- 借金が返せないと起こること
- 借金が返せないときにやってはいけない対応方法
- 借金が返せないときの正しい対応方法
【Cross Talk 】借金が返せないと何が起きる?
借金返済がかなり苦しくご相談です。このまま借金が返済できないと、どのようなことが起こるのでしょうか?
電話・手紙での督促が行われ、遅延損害金が発生し、それでも返済しなければ訴訟を起こされます。その他にも起きることを確認しましょうか?
はい、対応方法についても教えてください。
借金が返済できないとどのようなことが起きるのでしょうか。督促が行われる・裁判が起こされるなど、イメージがつくものもありますが、細かく分けると様々なことが発生します。やってはいけない対応方法と一緒に、正しい対応方法について確認しましょう。
借金が返せないと何が起きる?
- 借金が返せないと発生すること
- 遅延損害金の発生・督促・裁判など
借金が返せないと何が起きますか?
法律的には遅延損害金が発生しますし、身の回りに起こる事実としては督促が始まるなどがあります。
借金が返せないと何が起きるか確認しましょう。
遅延損害金の発生
本来の返済の期日を過ぎると、遅延損害金が発生します。
遅延損害金は1日でも遅延すると発生します。
督促
貸金業者から督促がくるようになります。
督促は、電話や郵便で行われることが多いですが、直接訪問してくることもあります。
最初は「入金をお忘れではないですか?」という程度の通知ですが、返済ができなくなっていると判断された場合には、本格的な督促の部署が対応するようになります。
なお、督促については貸金業法21条で一定の制限がされています(例:午後9時から午前8時までの督促は禁止)。
ブラックリスト
返済の延滞をしてから一定期間が経過すると、信用情報機関に、借金を延滞している旨の情報(事故情報)が登録されます。
一般的にブラックリストに載るといわれるのは、このような登録がされることをいいます。このような登録がされた状態になると、新たな借入・クレジットカードの作成・携帯電話やスマートフォンを分割で購入する、人の保証人になるなどといったことができなくなります。
債務整理をするとブラックリストに載るため債務整理はしたくないと考える方も多いのですが、債務整理を行わなかったとしても、返済の期日までに返済ができないとブラックリストに載ることになるので注意が必要です。
期限の利益の喪失および一括請求
期限の利益とは、返済期が到来していない借金について、返済を拒むことができる利益(権利)のことをいいます。
期限の利益を喪失すると、それ以後に返済期日が到来するものも含めて、全額を一括請求されることになります。
例えば、50万円の借り入れをしていて、毎月2万円の返済となっている場合、返済期日に2万円を支払えば、残った債務の全額を請求されても、これを拒むことが可能です。
この期限の利益は、長期間延滞すると喪失することになっているのが一般的であり、期限の利益を喪失すると、期限が到来している分のみならず、借金全額を一括で請求されることになります。
代位弁済
代位弁済とは、借金について保証会社がついている場合に、保証会社が債務者に代わって弁済をすることです。
貸金業者から借金をする際に保証会社がついていることがあります。
保証会社が代位弁済をすると、借金の返済を受ける権利が貸金業者から保証会社に移るため、以後は保証会社から借金の返済を請求されることになります。
延滞した借金の督促を専門とする会社などが、貸金業者に代わって請求できるように利用されます。
裁判・強制執行
借金返済ができない場合には、最終的には裁判を起こされます。
裁判は強制執行をするために必要な手続きであり、裁判と似た機能を有する支払督促が行われることがあります。
裁判で支払いが確定したり支払督促が行われたにもかかわらず返済しない場合には、強制執行が行われます。
借金の返済ができなくなっているような場合には、差し押さえるべき財産もないことも多いのですが、給与をもらっている方は、給与が差し押さえの対象となるので注意が必要です。
連帯保証人への請求
債務について連帯保証人がいる場合には、連帯保証人に請求がされます。
期限の利益を喪失している場合には、連帯保証人に対しても一括請求がされるので、注意が必要です。
担保権の実行
担保権が実行されます。
例えば,住宅ローンの借り入れをした場合、住宅に担保権の一種類である抵当権がついていることが一般的です。
そして、住宅ローンを延滞すると、抵当権が実行されて、住宅は競売で売却されます。
ほかにも、自動車ローンやショッピングローンでは、所有権留保という担保権がついていることがあり、延滞すると自動車などローンを組んで購入した物が引き上げられて売却されることになります。
借金が返せないときにやってはいけないこと
- 借金が返せないときにやってはいけないこと
- 貸金業者からの督促を無視する・ショッピング枠の現金化・夜逃げなど
借金が返せない!となった場合にいろんな対策があると思うのですが、これはやってはいけない、ということはあるのでしょうか。
はい、たくさんあるので是非確認してください。
借金が返せないときの対応方法としてやってはいけないことを確認しましょう。
債権者からの連絡・催促を無視する
債権者からの連絡・督促を無視することです。
延滞すると、債権者から毎日のように連絡がかかってきて、通知が自宅に届きます。
