- 面会交流の第三者機関とは?
- 面会交流の第三者機関による支援の内容とは?
- 面会交流の第三者機関を利用するメリット・デメリットとは?
【Cross Talk 】面会交流の第三者機関とはどのようなものか?
面会交流を支援する第三者機関があると知りました。どのような機関なのでしょうか。
面会交流がスムーズに行われるように支援をしている、自治体または民間が運営する団体です。
面会交流の第三者機関について、教えてください。
面会交流の支援を行っている第三者機関があります。
この第三者機関には、自治体が運営するものと民間が運営するものの2種類に分けられます。受けられる支援の内容についてもいくつかの種類があります。
この記事では、面会交流の第三者機関の概要や、支援内容、第三者機関を利用するメリット・デメリットなどについて、解説していきます。
面会交流の第三者機関とは?
- 面会交流の第三者機関とは?
- 自治体が運営するものと民間が運営するものの2種類がある
面会交流の第三者機関とはどういうものなのでしょうか?
ここでは、面会交流の第三者機関の役割や種類について解説していきます。
面会交流のサポートをする機関
面会交流の第三者機関とは、様々な事情から当事者だけでは面会交流のスムーズな実施が難しい場合に支援団体として面会交流をサポートしてくれる組織のことです。
そもそも「面会交流」とは、子どもと離れて暮らす父母の一方(非監護親)が子どもと定期的・継続的に会ったり一緒に時間を過ごしたり、メールや電話などの方法で交流することを指します。
しかし、父母間の仲が悪かったり、感情的な対立が継続していたりする場合、父母間で直接、日程調整や子どもの受け渡しなどの面会交流に関するやり取りをすることが難しい可能性があります。そのような場合に、父母に代わって面会交流が適切に実施できるように支援・サポートしてくれる団体が面会交流の第三者機関です。
そして、面会交流の第三者機関としては、公的な組織のみならず民間の組織も存在しています。
次に、面会交流の第三者機関の種類について解説していきましょう。
第三者機関は2種類に分かれる
面会交流の第三者機関には、以下のように2種類に分けることができます。
- 自治体による支援機関
- 民間による支援機関
自治体による支援機関:
面会交流の第三者機関として自治体が運営していたり、自治体が主体として外部機関に業務委託していたりするものがあります。
例えば、東京都の場合、東京福祉局が親子交流支援事業を実施しており、外部委託によって面会交流支援を行っています。このような自治体による支援機関の援助を受けるためには、親の収入条件など一定の条件を満たしている必要があります。
しかし、自治体による支援機関の場合には、費用がかからず月1回で1年間利用できるところが多いでしょう。
民間による支援機関:
面会交流の第三者機関として、NPO法人や公益社団法人、一般社団法人などで運営されている民間の支援機関もあります。
特に、日本最大級の民間機関として、「公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)」があり、元家庭裁判所の調査官らによって設立されています。
民間による支援機関の場合には、通常支援ごとに費用が発生することになります。また、多数の申し込みがある場合には、希望の日時で調整することが難しい可能性もあるため、注意が必要です。
第三者機関の面会交流の支援内容
- 第三者機関の面会交流の支援内容とは?
- 付き添い型・受け渡し型・連絡調整型などがある
面会交流の第三者機関にお願いすると、どのような援助をしてもらえるのでしょうか。
ここでは、面会交流の第三者機関の具体的な支援内容を解説していきます。
付き添い型
「付き添い型」の支援の場合には、第三者機関の職員が面会交流に付き添ってくれることになります。
付き添い型の支援には、以下でご紹介する「受け渡し型」「連絡(日程)調整型」の支援が含まれている場合もあります。
付き添い型の支援を検討すべき場合として、非監護親が面会交流中に子どもに暴力を振るったり暴言を浴びせたりするリスクがある場合や、子どもを連れ去るリスクなどがある場合です。
受け渡し型
「受け渡し型」の支援とは、父母に代わって第三者機関の職員が、面会交流の受け渡し場所において、子どもの受け渡しをしてくれることです。「付き添い型」のように、2~3時間の面会交流に同席するのではなく、もっぱら受け渡しだけに関与することになります。
受け渡し型の支援を検討すべき場合として、父母の仲が非常に悪く、子どもの受け渡しのために顔を合わせることも難しいような場合や、DVやモラハラの被害を受けていた場合、子どもがある程度成長して付添人なしで非監護親と過ごすことができる場合などでしょう。
連絡(日程)調整型
「連絡(日程)調整型」の支援とは、父母に代わって面会交流の日程や場所を調整してくれることです。
連絡(日程)調整型を検討すべき場合としては、父母が直接連絡を取りたくない場合で、子どもが付添人なしで過ごすことができ、また非監護親が所定の場所まで来られる場合などです。
面会交流の第三者機関を利用するメリットとデメリット
- 面会交流の第三者機関を利用するメリットとは?
