共同親権の概要や、離婚する場合の親権などのチェックポイントを解説いたします。
ざっくりポイント
  • 離婚した場合、日本では単独親権が原則である
  • 親権以外に検討すべき問題として、面会交流や養育費がある
  • 諸外国では共同親権を採用しているケースも少なくない

目次

【Cross Talk 】日本では共同親権はどうなっているの?

離婚を検討しているのですが、親権がどうなるか心配です。共同親権という概念があると聞きましたが、どのようなものでしょうか?

諸外国では共同親権が制度として採用されているケースもありますが、日本では共同真剣の制度を検討している段階です。

日本では共同親権はまだ検討の段階なんですね。親権以外にも知っておくべき問題があれば、教えてください!

共同親権とはどのようなものか、親権以外の問題点などを解説いたします。

未成熟の子どもがいる夫婦が離婚した場合、子どもの親権がどうなるかは重要です。
夫婦が離婚した場合、日本では単独親権が原則ですが、諸外国では共同親権を採用しているケースも少なくなく、日本で共同親権を採用すべきとする議論も進んでいます。

そこで今回は、共同親権がどのようなものか、親権以外の問題などを解説いたします。

共同親権とは

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚した場合、日本の民法では単独親権のみが適用される
  • 諸外国では共同親権が採用されている場合も少なくない

離婚した場合、日本では単独親権でしょうか、共同親権でしょうか?

夫婦が離婚した場合、日本では単独親権のみが適用されます。ただし、諸外国では共同親権を採用しているケースも少なくありません。

共同親権とは?

共同親権とは、特に両親が離婚した場合において、父親と母親の両方が子どもの親権を有する制度のことです。

親権とは、未成熟の子どもについての以下のような権利のことです。親権を有する者のことを親権者といいます。

・子どもを養育し教育する権利
・子どもの財産を管理する権利
・子どもの法律行為の代理権
・子どもがどこに住むかを指定する権利(居住指定権)
・監護・教育に必要な限度で懲戒する権利(懲戒権)
・子どもが労働することを許可する権利(職業許可権)

共同親権の場合、上記の権利を離婚後も父親と母親の両方が有します。
日本の法制度においては、両親が婚姻中は共同親権ですが、両親が離婚した場合は共同親権ではなくなるのが特徴です。
もし、離婚後も共同親権を採用するとなると、両親が離婚したあとも婚姻中と同様に、上記の権利を父親と母親の両方が有することになりますが、後述しているように日本では現在、検討段階になっています。

親権の原則はどうなっているか?

夫婦が離婚した場合、日本における親権の制度は単独親権のみです。
単独親権とは、父母の一方のみに子どもの親権を認め、もう一方には親権を認めない考え方のことです。

日本の民法においては、夫婦が離婚したあとの親権は単独親権のみが認められています。
例えば、夫婦が話し合って協議離婚をして親権者を母と定めた場合は、母には親権がありますが、父には親権がありません。

民法第819条は離婚した場合の親権について、以下のように規定しています。

・父母が協議上の離婚をするときは、協議において父母の一方を親権者と定めなければならない
・裁判上の離婚の場合は、裁判所は父母の一方を親権者と定める
・子どもの出生前に父母が離婚した場合、親権は原則として母が行う
・ただし、子どもの出生後は父母の協議で父を親権者と定めることができる
・子どもの利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は子どもの親族の請求によって、親権者を他の一方に変更できる

いずれの規定においても、父母の一方のみが親権者とされており、離婚後は単独親権が採用されていることが伺えます。

外国では認められている共同親権!改正に向けての作業中

諸外国においては、共同親権が認められている国は少なくなく、日本でも改正に向けての検討が行われています。

日本の民法における家族制度の多くは、女性が家事や育児をするという古くからの認識がそのまま採用されていることから、時代の変化に対応しきれていないという批判が少なくありません。
現代の日本の育児環境の特徴として、少子化問題・共働き世帯の増加・父親の育児参加などがありますが、日本も共同親権に移行すべきという議論も高まっています。

一方、諸外国においては共同親権を採用している国も少なくありません。
共同親権を原則とする国、父母の協議によって単独親権に移行できる国、父母それぞれが親権を単独で行使できる国など、日本が採用する単独親権以外にも、様々な制度が諸外国で運用されています。

日本が採用する単独親権のデメリットは、離婚すると父母のどちらかしか親権を得られないため、子どもの親権をめぐって親権争いになる可能性が高いことです。
また、親権争いを繰り返すことで夫婦の対立関係が悪化し、面会交流の拒絶や養育費の未払いなど、子どもの利益を侵害するような事態になりやすい点も指摘されています。

こうした中、諸外国の動きや単独親権のデメリットなどを背景に、日本においても法制審議会で共同親権についての議論が開始されるなど、共同親権の採用の是非をめぐる議論が活発になってきています。

離婚する場合の親権以外の問題

知っておきたい離婚のポイント
  • 面会交流は子どもの健やかな成長のために重要
  • 養育費は金額や期間などを明確にし、公正証書にするのがおすすめ

離婚する場合、親権以外に検討すべき問題はありますか?

親権以外に検討すべき問題として、面会交流や養育費がありますね。面会交流は子どもにとっても重要です。養育費については公正証書にすることをおすすめします。

面会交流

離婚する場合に検討すべき問題の一つに、面会交流があります。
面会交流とは、離婚によって子どもと離れて生活している親が、子どもと定期的に交流することです。
面会交流の主な方法は子どもと話をする・子どもと一緒に遊ぶ・電話や手紙などでやりとりするなどがあります。

例えば、両親が離婚して子どもが母親と生活し、離れて生活する父親が月に1回子どもと面会交流し、話をしたり遊びに行ったりするなどです。
子どもと離れて暮らす親にとっては、面会交流は子どもと交流する貴重な機会ですが、何よりも子どもにとっては、両親に見守られていると感じながら健やかに成長するために特に重要です。

離婚をする場合、子どもの利益を保護するという観点から、面会交流の時間・場所・方法などをきちんと話し合い、合意しておくことが大切になります。

養育費

養育費とは子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用であり、子どもの監護や養育に使われる金銭です。具体的には、衣食住の経費・教育費・医療費などが該当します。
離婚した夫婦に未成熟の子どもがいる場合、子どもと離れて暮らす親が、子どもと一緒に生活する親に対して養育費を支払うのが一般的です。

養育費については、以下の項目についてきちんと話し合って合意することが重要です。

・養育費の金額
・養育費の支払い期間
・養育費を支払う時期
・養育費の振込先

養育費について取り決めをする場合、公正証書を作成しておくと、相手が養育費を支払わなくなった場合に裁判などを経ずに強制執行できるようになります。

まとめ

このページでは、共同親権の概要や、離婚する場合の親権などのチェックポイントについて解説しました。
現行の日本の民法においては、未成熟の子どもがいる夫婦が離婚した場合、夫婦のどちらかが親権を得る単独親権が原則となっています。
諸外国においては、離婚後も夫婦の両方が親権を有する共同親権を採用するケースも少なくなく、日本でも共同親権を採用すべきという議論もあります。
離婚する場合、親権以外にも面会交流や養育費など、決めておくべきポイントは数多くあるので、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。