- 相手の浮気・暴力などが原因もしくは相手から一方的に婚約を破棄されたときは、慰謝料を請求できる可能性がある
- 慰謝料請求の期限は婚約が破棄されたとき、または婚約破棄を知ったときから3年以内
- 相手の支払い能力によって慰謝料の額が異なる
【Cross Talk 】婚約破棄されましたが慰謝料は請求できますか?
結婚を約束した人と連絡が取れなくなりました。親にも紹介していたのですが、慰謝料を請求できますか?
親と会っていたことで婚約が客観的事実として認められます。一方的な婚約破棄として慰謝料を請求できる可能性が高いでしょう。
婚約破棄では相手に暴力を振るわれた、浮気をされた、モラルハラスメントを受けたなどの事例で慰謝料を請求できます。
相手が行方不明になる、ある日突然音信普通になるなど一方的な婚約破棄も慰謝料の請求が可能です。
ただし、親・親族に婚約者として紹介していた、結納を交わしたなど、相手と婚約していたという客観的な証拠がない場合、慰謝料は請求できないまたは少額となる可能性が高いです。
本記事では婚約破棄で慰謝料を請求できる事例・できない事例、注意点を解説していきます。
婚約破棄で慰謝料を請求できる事例・できない事例
- 暴力・モラハラなど、相手方の行為によって婚約破棄せざるを得なくなった場合は慰謝料請求ができる
- 時効を迎えているとき、相手に支払い能力がないと判断された事例などでは慰謝料請求ができない
先般婚約したのですが、相手方の不貞行為が発覚したので、婚約を破棄しました。慰謝料も請求したいのですが可能でしょうか。
不貞行為などが原因で婚約破棄をした場合は、慰謝料請求ができる可能性があります。ただ、実際に請求できるかどうか、また請求できるとして、金額がいくらくらいになるかは、各事案によります。
婚約破棄で慰謝料を請求できる事例とは
男女間の結婚の約束である婚約を、相手方の行為によって破棄せざるを得なくなった場合には民法709条「不法行為による損害賠償」として慰謝料を請求できます。
ただし、両親・親族などに婚約者として紹介した、両家で結納を交わした、結婚式場の予約をしたなど婚約が客観的な事実として認められないと慰謝料が請求できないまたは少額になる可能性があります。
婚約破棄の原因となる行為のうち、慰謝料請求の対象となりうるものとして、他の異性と肉体関係を持った(浮気)・暴力・モラハラ・重大な侮辱を受ける、相手が行方不明になるなどが該当します。
婚約破棄の理由として多いものに「性格の不一致」がありますが、状況によっては「一方的な婚約破棄」として慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料の金額はケースによって変わるので一概には言えませんが、相場は数十万円~200万円程度です。
過去に婚約者に対して暴力をふるい、新居となる不動産を購入・リフォームさせたにも関わらず一方的に婚約を破棄した事件 では慰謝料300万円の判決が下されましたので「被害の度合い」によって金額は異なります。
また、慰謝料請求が認められるとしても、相手の経済状況によって金額を調整されたり、せっかく認められた金額が払えないというケースもあります。特に交渉の段階では、「お金がないから払えない」と減額を求められるケースも多いでしょう。
精神的苦痛に対する慰謝料と他の損害に対して損害賠償が請求できる
婚約破棄に対する慰謝料は精神的苦痛だけが対象ではありません。他に婚約破棄に伴う損害がある場合には損害賠償を請求でき、慰謝料に上乗せされることもあります。
例えば妊娠・中絶をした、一方的な婚約破棄により心身が不調になった、結婚後に向けて仕事を辞めており再就職しなければならないなどの場合では慰謝料が高くなることが予想されます。
また上で述べた事件のように新居を購入した、結婚式場を予約した、結納を交わした、会社や友人に結婚の報告をしたなど結婚に向けて着実に準備をしていた場合には精神的苦痛が大きくなり慰謝料が高くなる可能性があります。
慰謝料請求には時効がある
慰謝料の請求は婚約が破棄された時、または婚約破棄を知った時から3年以内とされています。
かつ不法行為(婚約破棄によって権利または法律上保護される利益を侵害された)から20年以内ですので、請求する際には婚約破棄の日を確認しておきましょう。
時効を迎えている、相手が慰謝料を支
払えないと判断された場合では慰謝料請求は難しいでしょう。
婚約そのものの証明が難しい、暴力やモラハラなど婚約破棄の原因となった行為の証拠がない場合にも交渉が難航する場合が多いです。
婚約破棄における慰謝料請求で注意すべきこととは?
- 婚約が口約束や曖昧な表現では婚約の証明が難しい
- 請求する際には証拠集め、相手の支払い能力の確認、弁護士への相談がポイント
慰謝料請求の調停を申し立てる予定です。注意すべきことはありますか?
婚約破棄の原因となった行為の証拠集め、相手の支払い能力の確認、弁護士への相談の3つです。
婚約が口約束でも請求できる?
婚約が口頭で約束され証拠がない状況で慰謝料を請求すると、相手に「結婚を約束していない」と反論されてしまう可能性があります。また、「いつか一緒に暮らしたい」「結婚出来たら良いよね」など曖昧な発言のみでは婚約そのものに対する立証が難しいと言えます。
最終的には裁判所の判断に委ねることになりますが、結納を交わした、親や親戚に紹介したなどの事実があり、それを示す客観的な証拠があると慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。
証拠を集めておく
慰謝料を請求する際には婚約破棄の原因となった行為の証拠を集めておきましょう。
例えば他の異性と関係を持った場合、ホテルに入る写真や関係を持ったことが分かるメッセージアプリの履歴などが証拠となる可能性があり、暴力を受けた際には医師の診断書や傷の写真、暴行中の録音データなどが証拠となります。
加えて、婚約をしていたことを証明できる第三者の証言、結婚式場への予約の履歴、新居購入の契約書なども収集しておきましょう。
相手の支払い能力や財産を確認する
相手方の支払い能力によっては、金額の調整要素になったり、慰謝料がそもそも払えない場合もあり、その場合には慰謝料請求をしても意味がないという場合もあります。
また、裁判などで慰謝料請求が認められても、相手方が払わない場合もあります。そのような場合には、強制執行をする必要がありますが、強制執行をする際に相手がどのような財産を持っているかわかっていると手続きがスムーズです。
共通の知人から情報を集めるなどの方法で、相手の経済状況を確認しておきましょう。
弁護士に依頼する
慰謝料を請求する際はまず相手と話し合い、意見がまとまらない場合には慰謝料請求調停または訴訟となります。
婚約破棄という事情では相手と話し合う場面で感情的になってしまう方は少なくありません。中には「顔も見たくない」「暴力を受けたから怖い」と言う方もいらっしゃるでしょう。
弁護士という第三者を通して話し合うことで、相手と直に接することなく話し合いができ冷静な気持ちで交渉できる可能性が高くなります。
また、調停・訴訟に発展したときに弁護士が代理人として出頭する、法律的な観点から助言をもらう、裁判書類を作成して貰えるなどのメリットがあります。
まとめ
このページでは婚約破棄の慰謝料を請求できる事例・できない事例と注意点をお伝えしてきました。
まずは相手と話し合うことになりますが、連絡が取れず話し合いができない、相手に会いたくない場合には弁護士に相談し間に入ってもらうことで間接的な話し合いの場を設けることができます。
男女問題に詳しい弁護士に相談しながら、問題解決を目指しましょう。