児童扶養手当とはどのようなものか?いくらもらえるのか?
ざっくりポイント
  • 児童扶養手当とは
  • 児童扶養手当をもらうための要件
  • 児童扶養手当はいくらもらえるのか

目次

【Cross Talk 】児童扶養手当はいくらもらえるのでしょうか?

離婚をして子どもがいるシングルマザーです。元夫は仕事をしておらず、養育費の支払いを受けられません。そのため児童扶養手当を受けたいのですが、どの程度もらえるのでしょうか?

収入により、子どもが一人であれば月額43,070円を、奇数月に受け取ることができます。子どもが2人いる場合には2人目から10,170円が、3人目以降は1人につき6,100円がもらえます。

収入によるのですね。詳しく教えてもらえますか?

児童扶養手当てはいくらもらえる?

離婚して子どもを養育している場合に受け取ることができる手当てとして、児童扶養手当というものがあります。どのような人が児童扶養手当をもらうことができるのか、いくらもらうことができるのかを確認しましょう。また、児童扶養手当については、障害年金との関係の改正があったので、併せて確認しましょう。

児童扶養手当とは

知っておきたい離婚のポイント
  • 児童扶養手当とは
  • 児童手当との違いは

児童扶養手当とはどのようなものですか?児童手当とは違うのでしょうか。

児童扶養手当とはどのようなものかと、児童手当との違いを確認しましょう。

児童扶養手当とは、「父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため」に支払われる手当です(児童扶養手当法1条)。
児童扶養手当法という法律に基づく手当てで、離婚後に養育費が支払われないような場合等に支払われるものです。

児童扶養手当の支給対象は?

児童扶養手当の支給対象となる「児童」については、児童扶養手当法3条1項で、
「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」
をいうとされます。

言葉が回りくどいのですが、通常は高校を出るまで、と認識することが多いです。
なお、子どもに政令で指定されている障害がある場合には20歳まで手当を受け取ることができます。
そして、児童を監護している親が

・離婚した
・死別した
・生死不明である

場合などに、支払いがされます。

ただし、 

・再婚した相手に養育されているとき

などには受け取ることができません。
支給要件については、児童扶養手当法4条に詳しく規定されています。

児童手当との違いは?

子どもがいる場合に支払われる手当てには、児童手当があります。
児童手当は、中学を卒業するまでの子どもを養育している人に支払われるもので、母子家庭・父子家庭ではなくても支払われるものです。
子どもが中学生までであれば、児童手当と児童扶養手当を併せて受けていることもあります。

支給は奇数月に年6回行われる

児童手当の支給は、1月・3月・5月・7月・9月・11月の奇数月に2ヶ月分が支払われます(児童扶養手当法7条)

児童扶養手当を受け取るための手続き

児童扶養手当を受け取るための手続きは、最寄りの市区町村で行います。
福祉課・子育て支援課など、市区町村によって取り扱いをする部署が異なるので、市区町村の総合案内で児童扶養手当の担当部署を聞いてみましょう(新宿区の場合は子ども家庭部子ども家庭課育成支援係です)。

児童扶養手当の申込みは書面で行なうことになるので、「児童扶養手当認定請求書」を作成して、添付書類と一緒に提出します。
審査が終わると、次の支給日から支給が開始されます。
児童扶養手当を受け取るためには、通常は3~4ヶ月程度かかります。

児童扶養手当を受け取るために必要な書類

児童扶養手当を受け取るために必要な書類としては、

・請求者及び児童の戸籍謄本
・課税証明書
・マイナンバーカードなど個人番号が分かるもの
・身分証明書
・銀行の通帳・キャッシュカード等

以上の他に、子どもに障害がある場合には、児童扶養手当障害認定診断書など、その人の状況に応じて必要な書類があることもあるので、自治体の窓口で確認しましょう。

児童扶養手当現況届の提出

児童扶養手当をもらった後は1年に1回要件をきちんと満たしているかどうかを確認するために、毎年8月に「児童扶養手当現況届」の提出義務があります。

児童扶養手当はいくらもらえる?

知っておきたい離婚のポイント
  • 児童扶養手当の金額
  • 収入によって一部の支給となることがある

児童扶養手当はいくらもらえるのでしょうか?

児童扶養手当の金額について、収入によることも併せて確認しましょう。

児童扶養手当がいくら貰えるか確認しましょう。

児童扶養手当の金額

児童扶養手当の金額は、2023年4月現在次のようになっています。

金額
児童1人の場合 43,070円
児童2人目の加算額 10,170円
児童3人目以降の加算 6,100円

所得によって児童扶養手当の範囲が異なる

児童扶養手当は、父母に一定以上の所得があると、全部または一部の支給が停止されます。
まず、対象となる所得額については、

所得額=年間収入金額ー必要経費+養育費の8割ー諸控除

で求められます。

控除には次のようなものがあります。

障害者控除 270,000円
特別障害者控除 400,000円
勤労学生控除 270,000円
寡婦(夫)控除 270,000円
ひとり親控除 350,000円

そして、次のような所得税限があります

扶養親族等の人数 全部支給 一部支給
0人 490,000円未満 1,920,000円未満
1人 870,000円未満 2,300,000円未満
2人 1,250,000円未満 2,680,000円未満
3人 1,630,000円未満 3,060,000円未満
4人 2,010,000円未満 3,440,000円未満
5人目以降 1人ごとに38万円加算 1人ごとに38万円加算

目安として、児童1人の場合には、120万円程度の給与収入であれば、全部支給になることが多いです。
この計算は非常に複雑なので、市区町村の相談の際にきちんと確認してみましょう。

障害年金との併給規定が緩和された

知っておきたい離婚のポイント
  • 障害年金との併給をする場合の規定
  • 最近の改正で併給規定が緩和された

児童扶養手当について最近新しい改正があったと聞いたのですが……。

障害年金との併給規定が緩和されました。

障害年金の額が児童扶養手当を上回る場合、従来児童扶養手当の支給はありませんでした。
これは、同じ社会保障制度である児童扶養手当と障害年金を併せて支給することが不適切と考えられていたためです。

しかし、全額受け取りができなくなるのは適切ではないと考えられるようになり、令和3年3月分に支給される分からは、差額の支給を受けることができるようになりました。
障害基礎年金を受け取っている場合には、従来の情報が古い可能性があるので注意しましょう。

まとめ

このページでは、児童扶養手当について、いくらもらえるのかを中心にお伝えしてきました。
子どもの養育に必要な児童扶養手当は、収入によって受け取ることができる額が異なるのですが、その計算は複雑です。
受け取りを希望する場合には、早めに市区町村の窓口に相談しましょう。