- 配偶者の同意を得られれば協議離婚はできる
- 不貞行為があると有責配偶者となり、離婚が認められない可能性が高い。慰謝料請求の対象にもなる
- 別居中は婚姻費用の請求が可能。子どもありの場合、養育費の請求もできる
【Cross Talk 】既婚者ですが、好きな人ができました。離婚できますか?
既婚者ですが、同じ会社に好きな人ができたので離婚したいです。離婚できますか?
夫婦が合意すれば離婚は可能ですが、後悔しないために慎重に検討していきましょう。なお、相手と不貞行為があり配偶者が立証できる状況であれば有責配偶者とみなされます。その場合、自身からの離婚請求は原則できません。
詳しく教えてください!
既婚者であっても好きな人ができるのは自然なことですが、既に体の関係を持っている場合は「不貞行為」とみなされます。立証できる状況であれば、自身から離婚請求が認められず、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
今回は好きな人ができたという理由での離婚について、後悔しないための判断のポイント、慰謝料や婚姻費用・養育費の請求についても解説していきます。
「既婚者だけど好きな人ができた。離婚したい」「配偶者から、好きな人ができたから離婚したいと言われた。慰謝料や養育費を請求したい」という方はぜひご覧ください。
夫婦が合意すれば離婚はできるが、不貞行為があり配偶者に拒否されると離婚は困難に
- 配偶者の同意が得られると協議離婚はできるが、のちのち後悔しない判断を
- 不貞行為があると有責配偶者となり、離婚が認められない可能性が高い
有責配偶者とは何ですか?
離婚の原因を作り、夫婦の信頼関係を破綻させた責任がある配偶者を有責配偶者と呼びます。確かに既婚者でも好きな人ができることはありますが、不貞行為があると夫婦の信頼関係を壊し有責配偶者とみなされてしまいます。
配偶者の同意を得られれば、協議離婚はできる
離婚届を提出する「協議離婚」は、夫婦が合意していれば可能です。
よって「好きな人ができた」という理由で離婚したいもしくは離婚を切り出された場合、双方が合意することで協議離婚ができます。
しかし一方が離婚を拒否していると、調停・訴訟などに発展する可能性があります。
既に相手と肉体関係を持っている場合には不貞行為とみなされてしまいます。
不貞行為をした者は「有責配偶者」として、慰謝料を請求される可能性があり、基本的に自分から離婚を請求することができません。
不貞行為があると有責配偶者となり、離婚が認められない可能性が高い
婚姻中に自分の意思で配偶者以外の者と肉体関係をもつと、不貞行為とみなされます。
不貞行為をした者は有責配偶者となり、基本的に自身からの離婚請求が認められなくなってしまいます。
なお不貞行為の証拠としては、2人でホテルに入る写真や動画、肉体関係があることをほのめかすメールなどのやり取り、ホテルの領収書などがあります。
離婚を切り出す前に、後悔しないための判断を
配偶者に好きな人ができたことや離婚を切り出す前に、離婚後のことを考えて後悔しないための判断をしましょう。
特に以下のいずれかに当てはまる場合は、慎重に判断しましょう。
- 未成年の子どもがいる
- 配偶者との関係が良好で、義実家とも仲が良い
- 離婚後の経済面に不安がある
- 「好きな人」と思い込んでいるだけかもしれない
- 配偶者に未練や罪悪感が残る可能性がある
- 子どもに悪影響を与えるおそれがある
- 相手が同じ会社なので、今後会社での立場が危うくなる可能性があるなど
一方で、夫婦関係が既に破綻している場合、離婚は不自然ではないといえるでしょう。
相手を本当に好きで「たとえ世間から白い目で見られようと2人で乗り越えたい」という覚悟がある方は、離婚を真剣に考え離婚後の経済面などについて検討しましょう。
子どもがいる場合は、親権をどちらが持つか、養育費・面会交流などについて話し合って取り決める必要があります。
好きな人ができたという理由の場合、慰謝料請求はできる?
- 不貞行為を立証できる場合は慰謝料請求が可能
- 別居中は婚姻費用が請求でき、子どもがいる場合は離婚後に養育費を請求できる
配偶者に「好きな人ができたから離婚してほしい」と言われました。実は不倫していることは知っており、証拠の写真や動画もあります。慰謝料は請求できますか?
不貞行為を立証できる場合は慰謝料請求が可能です。相場は50~300万円といわれていますが、状況により異なります。
不貞行為があり、証明できる場合は慰謝料請求ができる
好きな人ができたという理由で離婚を切り出され、配偶者に不貞行為があった際は慰謝料の請求が可能です。不貞行為の慰謝料の相場は50~300万円といわれていますが、婚姻期間や子どもの有無、不貞行為の期間や頻度などによって金額が前後します。
ただし、本人が認めたもしくは証拠がないと訴訟で認められる可能性は低くなってしまいますので、不貞行為で慰謝料請求をする予定の方は、証拠を集めておきましょう。
なお、長期間別居しているなど既に婚姻関係が破綻している場合では慰謝料請求が困難です。
好きな人ができて不貞行為をしてしまった方は、相手と連絡を取るのを止め、まず離婚について考えてみましょう。
別居中は婚姻費用の請求ができる。子どもありの場合、養育費の請求も
たとえ別居していても、夫婦には婚姻費用の分担義務があります。
一般的には、夫婦の内収入が多い方は少ない(またはない)方に婚姻費用を支払います。
また、離婚後子どもを引き取った親は、離れて暮らす親に養育費を請求できます。
金額は養育費・婚姻費用算定表を目安にしましょう。
養育費・婚姻費用算定表
算定表はあくまで目安の金額であり、双方が合意していれば異なる金額でも構いません。
子どもがいる場合では、子どもへの影響を考慮しましょう。親権・養育費、離婚後の面会交流なども話し合いで決定します。
離婚調停中に好きな人ができた場合はどうすれば良い?
離婚調停中は、まだ離婚が成立していない段階です。好きな人ができるだけであれば問題はありませんが「不貞行為があったか否か」がポイントとなります。
不貞行為があることが配偶者、調停委員などに知られると調停に悪影響を及ぼす可能性があります。
不貞行為をした者は「有責配偶者」となりますので、離婚請求が認められにくくなり、配偶者から慰謝料を請求されるおそれがあります。
自身が不利な状況に陥る可能性が高くなってしまいますので、離婚調停中であっても好きな人と外で会うなどの行為は避けましょう。
まとめ
「好きな人ができたから離婚したい」「配偶者に離婚を切り出された」という方は、まず弁護士に相談してみるという方法があります。
離婚問題の実績がある弁護士に相談することで、法律の観点からの対処法やアドバイスを聞くことができます。弁護士には守秘義務がありますので、周りに知られてしまうことはありません。
離婚について、今後の生活や経済面について弁護士と一緒に検討してみてはいかがでしょうか。