借金の返済から逃れる事実上の方法として「夜逃げ」は借金問題解決にならない。
ざっくりポイント
  • 夜逃げで一時的に請求できなくはなる
  • 時効で逃げようと思っても時効にならない方法がある
  • 夜逃げ先では日常生活に大きな制限を受ける

目次

【Cross Talk】このまま借金を払えないなら夜逃げしたいけど…

借金を払える目途もなく、弁護士費用を払えるわけでもないので、もうやむなく夜逃げをしようと思っています。

夜逃げは借金問題を何も解決してくれません。弁護士費用の支払いについては無理なく支払いができる方法があるので、絶対に弁護士に相談すべきです。

夜逃げは借金解決にならないし、そもそも夜逃げ先では生活の不便が大きい。

住民票を移さずに従来の住所からいなくなってしまうことを一般的に「夜逃げ」と呼んでいます。借金が時効になるのを期待して行う方がいますが、実際には借金は時効にならず、おまけに移動先でまともに生活することができなくなります。借金の問題について取り組んでいる弁護士は無料で相談に応じていることが多く、支払いも無理なくできるようにしているので、是非積極的に利用しましょう。

どうして借金問題で夜逃げをする方がいるのか

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 夜逃げをする方が考えることは、督促を受けたくない・時効で借金から自由になりたい、という2つの動機

そもそも、どうして夜逃げをするのでしょうね。

夜逃げをすると督促を受けないということと、それにより借金が時効にかかるということを期待しているのだと思います。

どうして「夜逃げ」をする方がいるのでしょうか。

住民票を移動しないで夜逃げをすると請求することができなくなる

貸金業者にはお金を借りる際に住所を申告します。
この住所は公的な身分証明書の提出で確認されますので虚偽の住所を記載することはできません。
貸金業者の督促の方法というと、登録された電話番号へ電話を架ける、この住所に対する通知の発送、あるいは訪問という方法により行われます。
電話については電話番号を変えてしまえば割と簡単に電話連絡先がわからなくなります。

あとは督促状や訪問を受けたくない、ということであれば、この住所から引っ越しをすることが考えられます。
通常、引っ越しをする際には、従来の住所に転居届を出して、新しい住所に転入届を出して、住民票を移します。
住所を移した事実は住民票に記載されており、債権者など裁判をする予定があることを申告すれば、第三者でも例外的に住民票を取得することが可能です。
そのため住民票に関する登録をせずに引っ越しをすれば、債権者は住所を把握できなくなり、督促を行えなくなるのです。
夜逃げをするときには、この住民票を移さずに行うことが多いです。

夜逃げをする方はこのような形で督促から逃れることを期待しています。

その債務は時効にかかる可能性がある

借金は債務であり、それは債権者側から見ると債権です。
そして債権は民法その他の法律の規定に従うと時効期間の経過により請求できなくなる、ということになっています。
現在適用されている法律の下では、貸金業者からの借り入れは商法522条の規定により5年で消滅時効にかかります。

時効にかかると、請求をされても、時効にかかったことを主張します!と言ってしまえば払わなくて済むことになります。夜逃げをする方は、こういった効果も狙っているのでしょう。

夜逃げは借金問題解決にならない

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 時効を中断(更新)する方法がある
  • 現在では時効が完成することは少ない

時効を主張できるのであれば、債務整理よりも夜逃げを選んだほうが…と思ってしまいますが。

時効は途中で中断(更新)をすることができます。最近の貸金業者はまずこの中断(更新)の手続きをしているので、時効が完成すると思わないほうがいいでしょう。

時効が完成すると借金を免れることができます。
しかし、債権者としても、その状況を見ているだけ、というわけではありません。
この時効については、債権者の行動によって「中断」することができるようになっています(なお、2020年の法改正後は「時効の更新」という表現がされています)。

その代表的な行動としては、債務者を相手に訴訟をすることが挙げられます。
訴訟をして確定判決をとると、その日からさらに10年の期間が延びることになっています。

「住所を把握していないのに裁判なんかできるの?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、民事訴訟を起こすには相手に訴状を受け取らせる手続き(送達)をとらなければならず、住所がわからない場合には利用できないようにも思えます。

しかし、職場を知っている場合には職場に訴状を送達することができますし、自宅も職場もわからなくなってしまっている場合には「公示送達」という、裁判所の掲示板に張り出しを行う方法で行われます。
つまり、相手が行方不明の場合でも民事裁判を起こすことができ、欠席裁判でそのまま勝訴判決を取ることができます。
実は過払い金請求がブームになっていたころは貸金業者もこれへの対応に追われており、こういった対応をとる余裕がなく、たくさんの債権が時効にかかっていました。

しかし、過払金請求の数が少なくなった昨今、貸金業者も債権回収業務に手が回るようになり、最近では公示送達を使った訴訟を利用して時効を中断(更新)させている場合がほとんどです。

つまりは、夜逃げをして時効で債務を消滅させて借金問題を解決させようとしても、解決できないことが多いのです。
さらに、貸金業者からの借入には、通常、利息や遅延損害金が設定されており、夜逃げをして借金を放置していると借金の金額は雪だるま式に増加していきます。
そのため、いざ借金を返そうと思った時には借金の額が膨れており、もはや自己破産以外の手段がなくなるなど、夜逃げは借金問題をかえって悪化させるのです。

夜逃げをすることで被る日常生活のデメリット

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 夜逃げをすることで日常生活にたくさんのデメリットがある
  • 借金が膨らむ・住民票を移せないなど

夜逃げをすると日常生活でどのようなデメリットがありますか?

