自己破産手続きはどのようにして進むのでしょうか、手続き開始をしてから借金から自由になるまでの流れをお伝えします。
ざっくりポイント
  • 借金苦をどうにかしましょう、というのが債務整理です
  • 自己破産はその中でも最も強力な手段で、債務を原則0にするための手続です
  • 「自己破産」という語句から敬遠されがちですが、実際のデメリットは少ないです

目次

【Cross Talk】自己破産手続きってどんな手続きかを把握しましょう。

債務整理をして借金苦から生活を立て直したいです。

私たちがお手伝いします。あなたの場合「自己破産」という手続きが一番向いてます。

はぁ…自己破産しなければなりませんか…。私の人生終わりでしょうか。

自己破産という単語はどうしてもそのような印象を持ってしまいますね。しかし、実際の自己破産はむしろ人生の再出発になっていることが多いです。

そうなんですか?自己破産についてもっと詳しく教えてください。

自己破産手続きは、裁判所に書類を提出して行うことになっています。
破産者自身でも自己破産手続きの申立ては可能ですが、弁護士に依頼することで、書類の作成を代理してもらえる他に、債権者からの督促の窓口となってもらえたり、裁判所や管財人とのやり取りをしてもらえたりする等メリットが大きいので、ほとんどの人が、弁護士に依頼をしています。
なお、司法書士は裁判所・管財人の事務所への同行ができません。

自己破産手続きの流れを把握して、安心して弁護士に依頼しましょう。

自己破産手続きってどんなもの?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 債務整理には自己破産・個人再生・任意整理の3つの手続きを中心とした手続きがある
  • 債務が0になる自己破産手続きは、もっとも早くかつ効果的に生活を立て直せるもの
  • 一般的にはよくないイメージがあるものの、実際にはメリットが大きく、デメリットは少ない手続き
  • 実際に、多くの人が自己破産で生活を立て直しています

自己破産という単語はどうしてもネガティブな印象になりがちですよね。しかし債務は原則として0になるし、実は思われているほどデメリットも無い場合が多いのです。

とはいえ、周囲で自己破産した…なんて話聞いたことがなくて…。

最新の司法統計によると、1年で約7万6千件もの破産の申立が裁判所に受け付けられているんです!たくさんの人が自己破産で生活を立て直していますよ!

借金の返済に困ってしまった場合に、生活を立て直すため、弁護士に依頼をして様々な手をつくすことを、一般的に「債務整理」と呼んでいます。

債務整理には、主に自己破産・個人再生・任意整理といった種類があるのですが、任意整理・個人再生は債務が残り、返済を継続する義務が残るのに対して、自己破産手続きは基本的に債務が0になり、手続き以降返済を継続する必要がなくなります。
「自己破産」という言葉はどうしても借金苦・失敗などのネガティブなイメージと関連づけられていることが多く、実は法律相談に来られた方も「自己破産だけはしたくないのだが…」という方がたくさんいます。

もっとも、自己破産手続きにより債務が原則として0になるというメリットは大きく、平成29年の司法統計によると、約7万6千件もの破産手続きが裁判所に受け付けられており、多くの人がこの手続きを使って人生をやり直しています。
すなわち、自己破産手続きをこれだけたくさんの人が利用しているということは、世間一般に言われているようなデメリットが実生活に強く影響することが少ないためといえます。

まずは、自己破産は債務整理のたくさんある手段の中でも一番強力な手続きで、たくさんの人が利用している手続きである、ということを知りましょう。

自己破産について詳しく知りたい方は下記のページを参照してみてください。

自己破産手続の2つの種類!同時廃止と管財事件の特徴・違いとは!?
自己破産したい!自己破産に必要な9種の書類について解説
自己破産で借金の支払いを免除される!?免責制度って何?(免責不許可事由と裁量免責)
自己破産すると仕事ができなくなる!?職業制限はあるの?

自己破産手続きはどのような流れで進むかを把握する

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 自己破産手続きは裁判所に申立てをして、裁判所が判断をして行う
  • 裁判所を利用する手続きなので書類を作成する必要がある
  • 弁護士に依頼したほうが余裕をもった申立てができる

自己破産手続きの利用で早く生活を立て直したいと思いました。実際にどのように手続きが進むのですか?

はい、最終ゴールからお話しすると、裁判所から自己破産手続き及び免責についてOKをもらうことになります。

ということは、裁判所に申し込みをしなければならない…ということですね。そこにもまた手続きがありそうです。

おっしゃるとおり、裁判所に申立てをする必要があります。申立てには、そのための書類を作成したり、添付する書類を集める必要があります。

なるほど…ということは弁護士の先生にお任せした方がよさそうですね。

書類の作成、収集には本人の協力が必要になるので弁護士に任せっきりにはできないのですが、自己破産手続きに詳しい弁護士に依頼をすれば負担は大幅に下がりますよ!

