしていた金融機関は再度利用できない可能性がある

借り入れをしていて、債務整理の対象となった金融機関には、再度契約することができない可能性が高いです。

これは、金融機関の中で社内ブラックとするためで、銀行・消費者金融・信販会社で、借り入れ・クレジットカードの契約ができません。

クレジットヒストリーとの関係

ブラックリストの期間が終わると、信用情報には何もない状態になります。

通常全く借金をしない人であっても、家電量販店やデパートのポイントカードを作成すれば、クレジット機能がついているので、信用情報としてはクレジットカードを持っている状態になります。

また、昨今はインターネットショッピングや各種サービスの支払いなどでクレジットカードを使わない人のほうが珍しいです。

信用情報は、事故情報だけではなく、こういった過去の利用歴も記録されており、こういった情報のことを「クレジットヒストリー」といいます(省略してクレヒスと略すことがあります)。

このクレジットヒストリーがあることで、信用情報を見た審査の担当者は、返済に問題がないことを確認します。
ブラックリストの期間が終わったばかりのときには、このクレジットヒストリーが全くないので、返済能力を確認することができず、大きな取引(例:住宅ローン)については審査を通せないことがあります。

ですので、まずは少額の取引(例:キャッシング枠0円のクレジットカードの作成など)から初めて、しっかりクレジットヒストリーを作ってから、住宅ローンなどの大きな取引をするのが良いでしょう。

ブラックリストになっても債務整理はすべきか?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • ブラックリストになっても債務整理はすべきか
  • 返済が苦しくなり延滞すればどのみちブラックリストなので債務整理をすべき

債務整理をしてブラックリストになると生活ができなくなるように思うのですが、それでも債務整理をすべきでしょうか。

返済が苦しくなり延滞をするとどのみちブラックリストとなります。ブラックリストで不便にはなりますが、代替手段があるのでこれらを上手に利用すれば生活ができないということはありません。

ブラックリストになってでも債務整理をすべきなのでしょう。

返済が苦しいのであればなるべく早く債務整理をすべき

返済が苦しい状況なのであればなるべく早く債務整理をすることおすすめします。

債務整理をすることで家計が改善すれば、借金やクレジットカードを利用しなくても生活ができるようになります。

ブラックリストになると様々な制約がありますが、例えばクレジットカードが作れなくなる点についてはデビットカードが利用できるなど、代替手段があり、従来よりも不便になりますが、生活が全くできなくなるということはありません。

返済できずに延滞すればブラックリストに登録されてしまう

ブラックリストになってしまうのを嫌がってがんばって返済を継続する方がいます。
しかし、返済ができずに延滞をすると、延滞によってブラックリストになってしまいます。

返済ができなくなって延滞してブラックリストになるのであれば、早く債務整理をして家計を立て直すほうがメリットは大きいでしょう。

携帯電話・自動車はお金を貯めるか中古品を購入する

ブラックリストになるのが困るという人の多くが、携帯電話や自動車の購入ができないことを挙げます。
スマートフォンは最新のものでは20万円を超えることがあり、自動車はもっと高額です。
買い替えのサイクルで一括購入できるようにお金を貯めたり、中古品を購入することで対応しましょう。

住宅ローンを組みたいのであれば早めに債務整理をして頭金を貯める

将来住宅ローンを組みたいので、ブラックリストになるのは困るという方もいます。
しかし、延滞すればブラックリストになることは上述した通りですし、住宅ローンは消費者金融からの借り入れのような簡単な審査ではなく、頭金すら貯められないような状況で利用するのは極めて困難です。

住宅ローンを組みたいという希望があるのであれば、
早めに債務整理をして借金を返済してしまって、ブラックリストの期間にしっかり頭金を貯めてから申し込むのが良いでしょう。

まとめ

このページでは、いわゆるブラックリストという状態と、それによって何ができて、何ができないのかについてお伝えしてきました。
「ブラック」という言葉が先走って、何もかもできなくなってしまうようなイメージがあるのですが、実際には不便になる項目はあっても、生活が全く成り立たなくなるといったものではありません。
具体的にどんな制約があり、日常生活のどの部分が影響するのかなど、弁護士に相談してみると良い解決策が得られますので、是非相談をしてみてください。