- 離婚には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つの方法がある
- 夫をATM扱いする妻と離婚したい場合は、まず協議離婚を目指す
- 場合によっては慰謝料を請求できることも
【Cross Talk 】妻にATM扱いされています。離婚できますか?
妻の態度が冷たく「お金さえ持ってくれば良い」と言われたことがあります。自分はATM扱いされていると感じ、悔しいです。離婚できますか?
離婚には協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つの方法があります。まずは協議離婚を目指しましょう。モラハラや精神的DVに該当する場合、慰謝料の請求も可能です。
詳しく教えてください。
結婚生活で妻から愛情を感じられず「ATM扱いされる」と離婚を希望する男性もいらっしゃるのではないでしょうか。離婚には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つの方法があります。
配偶者が不貞行為をしたなど5つの「法定離婚事由」があると裁判で離婚が認められます。夫をATM扱いすることは、名誉を傷つける行為で精神的DVやモラルハラスメントに該当する可能性があります。
ただし、「ATM扱い」の証拠がない場合は、訴訟が難しい傾向にあります。時間とお金もかかりますので、まずは協議離婚を目指す事例が多いです。今回は、夫とATM扱いをする妻と離婚する方法や離婚までの準備をお伝えしていきます。
「ATM扱い」は離婚理由になる?離婚方法は協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類
- 誤解の可能性もあるため、まずは2人で話し合うことが重要
- 精神的DV・モラルハラスメントに該当する可能性がある
妻が冷たいです。私は収入が多い方で、妻は専業主婦なのでATM扱いされている気がします・・・。
体調が悪いなど他に理由があるかもしれません。1人で抱えこまずに、まずは2人で話し合ってみてはいかがでしょうか。
協議離婚・調停離婚・裁判離婚の違いとは
離婚には「協議離婚・調停離婚・裁判離婚
」の3種類があります。
双方が合意し離婚届を出す。財産分与・子どもの親権・養育費なども2人で話し合って、取り決める。
(2)調停離婚
家庭裁判所で調停員を通して話し合い、合意が成立した際には離婚できる。相手が調停に欠席する、離婚を拒否すると不成立になることもある。
(3)裁判離婚
夫婦の一方がもう一方を訴える。相手の同意がなくても離婚を認める判決が出れば離婚できる。
申立をしていれば、判決によって離婚の可否だけでなく、慰謝料や財産分与などの内容が決まる。
協議離婚・調停離婚は、双方が同意すれば離婚は可能です。
裁判離婚では、不貞行為があるなど離婚をするための理由が必要となります。
「ATM扱い」されて離婚したい場合は協議離婚を目指す
「妻が夫(自分)をATMとして扱ってくる」という理由で離婚を希望する方は、まず協議離婚を目指しましょう。協議離婚は双方が合意し離婚届を出せば成立しますので、調停や裁判のように手続きを行ってから裁判所に赴き調停・裁判をする必要がありません。
まずは2人で話し合うことが重要です。
ただし、普段から配偶者の愛情を感じられず「お金のために一緒にいるのでは?」と疑念を抱いていると思ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
「話し合おうとすると感情的になってしまう」「どうやって離婚を伝えれば良いのか分からない」「ATM扱いを相手が否定し、離婚を受け入れてくれない」という場合では、弁護士に間に入ってもらい代わりに交渉してもらうことを検討しましょう。
第三者が間に入ることで冷静に相手の言葉を受け止められるようになり「スムーズに離婚を進められるようになった」「実は誤解があった」と事態が進展する場合もあります。
裁判では「法定離婚事由」が必要になる
裁判を起こし離婚という判決が出ると、相手の同意がなくても離婚が可能です。
しかし民法※1では以下の5つの場合のみ、離婚が認められます
1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
「悪意の遺棄」は、故意に夫婦の義務「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法※1第752条)」を怠ることです。
具体的には、正当な理由もなく家を出て置き去りにする・家にお金を入れないなどの行為を指します。
5の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」とは、一般に婚姻関係が破綻し、共同生活の回復の見込みがない場合を言います。
典型例としては、暴力や虐待、長期間の別居や浪費・借金・ギャンブル依存、などを指します。
暴力・虐待は殴る蹴るなど身体的なDV(家庭内暴力)だけではなく、暴言を吐く・侮辱的な発言をする精神的なDVや外で働かせないなど金銭的な事由を奪う経済的なDVがあります。
日頃から「外で働くしか能がないくせに」など侮辱的な発言をする、人格や尊厳を傷つける言動が繰り返しある場合は、精神的DVやモラルハラスメントに該当する可能性があります。
離婚前に準備しておくこと
- 財産分与の対象となる共有財産をリストアップしておく
- 慰謝料の請求、子どもの親権などについて検討しておく
妻と話し合った結果「実はお金のために一緒にいる」と言われてしまい、離婚することにしました。準備すべきことはありますか?
財産分与に向けて財産のリストアップをしておきましょう。子どもがいる場合は、親権・養育費・面会交流の取り決めも必要となります。
財産分与に向けて財産のリストアップをしておく
離婚時には、共有財産を分ける「財産分与」を行います。
財産分与の対象は婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産で、基本的には1/2で分与します。
ただし、離婚後の生活保障や慰謝料をプラスして多めに譲ることもあります。
結婚前の預貯金や相続・贈与で得た財産は対象外です。
不動産はどちらか一方の名義になっていても、実質的に夫婦が協力して得たものであれば財産分与の対象となります。
まずは共有財産のリストアップを行いましょう。
子どもがいる場合は、離婚後の子どもの親権・養育費・面会交流についても話し合いのうえ、取り決めます。
慰謝料を請求するか検討する
妻に精神的DVやモラルハラスメントと思われる言動がある場合には、慰謝料を請求するか否かを検討しましょう。
慰謝料は精神的苦痛に対して支払われるもので、離婚の慰謝料相場は50~300万円といわれています。
慰謝料請求では、相手(妻)に相応の資産力があることも要件の1つです。
財産分与で多めに財産をもらうという形で請求することもあります。
子どもがいる場合は親権・養育費・面会交流の取り決めが必要になる
子どもがいる場合は、親権・養育費・面会交流について話し合いのうえ取り決めを行います。
親権は母親が持つことが多いですが、近年は母子世帯・父子世帯数ともに増加傾向にあります。
※2
親権は子どもの利益や福祉を最優先としており、養育費は子どものために離れて暮らす親が支払う義務があります。子どもを第一に考え、話し合いを進めていきましょう。
有利に話し合いを進めたい方は弁護士にご相談を
離婚や慰謝料請求・親権などで有利に話し合いを進めたい方は、弁護士に相談することを検討してみましょう。
弁護士は法律の専門家であり紛争解決のプロでもあります。代理人として交渉することで、有利に話し合いを進められる可能性があります。
まとめ
直接的な発言がなく「妻にATM扱いされているのでは?」と感じる方は、まずは2人で話し合うことをおすすめします。話し合ってみると「ATM扱い」は誤解だったという可能性もあります。
今までの言動などで「ATM扱いされているから離婚したい」という方は、弁護士への相談を検討してみましょう。紛争解決のプロかつ法律の専門家に相談に乗ってもらうことができます。