- 面会交流の第三者機関を利用するデメリットとは?
面会交流の第三者機関を利用すべきなのでしょうか?
面会交流の第三者機関を利用するメリットとデメリットを理解して判断することが重要でしょう。
面会交流の第三者機関を利用するメリット
面会交流の第三者機関を利用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 元配偶者と顔を合わさずに済む
- 元配偶者と直接連絡を取らずに済む
- 非監護親のルール違反を抑止できる
子どもがまだ幼い場合には、子どもの受け渡しをする際に、父母が顔を合わせる必要があります。受け渡し型の支援を受ける場合には、元配偶者と直接顔を合わさずとも面会交流を進めることができます。
また、連絡(日程)調整型の支援を受けることで、元配偶者と直接連絡を取ることも避けられます。
さらに、配偶者が子どもに危害を加えたり、親権者の悪口を吹き込んだりするおそれがある場合であっても、第三者機関の職員が同席することで抑止することができます。
以上これらは、父母間の仲が悪い場合や、DVやハラスメント被害を受けていた場合には、非常に大きなメリットとなるのでしょう。
面会交流の第三者機関を利用するデメリット
面会交流の第三者機関を利用するデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 利用すると費用がかかる
- 利用できる条件を満たす必要がある
- 子どもが抵抗感を示す可能性がある
自治体が主体となっている第三者機関の場合には、実費以外はかからないことが多いですが、民間の第三者機関を利用する場合には、基本的には費用がかかります。費用については支援の内容によって異なることになりますが、1万円~4万円程度はかかる可能性があります。
また、面会交流の第三者機関の支援は無条件に受けられるわけではありません。父母の同意やそれぞれの年収、子どもの年齢・数などの条件を満たす必要があります。
さらに、面会交流の際に、第三者機関の職員が同席している場合、子どもが緊張してしまう可能性があります。子どもが第三者の存在に抵抗感を示すような場合には、面会交流がスムーズに行えない可能性もあります。
面会交流の第三者機関に依頼する際の流れ
- 面会交流の第三者機関に依頼する際の流れとは?
面会交流を第三者機関に依頼する場合はどうすればいいのでしょうか?
ここでは、面会交流の第三者機関に依頼する際の流れを解説していきます。
面会交流の第三者機関を利用する際の流れとしては、以下のようになります。
- 面会交流の内容について父母で話し合いを行う
- 面会交流の第三者機関を利用することを父母間で合意する
- 合意書を作成する
- 面会交流の第三者機関を探し、支援を申し込む
- 第三者機関との間で契約を締結する
まずは、父母間で面会交流に関する詳細な条件を話し合って決める必要があり、その際に第三者機関を利用するかどうかについても、合意しておく必要があります。
面会交流やその他の離婚条件については、離婚協議書や合意書など書面の形で残しておくことが重要です。第三者機関を利用する場合には、その旨を書面に記載しておきましょう。
そして、具体的に利用したい第三者機関を探して申し込むことになります。インターネットで検索する場合には、「(ご自身の地域名) 面会交流支援」などのキーワードで検索してみてください。第三者機関に申込む場合には、必要書類や面談などが必要となる場合もあるため、事前に確認していきましょう。
最終的に、第三者機関と父母の三者間で契約を締結することで、具体的な面会交流の支援を受けられることになります。利用できる期間や支援内容については、契約の内容次第ですので、注意して確認してください。
まとめ
以上、面会交流の第三者機関には、自治体や民間が運営しているものがあります。面会交流の支援の内容についても、付き添い型・受け渡し型・日程調整型などがあります。
実際に面会交流の第三者機関を利用するかどうかは、メリットとデメリットを比較したうえで判断する必要があります。
配偶者と離婚をする場合、面会交流の内容などで揉めている場合には、一度弁護士に相談されることをおすすめします。離婚事件に強い弁護士に任せておけば、面会交流を含む離婚条件についても、後々トラブルにならないような内容で取り決めてもらうことが期待できます。