借金から逃げ切れる方法はあるのか?
ざっくりポイント
  • 債権者からの督促を無視し続けても給与を差し押さえされる
  • 夜逃げをしても時効の更新で時効では逃げられない
  • 氏名の変更や戸籍は非常にハードルが高くさらに戸籍調べれば判明する

目次

【Cross Talk 】借金から流石に逃げ切るということは難しいですよね?

借金が多く債務整理を考えています。世の中には夜逃げに代表されるような、借金から逃げる方法があるのですが、これらは本当に成功するのでしょうか?

夜逃げや督促を無視すること、氏名を変更することなどは、いずれも失敗します。きちんと債務整理をするようにしましょう。

そうですよね。どうしてか詳しく教えてもらえますか?

借金から逃げ切ろうとしても失敗する!その理由を確認

借金から逃げ切るための方法として、催促を無視し続ける・夜逃げをする・氏名を変更する、などを考える人がいます。しかしこれらは、いずれも上手くいきません。その理由をこのページで確認しましょう。

債権者からの督促を無視していれば借金から逃げられる?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 債権者の督促を無視すれば訴訟が起こされて強制執行される
  • 給与に対する強制執行が行われることが多い

債権者から督促されても無視すればいい、という人がいるのですが、この方法はどうでしょう?

無視をしても債権者は強制執行をすることができ、給与を差し押さえることができます。

債権者からの督促を無視して借金から逃げ切れるのでしょうか?

督促を無視していると裁判を起こされる

債権者は、債務者の返済が遅れると、督促を始めます。
督促は電話のほか、通知で行なうことが多く、稀に直接訪問します。
電話に出ない・通知は読まない、自宅で呼び出しされても応じない、ということを続けていると、債権者は裁判を起こすことになります。

裁判で勝訴をすれば強制執行ができる

お金を借りている以上、支払いを求めて訴訟を起こされると、仮に弁護士が選任されても、債権者が勝訴をします。
債権者が勝訴しても無視していると、債権者は債務者の財産を強制執行で差し押さえることができます。

給与に強制執行をすることが多い

借金をしているような状況で、差し押さえるものなんてないと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、給与は、勤務先に対する債権であり、これは差し押さえることが可能です。

ただし、生活ができなくなるという配慮から、給与は原則、1/4の部分が差し押さえの対象になります。
差し押さえがされると、対象となる金額を裁判所から指定された口座に振り込むように、会社に通知がされるので、借金があることが会社に知られてしまうことになります。

夜逃げをすれば借金から逃げられる?

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 借金が時効になるのを見越して夜逃げをする人がいる
  • 実際には夜逃げをした人を相手に裁判をして時効の更新ができるので借金からは逃れられない

夜逃げをすれば借金から逃げられるというのはどうなのでしょうか?

夜逃げをしても裁判を起こすことが可能であるため、それによって時効にはならないので意味がないといえます。また夜逃げをしてまともに暮らしていくことは事実上不可能でしょう。

夜逃げをすれば借金から逃れられるのでしょうか?

時効を目的に夜逃げをするには住民票をうつさないで移転する必要がある

貸金業者からの借金は5年という時効があります。
この時効によって支払わなくても良くなることを目的として、夜逃げをすることを考える人がいます。

このような目的で夜逃げをするためには、住民票を移さないで移転をする必要があります。
住民票を移してしまうと、住民票や戸籍の附票を取り寄せることで現在地が把握でき、訴訟を起こすことが可能だからです。
新しい住所地で住民登録ができず、職業に就くことに限界があるようなことも考えられます。

従来の住所で住民登録が抹消される

また、従来の住所について、住民登録が抹消されることになります。
居住の実態がないにもかかわらず、住民登録が従来の住所にある場合、市区町村が住民登録を抹消できることになっています。
免許証や保険証が更新できず、行政サービスが受けられなくなります。

住所がわからない場合でも訴訟を起こすことができ逃げ切ることはできない

このような状態を受け入れても、債権者としては公示送達という、本人が不在の場合に裁判所の掲示板に張り出すことで、訴訟を起こすことが可能です。
その結果、時効の更新という制度によって、時効にかからないことになってしまうので、夜逃げは意味のない方法といえるでしょう。

氏名の変更で借金から逃げられるか

知っておきたい借金(債務)整理のポイント
  • 氏名の変更の方法
  • 氏名の変更は戸籍を見れば分かるので意味がない

氏名を変えてしまうのは意味がないですか?

戸籍によって確認が可能なので、意味がないといえるでしょう。

氏名の変更で借金から逃れることはできないのでしょうか。

氏名の変更の方法

氏名の変更については、

  • 結婚によって氏(苗字)を変更する
  • 離婚によって氏(苗字)を変更する
  • 裁判所の許可を得て氏名を変更する

といった方法があります。

裁判所の許可を得て氏を変更するためには「やむを得ない事由」が(戸籍法107条)、名前を変更するためには「正当な事由」が必要です(戸籍法107条の2)。
名前の場合、変更したい名前を長年使用している場合(通称名)など、名の変更をしないと、社会生活で支障が生じるような場合に限られます。

戸籍を確認すれば同一人物であることは判明する

氏名の変更は戸籍に記載されることになります。
債権者がこれを取り寄せれば、氏名が変更したことを確認することができるので、それによって同一人物と特定が可能です。
そのため、借金から逃げ切ることはできないといえます。

まとめ

このページでは、借金から逃げ切ることが可能かについてお伝えしました。
結論としては、借金から逃げることは事実上不可能であるため、早めに債務整理をするようにしましょう。