自己破産手続きは

1.弁護士への相談・依頼
2.債務及び財産の調査・弁護士費用・予納金の積立
3.申立書類の作成・提出
4.裁判所・管財人との面接
5.裁判所が自己破産手続きの開始を認める決定を出す
6.裁判所が債務の免責を認める決定を出し、復権の効力が発生する

という流れで進みます。

まず最初に、弁護士への法律相談を行います。法律相談は事前に予約をしておきましょう。
弁護士との打ち合わせに納得がいった場合には依頼を行いますので、当日そのまま依頼することも考えているような場合には印鑑と身分証明書を持って行っておきましょう。

依頼をすると、弁護士の側では貸金業者に取引の履歴を出させるなどして、債務の詳しい調査を行います。
また、弁護士は依頼者への聞き取りを行い、依頼者の財産状況の詳しい調査を行います。
そして、通常は弁護士費用を分割にしてもらうことになるので、まずこの分割の費用の支払いをします。

弁護士費用の分割払い中に、弁護士は申立ての準備のために必要な書類作成・添付書類の収集、作成を行います。
弁護士から最初の面談時及び弁護士費用の分割払い中に、申立書作成に必要な事項の説明や、添付書類として依頼者に用意してほしいものについての連絡がありますので、これに応じて準備をします。
申立書類の作成および添付書類の収集、作成が終わると、弁護士は裁判所にそれらの書類を提出し、申立てをします。

同時廃止事件の場合には裁判所での手続期日(免責審尋)の日程を決めます。
管財事件という管財人が選任される正式な事件で行う場合には、裁判所での手続期日(債権者集会)の他に、管財人の事務所での打ち合わせの期日(管財人面接)の日程を決めます。

そのうえで、裁判所から、自己破産手続きの開始決定を認める決定が出されます。
そして、一般的には裁判所での手続期日(免責審尋)を行ったうえで、裁判所が債務の免責を認める決定を出し、全ての手続きが終了となります。

自己破産は弁護士に依頼をしてすすめるようにしましょう

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 申立は慎重に行うべき・メリットもあるので専門家を使う
  • 弁護士にしか認められていない手続きが自己破産には存在する
  • 弁護士しか裁判所・管財人の事務所での面接に同席できない

自己破産は専門家に依頼するとのことだったのですが、司法書士も債務整理をやっていますよね?

おっしゃるとおりで、司法書士も裁判所に提出するための書面の作成を代行する権限を持っているので、自己破産手続きに取り組んでいますね。しかし、司法書士にはできないこともあります。

というと?

司法書士はあくまで本人が申し立てるために必要な書類作成の代行という形をとります。そのため弁護士が代理をして申立をすることを前提とする手続きの利用ができなくなったり、裁判所や管財人との面接の場に立ち会うことができません。

なるほど、自己破産手続きを利用する場合には弁護士に依頼するのがよさそうですね。

自己破産手続きは債務を0にできる強力な手続きなので、書類の作成や書類の添付は慎重に行う必要があります。
また、弁護士・司法書士いずれも専門家に依頼をすると、借金の返済を一時的にストップし、督促を弁護士・司法書士が受けてくれるため、落ち着いて申立を行うことができるようになります。

ですので、自己破産手続きは弁護士・司法書士に依頼した方が良いのです。
では、弁護士と司法書士ではどちらが良いのでしょうか?ということなのですが、自己破産を検討しているならば弁護士に依頼するほうが確実です。

上記のように司法書士による自己破産申立は、本人が申立を行う延長として見られているため、弁護士が代理をして手続きを行うことが前提となるものが利用できません。
たとえば、東京地方裁判所が担当する場合には、申立てから3日以内に裁判官と面接をする即日面接というものがあるのですが、これは弁護士が申立を代理するときのみ利用でき、司法書士による申立には利用できません。

さらに、裁判所に赴く・管財人の事務所に赴く際に、司法書士は同席ができません。
そのため司法書士に自己破産手続きを依頼すると、自分一人で裁判官や管財人と話合いを行わなければならなくなります。
あまり難しい法的な内容の話合いをするわけではありませんが、万が一裁判所の印象が悪くなった場合には自己破産の許可が出ないということもありえます。

そのため、自己破産手続きを利用する場合には、必ず弁護士に依頼するようにしましょう。

まとめ

このページでは、自己破産手続きとはどのような流れですすむのかを、自己破産手続きの概要などと一緒にお伝えしてきました。
自己破産の大まかな流れを知っていただければ、債務を0にすることができる強力な効果を得られる反面、煩雑な手続きによって成り立っていることを知ってもらえるでしょう。
是非、債務整理に強い弁護士に依頼をするようにしてください。