遅延損害金がどんどん膨らむこと、住民票を移せないので、就職のために住民票を提出できない・保険証が利用できなくなる、などのデメリットがあります。

夜逃げをすることで、どのようなデメリットが日常生活にあるか確認しましょう。

借金はどんどん増え続ける

夜逃げをしている間、連絡がとれなくても、債務不履行という状態は変わりません。
そのため、遅延損害金がどんどん加算されるので、借金はどんどん増え続けます。

住民票を移せない

夜逃げをする場合、住民票を元の住所に残したまますることが多いのはお伝えした通りです。
このとき、元の住所地では、そこに住んでいないことを市区町村が確認すると、住民登録が抹消されます(職権消除)。
そうすると、新しい拠点で就職する際に住民票を提出することができませんし、持っている保険証が更新の時期以降は使えなくなり、保険を使って病院にかかることができなくなります。
他にも、印鑑証明の発行を受けられない、免許証の更新ができないなど、不利益が多数発生します。

平穏な暮らしができない

借金の返済ができないからといって逃げ続けている生活は、精神的に大きな負担となります。
精神的な負担が大きいまま長年暮らす必要があり、平穏な暮らしはできないといえるでしょう。

多くの方に迷惑がかかる

夜逃げをすると多くの方に迷惑がかかります。
賃貸物件に住んでいる場合には、その物件の家賃の滞納や、残置物の撤去などで、大家さんや連帯保証人に迷惑をかけることになります。
親が亡くなって相続が発生したような場合では、夜逃げをした方が遺産分割協議に参加できず、相続人はスムーズに手続きができません。
このように、親族や賃貸物件の大家さん、連帯保証人をしてくれている方など、色々な方に迷惑がかかります。

夜逃げをする前に、債務整理を検討しよう!

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 夜逃げをする前に債務整理を
  • 任意整理・個人再生・自己破産のうち自分に合った手続きで生活再建

夜逃げをすべきではないのであれば、何か良い手段はありますか?

適切な債務整理をしましょう。

夜逃げをするのではなく、債務整理を検討しましょう。
債務整理をすれば、法律で認められている手段で借金を減額・免除してもらえるので、夜逃げをしなくても自分の状況に合わせた方法で生活を再建できます。

任意整理

任意整理とは、裁判所の手続きをとらず、直接債権者と交渉して借金を減額させる方法をいいます。
元金を36回~60回の分割で返済することになり、利息や遅延損害金をカットすることができます。
長く延滞をしている場合には、遅延損害金がかなりの額になることがありますが、全額ではなくてもかなりの額をカットすることが可能な場合もあるので、積極的に利用しましょう。

個人再生

個人再生とは、裁判所に申立てをして、借金の減額を認めてもらい、分割して返済する手続きをいいます。
任意整理は元金を36回~60回で分割するのが原則であり、収支の状況からすると返済ができない場合もあります。
このような場合でも、個人再生をすれば、元金も大きく減額して分割して返済することが可能となります。
ローンを組んで購入した自宅を守ることができるのも、個人再生の特徴です。

自己破産

自己破産とは、裁判所に申立てをして、借金の免除を認めてもらえる手続きです。
他の手続きと異なり、基本的に借金を免責してもらえるので、生活を早く立て直すことができます。

まずは、弁護士に相談を

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 督促は弁護士に依頼をすればすぐに止まる
  • 弁護士への相談料を無料としているなど柔軟な体制が整っている

弁護士に相談をするにも、すぐに依頼できる費用を工面できないです。

借金の相談を無料で行っている事務所も多いですし、今すぐ借金問題解決のための行動をとることが可能です。

弁護士に借金問題の解決を依頼したいけれど、弁護士に相談・依頼するにはお金が必要になる…。と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに弁護士に法律相談をする際には30分5,000円~の費用を払うことが必要な場合もあります。

しかし、借金問題で困っている方は、この5,000円の支払いをすること自体が難しい状態になっています。

借金問題に取り組んでいる弁護士は当然このことを知っているので、相談料を無料としているところがほとんどです。

弁護士が貸金業者との間に入れば、返済を止めても督促がされないという実務になっているので、安心して債務整理をすることができます。

まとめ

このページでは、借金問題で夜逃げを選ぶ人がいる理由と、それが根本的な問題解決にはならないこと、および夜逃げをすることによってかえって大きなデメリットを受けることについてお伝えしてきました。法律事務所は、夜逃げが借金問題解決のためにはならないことを知ったうえで、相談・依頼しやすい環境を整えているため、早期に相談をするようにしてください。