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- 結納金とはどのようなお金なのか?
- 離婚する場合でも原則として結納金を返還する義務はない
- 結納金は原則として財産分与の対象ではない
【Cross Talk 】離婚する場合には結納金を返す必要がある?
結婚する前に相手の親から結納金を受け取りました。離婚する際返さなければならないのでしょうか。
基本的には離婚する場合に結納金を返還する必要はありません。
離婚と結納金について詳しく教えてください。
結婚する前に相手方の家から結納金が差し入れられることがあります。
結納金とは法的にどのようなお金なのでしょうか、また夫婦が離婚してしまうと受け取った結納金も返還しなければならないのでしょうか。
このページでは、夫婦が離婚した場合に結納金を返還する必要があるのか、返還しなければならないのはどのような場合なのか、さらに結納金が財産分与の対象となるのか否かについてお伝えしていきます。
結納金とは?
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- 結納金とは
- 結納金の法的性質とは
結納金とはどのようなお金のことでしょうか?
結納金の定義・目的やその法的性質について解説しましょう。
結納金とはどのようなお金?
まず「結納金(ゆいのうきん)」とは、どのようなお金なのでしょうか。
一般的に結納金とは、結納の際に男性側から女性側に贈られる結婚の準備金のことを指します。
結納とは、日本独自の婚礼の慣習で、男女が結んだ結婚の約束を、その両家の家族を交えた場で公けにする儀式のことです。
男性やその家族から贈られる結納品や結納金には、女性やその家族への感謝や誠意を示す意味があります。
このような結納の儀式は明治時代に一般家庭に普及したと考えられており、当時は恋愛結婚ではなくお見合い結婚が多かったことから、新郎と新婦の両家の親をつなぐ仲人(なこうど)という人がまとめ役となって、両家を行き来して結納の儀式を行っていました。
時代の変化や住宅事情などによって、現在も結納の儀式を執り行う家庭はありますが、省略された形であったり、そもそも結納は行わないと取り決めをしたりする場合も増えてきました。
離婚したら結納金を返還する義務があるか?
それでは、離婚したら場合には、結納金を返還しなければならないのでしょうか。
結納金を法的にどのように考えるのかについてはいくつかの説があります。
まず、解除条件付贈与説という考え方があります。これは、結納を婚姻の不成立を解除条件とする贈与契約であるという考え方です。
次に、目的的贈与説です。これは、結納とは将来夫婦となり共同生活を営むことを最終目的とする贈与契約であるという考え方です。
このような考え方からは、婚約が解消され法律上婚姻が不成立となった場合には、原則として結納は目的不達成を理由に不当利得として返還しなければならない、という結論になります。
しかし、一度婚姻が成立したあとに夫婦が離婚する場合には、婚姻の成立という目的が達成されているため、贈与によって確定的に所有権が移転していることになります。
したがって、離婚したとしても有効に婚姻が成立している以上不当利得とはならず、結納金を返還する必要はありません。
結納金の返還が求められる場合とは?
結納金の返還請求が認められる場合としては以下のような場合があります。
まず、結納金を受け取った後に婚姻をしなかった場合です。
結納金を受領して以降、法的に婚姻をしなかったり、すぐに別居して夫婦としての実態がなかったりする場合には、不当利得として結納金の返還を求められる可能性があります。
離婚する際、結納金は財産分与の対象か?
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- 離婚する際に結納金は財産分与の対象となるか?
- 原則として結納金は財産分与の対象とはならない
離婚する際に結納金は財産分与の対象となりますか。
結納金は財産分与の対象とはなりません。もっとも結納金を基に何らかの財産を購入した場合には、財産分与の対象となる可能性もあります。
原則として結納金は財産分与の対象とはならない
結納金は、原則として財産分与の対象とはなりません。
財産分与とは、婚姻中に夫婦の協力によって得られた共有財産について、離婚の際に公平に分与するための手続きです。
このような財産分与制度の目的からは、分与対象となるのは夫婦が婚姻以降に協力して取得した「夫婦共有財産」です。夫婦のいずれかに属することが明らかでない財産については、夫婦の共有財産と推定されています。
他方で、夫婦の一方が婚姻前から有する財産や婚姻中自己の名で得た財産については、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として、財産分与の対象とはなりません。
前述のように結納金は、男女が婚約してから婚姻する以前に形成された財産です。
したがって、結納金については妻の特有財産となるため、財産分与の対象とはならないのです。
まとめ
以上この記事では、離婚する場合には原則として結納金を返還する義務がないことを解説してきました。
もし、離婚する際に配偶者や相手方の親と財産をめぐるトラブルとなった場合には、すぐに離婚問題の経験が豊富な弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士に依頼することで、今後の対応や相手方との連絡などについて一任しておくことができるようになります。