

- 親権者とは?
- 親権者は身上監護権と財産管理権を有している
- 親権者となるための手続きとは?
【Cross Talk 】親権者には誰がどのようにしてなるのでしょうか?
親権者には誰がなれるのでしょうか?
親権者は子どもに対する身上監護権と財産管理権を持つ者で、父母以外も親権者になれる場合があります。
親権者について詳しく教えてください。
子どもの親権は両親が結婚している間は、父母が共同して親権を行使します。しかし、父母が離婚した場合には、単独親権者を指定しなければなりません。
そこで、親権とはどのようは権利で、誰がなれるのでしょうか。祖父母も親権者になれるのでしょうか。
この記事では、親権者になれる者や権利の概要、親権者になるための手続きなどについて解説していきます。
親権者とは?

- 親権者とは?
- 親権者になることができる方とは?
権者には、誰がなれるのでしょうか。
ここでは、親権者の定義や親権者になれる方について解説していきます。
権者の意味とは?
「親権者」とは、未成年の子どもの利益のために行使する権利(親権)を有する者のことをいいます。
「権利を子どもの利益のために行使する」とは、子どもが不利益を被らないように教育や監護を行い、そのために必要な財産についても適切に管理・保管することを指します。
父親と母親が結婚している間には、父母双方が親権者であるとされており、父母が共同して親権を行使することになります。しかし、父母が離婚をする場合には、父母のうち一方を親権者と定めなければなりません。父母が離婚して以降は、親権者として定められた者が親権を行使することになります。
親権者になれる方とは?
後述の通り、親権者は財産管理権を行使する必要があるため、一定の「行為能力」がある者でなければなれません。そのため、一定の制限行為能力者は親権者になることができません。
未成年者が未婚の母になった場合、未成年者の子どもに対する親権は、その未成年者の親権者が代行することになります(民法第833条)。また、成年被後見人や被保佐人なども親権者になることができないと考えられています。
そして、親権者になれる方は、原則として子どもの父母です。
成年に達しない子どもは、父母の親権に服することになります。子どもが養子であるときは、養親の親権に服することになります(民法第818条参照)。
ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が親権を行うことになります(民法第818条3項但書)。この「親権を行うことができないとき」には法律上親権を行使できない場合と事実上親権を行使できない場合とがあります。
法律上の行使できない場合とは親権喪失の審判があった場合や、親権者が辞任した場合、親権者が成年後見の審判を受けた場合などです。事実上親権を行使できない場合とは、行方不明となっている場合や服役している場合、重病を患っている場合などです。
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定める必要がありますが、裁判上の離婚の場合には、裁判所が父母の一方を親権者と定めることになります。
子どもの出生前に父母が離婚した場合には、原則として母親が親権者となりますが、子どもの出生後に父母の協議で父を親権者と定めることもできます。
祖父母でもあっても親権者になれるか?
それでは、子どもの祖父母は親権者になることができるのでしょうか。
親権者となることができるのは父母であるため、原則として祖父母は孫の親権者になることはできません。
しかし、「子どもが養子であるときは、養親の親権に服する」ことになるため(民法第818条2項)、祖父母が孫と養子縁組すれば親権者となることができます。
また、未婚の未成年者が子どもを産んだ場合は、祖父母が親権を代行できます。未成年者が生んだ子どもの母親は未成年者ですから、母親に代わって祖父母が親権を代行することができます。
さらに、子どもの両親がともに死亡した場合、祖父母が家庭裁判所から「未成年後見人」に指定されれば、親権者ではないものの、親権とほぼ同様の権利行使をすることが可能です。
一方、親が親権者として存在している場合に、祖父母が未成年後見人になるには、親の親権を喪失させる必要があるため、親権喪失の申立てを行う必要があります。
親権者が持つ権利とは?

- 親権者の権利は、身上監護権と財産管理権に分けられる
親権者が子どもに持つ権利はどのようなものでしょうか。
親権者は身上監護権と財産管理権を有しているため、その内容をお伝えします。
身上監護権
まず、親権者は子どもに対して「身上監護権」を有しています。
身上監護権とは、子どもに衣食住を与えて養育監護し、適切な教育を受けさせることによって、社会的に自立できるようにする親の権利・義務のことです。
このような身上監護権は、次の4つの権利に分けることができます。
- 身分法上の行為の代理権
- 監護・教育権(民法第820条)
- 居住指定権(民法第822条)
- 職業許可権(民法第823条)
まず、親権者は子どもの身分法上の行為を代理する権利を有しています。
また、親権を行う者は、子どもの利益のために子どもの監護及び教育をする権利を有し、義務を負います(民法第820条)。
親権者が監護及び教育をするに当たっては、子どもの人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をすることは禁止されています(同法第821条)。
そして、子どもは親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければなりません(民法第822条)。さらに、子どもは親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができません(民法第823条)。
財産管理権
「財産管理権」とは、親権者が子どもの財産を権利する権利・義務のことです。
民法には、「親権を行う者は、子どもの財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子どもを代表する。ただし、その子どもの行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。」と規定されています(民法第824条)。
未成年者は単独で契約することができないため、子どもに代わって財産に関する法律行為をしたり、同意を与えたりすることができます。具体的には、子ども名義で預貯金を管理したり、子どもが賃貸マンションを借りる契約に同意したりする行為を行うことができます。
親権者となるための手続きとは?

- 親権者となるための手続きとは?
- 話し合いで決まらない場合には、調停・審判手続きを利用する
離婚する際に親権者になるための手続きについて教えてください。
離婚する際に親権者になるための手続きについて教えてください。
離婚する際に親権者を指定するためには、まずは夫婦間で話し合いを行う必要があります。
未成年の子どもがいる場合には、親権者を決めなければ離婚をすることができません。親権者について決める場合には、子どもの健やかな成長にとっていずれがふさわしいかという視点を持つことが重要です。
もし、夫婦間の協議で決まらない場合には、親権者の指定を求める調停を家庭裁判所に申立てることになります。調停手続きでは、家庭裁判所の「調停委員会」が夫婦の間に入って話し合いを進めていくことになります。裁判官が家庭裁判所調査官に命じて、関係者との面談や家庭、学校訪問などを行い調査する場合もあります。
調停が不調となった場合には、家庭裁判所の裁判官が親権者を定める審判を行います。ただし、審判による決定には必ず従わなければならないものではなく、不服申立てをすることもできます。
調停・審判によっても親権争いが解決しない場合には、当事者のどちらかが離婚訴訟を提起して離婚の成立や条件について争うこともあります。
裁判所は多くの場合、家庭裁判所調査官に命じて、監護状況などの調査を行い、これらの基準によりどちらが親権者としてふさわしいかを判断していくこととなります。
まとめ
以上、子どもの親権者となることができるのは原則として父母ですが、孫と養子縁組を行った場合や、未成年後見人に選任された場合には、祖父母が子どもの監護権を持つことができます。
親権争いで揉めそうだという場合には、お早めに弁護士に相談したうえで対応を依頼することをおすすめ致します。当事務所には、親権トラブルの解決実績が豊富な弁護士が在籍しておりますので、お悩みの場合はお気軽にご相談ください。