離婚届不受理申出制度の利用方法
ざっくりポイント
  • 離婚届不受理申出制度とは
  • 離婚届不受理申出制度の利用方法と注意点
  • 離婚届不受理申出制度の利用が間に合わなかったときの事後的な処理

目次

【Cross Talk 】夫が離婚届を勝手に出してしまうかもしれない

夫から離婚を言い渡されています。夫は離婚届に名前を書いて提出を迫っており、いつ夫が離婚届を提出してしまうかわからない状況です。何か良い手段はないでしょうか。

離婚届不受理申出をしましょう。協議離婚の離婚届が提出されても受理されなくなります。

そんな制度があるんですね!詳しく教えて下さい。

離婚届を勝手に出されそうなときには離婚届不受理申出制度を利用

夫婦の一方が離婚届を勝手に作成したり、喧嘩をした際に離婚の意思がないにもかかわらず離婚届にサインしてしまい、これが提出されてしまうことがあります。離婚届が提出されてしまうことを防ぐために、離婚届不受理申出制度を利用しましょう。

離婚届不受理申出制度

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚届不受理申出制度の概要
  • 離婚届が勝手に出されるケース

離婚届不受理申出制度はどのような制度ですか?

提出された離婚届を受理しないようになります。

まず、離婚届不受理申出制度の概要を確認しましょう。

離婚届不受理申出制度とは

離婚届不受理申出制度とは、離婚届が提出されても、自ら窓口に出頭して届け出たことを確認することができるまでは、受理しないように申し出る制度です。

もし離婚届が勝手に出されてしまうと?

たとえば、夫婦の一方が離婚をしたいと考えており、もう一方が離婚はしたくないとしているとします。
この場合に離婚調停・審判・裁判を経て離婚を請求していくことになるのですが、離婚は簡単に認められるわけではなく、法的手続きで離婚を認めてもらうには長期間時間がかかります。
そのため、離婚届けに勝手にサインをして離婚届を出してしまう方がいます。
また、離婚の意思はないものの、喧嘩をした拍子に離婚届にサインをしてしまって、それを相手が持っているということもあるでしょう。

離婚届不受理申出制度を利用すると

離婚届不受理申出をしておくと、万が一夫婦の一方が偽造した離婚届を出したり、うっかり作った離婚届を出した場合に、役所がこれを受理しません。
そのため、離婚は成立しないことになります。

離婚届不受理申出の方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚届不受理申出の方法
  • 代理人による申出には公正証書や公証人による認証が必要

離婚届不受理申出はどのように行うのでしょうか。

離婚届不受理申出の方法について確認しましょう。

離婚届不受理申出の方法について確認しましょう。

管轄の役所は本籍地または住所地の地区町村

離婚届不受理申出は、市区町村に申出をして行います。
管轄になる役所基本的には本籍地のある市区町村ですが、住所地でも受け付けていることがあるので役所のホームページを確認しましょう。

申出書を役所で取得・インターネットでダウンロード

離婚届不受理申出は書面で行います。
そのため、離婚届不受理申出書を役所で取得しましょう。
離婚届不受理申出書はインターネットでダウンロードをして取得することもできます。

参考:離婚届不受理申出 PDF

添付書類と一緒に提出

内容を記載して添付書類と一緒に提出します。
申出をする際には本人確認書類を提出する必要がありますので、忘れずに持っていきましょう。

郵送・代理人による申出の場合

まず、郵送や代理人による申出は基本的には認められていません。
例外的に認められる場合として、申出の意思を公正証書で確認できる場合や、公証人による認証がある場合にのみ郵送や代理人による申出ができる場合があります。
提出を考えている市区町村に事前に確認しましょう。

離婚届不受理申出の注意点

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚届不受理申出だけなら相手には気づかれないが離婚届を提出すると受理されないので気づく
  • 離婚届不受理申出によって離婚に不利になることはない

離婚届不受理申出をすると離婚裁判を起こされたりした場合に不利にならないでしょうか。

特に離婚裁判を起こされたからといって不利になる事情とはいえないでしょう。

離婚届不受理申出の注意点を確認しましょう。

離婚届不受理申出をすると相手に気づかれるか

離婚届不受理申出をした場合、相手はこれに気づくのでしょうか。
離婚届不受理申出がされても、配偶者にこれが通知されるなどの規定はなく、相手は気づきません。
ただし、離婚届不受理申出をした後に、相手が実際に離婚届を提出すると受理されませんので、提出が原因で気づくことになるでしょう。

離婚届不受理申出は実際に離婚をする際に不利になるか

もし、離婚調停・離婚裁判になった場合に離婚届不受理申出をしたことは不利に働くのでしょうか。
調停離婚や裁判離婚のように法的手続きで離婚をする場合には離婚原因があることが必要ですが、離婚届け不受理申出をしたことは離婚原因があると主張するために何ら影響を及ぼすものではありません。
そのため、離婚をする際に不利にはなりません。

離婚届不受理申出は休日に提出することができるか

離婚届不受理申出は休日でも受付をしています。
ただ、この休日における受付は書面の預かりだけで、実際に処理をされるのは次の営業日になります。
なるべく平日に持っていくように心がけましょう。

離婚届不受理申出をしても間に合わなかった場合

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚届不受理申出が間に合わなければ離婚が成立してしまう
  • 協議離婚無効確認調停・協議離婚無効確認裁判を起こす

離婚届不受理申出をする前に夫が離婚届を実際に出してしまった場合にはどうなりますか?

一旦離婚が成立してしまうので、その離婚について協議離婚無効確認調停・協議離婚無効確認裁判を起こします。

離婚届不受理申出をする前に配偶者が離婚届を出してしまうと、一旦離婚は有効に成立してしまいます。
そのため、その離婚は無効であるという争い方をすることになります。
その方法が協議離婚無効確認調停・協議離婚無効確認訴訟です。

協議離婚無効確認調停

協議離婚無効確認調停とは、協議離婚の無効の確認を求める旨の調停のことをいいます。
法的な争いがある場合には裁判によるのですが、夫婦関係のような家庭の問題については、関係が継続することもあるので、まずは当事者の主張を聞きながら妥協点をみつけるために、調停が行われることになっています(調停前置)。

調停とは、裁判官1名と調停委員2名の3名が、当事者の意見を聞きながら調停案を作成するので、これに合意する形で紛争を解決する方法です。
合意できない場合には訴訟に移行することになります。

協議離婚無効確認訴訟

協議離婚無効確認訴訟に合意せず不調に終わると、協議離婚無効確認訴訟を起こします。
裁判という形で判断が示され、それには当事者が従うことになるので、争いは必ず終結することになります。
協議離婚の無効を確認する旨の裁判がされると、これにもとづいて戸籍を修正し、協議離婚前の状態に戻ります。

まとめ

このページでは、離婚届不受理申出についてお伝えしました。
離婚届を勝手に提出されそうな場合に、これを受理しないでもらうようにする制度で、勝手に離婚が成立するのを防止するものです。
不明点がある場合は、一度離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。