最初は心理的な圧迫があっても、慣れてしまうとこれを無視することも珍しくありません。
しかし、通知の中には、期限の利益の喪失をする通知・訴訟予告の通知など、債権者からの重要なアクションを示すものもあり、これらを全部無視していると、自分が対策をすべき緊急度がわからなくなってしまうことがあります。
電話では、現在の状況・返済の見通し、もし返済をすぐにできず、例えば仕事を探しているような状況であれば、次に状況を確認する日時などを話し合います。
書面での通知には、債権者がどのような行動をしようとしているかがわかりますので必ず目を通すようにしましょう。
悪徳業者からや違法業者からの借り入れ
返済や生活に困って、悪徳業者・違法業者からでも借り入れをしようという方がいます。
一昔前ならばスポーツ新聞の募集覧や街角の張り紙などを使って、最近ではSNSを利用して、「ブラックOK」などという甘い言葉で、闇金融などの違法業者は近づいてきます。
中には、融資詐欺などもありますので、絶対に利用しないようにしましょう。
クレジットカードの現金化
融資は受けられなくても、クレジットカードのショッピング枠があるような場合、クレジットカードの現金化という方法で現金を得られることがあります。
電化製品や高級ブランド・貴金属を購入して、売却するような方法や、現金化業者から特定のものを購入してキャッシュバックを受ける方法などがあります。
しかし、クレジットカードの規約違反となるため、そのカードの利用停止・一括返済を求められることがあったり、将来的に自己破産をした場合には破産法252条1項2号の不当な債務負担行為として免責不許可事由にあたるので、より不利な状況に置かれる可能性がありますので、行わないようにしましょう。
新しい借金をして返済に充てる
一社から借金をしていて枠が一杯になって借り入れできなくなったときに、すぐに手持ちで返済できないからと別の貸金業者から借り入れをして返済に充てる行為もやめましょう。
このような状態のことを自転車操業・雪だるま式などということがあるのですが、将来の返済を確実に行える明確な見通しがないと、借金が増える一方になります。また、1ヶ月のうちに返済日が複数くることになり精神的負担も尋常ではありません。
夜逃げは解決にならない
あまり聞かなくなりましたが、借金について「夜逃げ」という行為をする方がいます。
これは、従来の住所から去って、住民票を移さずに、借金が時効になるのを待つことです。
住民票を移すと、住民票や戸籍の附票を取り寄せることで現在の住所がわかってしまうため、住民票を移さずに行います。
従来の住所に住んでいないことが分かると、住民票が抹消されてしまい、健康保険証が使えなかったり、働くにあたって住民票を提出することができなくなります。
また、本人が夜逃げをして居場所が不在になっているような場合には、公示送達という仕組みで裁判を起こすことが可能になっています。
そのため、時効にかかるまで待とうとしても、債権者が裁判を起こして勝訴判決を獲れば、時効が更新されていつまでも時効にかからないことになってしまいます。
借金が返せないときの対応方法
- 借金が返せないときの対応方法
- 貸金業者に相談する・借り換え・おまとめローン・債務整理など
では、借金が返せないときの対応方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
一時的なものであれば貸金業者に相談することも可能ですし、借り入れができるのであれば借り換え・おまとめローンという方法もあります。ただ、基本的には債務整理をするのが適切です。
借金が返せないときの対応方法には次のようなものがあります。
一時的な返済不能は貸金業者に相談
冠婚葬祭が続いた、家賃の更新料が必要だ、車検がある、自動車・スマートフォンが故障したなどで、一時的にお金が必要となることがあり、返済ができないということはよくあります。
このような場合には、貸金業者に相談してみましょう。
一時的な原因で、返済の再開の見通しが立っているのであれば、当面は利息のみの返済で良いなどの内容で軽減してくれる可能性があります。
借り換え・おまとめローン
消費者金融や信販会社からの借り入れは、利率が高いことがほとんどです。
そのため、利率の低い銀行の借り換えローンを使って、利率を下げることができます。
また、借り入れが複数ある場合には、おまとめローンを使うことで、月々の返済を減らすことができることもあります。
ただし、借金返済が難しくなっているような局面で、借り換え・おまとめローンを利用するためには、厳しい銀行の審査を通す必要があり、利用できる方は非常に限られています。
また延滞してブラックリストに載ってしまった後だと審査は通りません。
債務整理
借金返済ができないときには、早めに債務整理を行いましょう。
なお、よく広告などで「合法的な借金減額方法」などと宣伝されているものがあるのですが、これらは実際には債務整理のことを言い換えているものになります。
まとめ
このページでは、借金が返せなくなるとどうなるのか、適切な対応方法についてお伝えしました。
借金が返せなくなると、日常的に督促を受けることになり、最終的には裁判を起こされて給与を差し押さえられるリスクも発生します。
できるだけ早めに弁護士に相談して、債務整理をするようにしましょう。