- 借金の時効制度
- 実際に時効で逃げ切るのは難しい
- 借金返済ができない場合には債務整理
【Cross Talk 】借金の返済ができない!海外に逃亡しようと思っています。
弁護士の先生にご相談する内容ではないと思うのですが、借金の返済ができず、しばらく海外に逃亡しようと思ってるのですが、効果はありますか?借金は時効で消滅すると聞いているのですが。
海外に逃亡して住所がわからなくなっているような場合でも、時効の更新をすることができるので、時効にならないと考える方が良いでしょう。債務整理できちんと生活を立て直しましょう。
やはりそうですよね。詳しい話を聞かせてください。
借金返済ができなくなったときに、海外に逃亡して裁判ができないようにすれば、時効にかかるのではないのか?と考える方もいるかもしれません。
しかし、住所が不明になっているような場合でも裁判を進めることができる公示送達という制度があり、これによって時効のカウントを再度元に戻すことができる時効の更新によって時効は完成しなくなります。
借金返済ができない場合の対応方法と一緒に海外逃亡をした場合の借金の取り扱いについて確認しましょう。
借金を残して海外逃亡すればどうなる?
- 借金は時効にかかる
- 時効には更新の制度がある
借金を残して海外逃亡すればどうなりますか?
時効を目的にそのように考える人もいますが、実際には時効にはかからないと考えておくべきでしょう。
借金を残して海外逃亡するとどうなるのでしょうか。
借金が払えなくなったこと自体は犯罪になるわけではない
まず、海外逃亡するという目的の中に、逮捕されないように、と心配する方がいます。
しかし、借金が払えなくなったこと自体は犯罪ではないので、逮捕・起訴される心配はありません。
長期間経過すれば時効になる可能性はある
借金がある場合に海外逃亡を考える方の多くが、長期間経過によって時効になるのを目的としています。
借金は債権者側から見ると債権ですが、債権は返済を求めることができるときから5年で、時効により消滅します(民法166条)。
刑事事件のように海外にいると時効が停止することはない
この時効期間について、刑事事件の場合には、海外にいる間は時効が停止することが、刑事訴訟法255条に規定されています。
しかし、あくまでこれは刑事事件についてであり、民事上の時効についてはこのような制度はありません。
そのため、海外に逃亡したからといって時効の関係で有利になるということはありません。
時効の更新(時効の中断)の制度があり実際には時効にならない
時効について、債権者は時効の更新の制度によって、時効の完成を止め、期間のカウントを最初からやりなおすことができるようになっています。
そのためには、裁判を起こす必要があります。
海外逃亡や夜逃げをすると、居場所がわからないので裁判ができないのでは?という疑問があるのですが、相手の居場所が調査してもはっきりしない場合には、公示送達という手段によって裁判を進めることが可能になっています。
そのため、時効の更新は可能です。
なお、古い時効の解説の中には、「時効の中断」という表現があるのですが、法改正され時効の更新という制度になっているので注意しましょう。
海外逃亡以外の方法を検討しなければならない
- 海外逃亡以外で借金対策
- 債務整理を検討する
なるほど。海外逃亡に意味がないのはわかりました。そうするとやはり自己破産でしょうか。
債務整理は自己破産だけではありません。今の状況を教えてください。
借金返済に困った場合、どのような方法があるのでしょうか。
相続したものであれば相続放棄
借金について相続したものであれば、相続放棄や限定承認を検討しましょう。
相続放棄とは、家庭裁判所に申述をして相続人ではなかったと扱ってもらう制度をいいます(民法939条)。
限定承認とは、家庭裁判所に申述をしてプラスの財産の範囲で債務を引継ぐとする制度をいいます(民法922条)。
これらの制度を利用すれば、相続した借金を返済しなくても済みます。
相続放棄・限定承認は、債務整理を取り扱っている弁護士であれば対応可能です(東京新宿法律事務所でも相談・依頼が可能です)。
借り換え・おまとめローン
借り換え・おまとめローンの利用を検討する方もいます。
借り換えローンとは、利率の低い銀行などから借り入れをして、利率の高い消費者金融・信販会社への返済を行うものをいいます。
おまとめローンとは、複数の借り入れについて、利率の低い銀行などから借り入れて返済をしてしまうものをいいます。
利息の負担や月々の返済額を楽にする効果があるのですが、審査が非常に厳しく、返済に行き詰まっている場合には利用が難しいといえます。
債務整理
債務の返済ができない場合には債務整理を検討しましょう。
債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生があり、その人に応じた適切な手続きを利用することで、早期に経済的な立て直しを図ることが可能になります。
債務整理は弁護士が取り扱っているので、まずは弁護士に相談してみてください(東京新宿法律事務所では無料でご相談を承っています)。
まとめ
このページでは、借金がある場合に海外逃亡することについてお伝えしました。
時効によって借金から免れることを目的として海外逃亡を考える方もいるのですが、実際には時効を完成させないための方法があり、目的を達成できないと考えるべきです。
早めに債務整理をして、経済的な立て直しをするようにしましょう。