

- 不倫の示談書とは?
- 不倫トラブルで示談書を作成するメリットとは?
- 不倫の示談書で記載すべき内容とは?
【Cross Talk 】
不倫トラブルの場合には、示談書を作成した方が良いというのはなぜですか?
示談書を作成することで慰謝料の確実な受け取りや、今後の紛争を防止できるメリットがあります。
不倫の示談書について詳しく教えてください。
不倫トラブルを適切に解決するためには、不倫当事者と示談書を作成しておくことが重要です。
示談書は誓約書とは意味合いが異なります。また、示談書を作成することで、慰謝料を確実に受領でき、今後同様の問題を起こさないように予防できる可能性が高まります。
この記事では、不倫トラブルにおいて示談書を作成するメリットと記載内容などについて解説していきます。
不倫の示談書とは

- 不倫トラブルにおける示談書とは?
- 示談書と誓約書との違いとは?
不倫の示談書とは、誓約書と同じようなものでしょうか。
示談書と誓約書の違いについてお伝えします。
不倫トラブルを解決するために、当事者同士で話し合って「示談書」を作成することがあります。
この「示談書」とは、紛争の両当事者が、裁判を提起せずに、話し合いを行って合意した内容を証明するために作成される書面のことをいいます。この合意書の表題としては示談書のほか、合意書、和解書、契約書などと記載されることがありますが、いずれも法的な効果は同様です。
署名、押印は両当事者が行います。
ただし、上記の「示談書」と「誓約書」は意味合いが異なる可能性があります。
「誓約書」というタイトルの文書である場合には、一方当事者である文書の作成者が一定の約束を守るということだけが記載されている可能性が高いでしょう。
例えば、不倫トラブルにおいては、相手方配偶者が不倫相手に対して「今後、一切の接触を行わない」、「慰謝料・解決金として金〇〇円を支払う」などと約束させたい場合に誓約書の作成を要求するということがあります。このように誓約書の場合には、作成者のみが一定の行為を約束(誓約)することが一般的です。
この場合、署名・押印は一方当事者しか行っていないことが通常です。
もし、一方当事者しか約束していない「誓約書」である場合には、両当事者で合意していないため、相手方に履行を求めることができない可能性があるので注意しましょう。
例えば、慰謝料として100万円欲しいと思っているのに、30万円払うという誓約書しか作られていない場合には、70万円分については何も約束されてもいないし、合意もしていないので受け取ることができなくなってしまいます。
これに対して、示談書の場合には、当事者双方が合意した内容、守るべき約束が記載されることになります。
不倫トラブルで示談書を作成させるメリット

- 不倫トラブルで示談書を作成しておくメリットとは?
なぜ不倫トラブルでは示談書の作成が重要なのでしょうか。
ここでは、不倫トラブルにおいて示談書を作成するメリットについて解説していきます。
慰謝料を確実に支払わせることができる
不貞行為を理由として、不貞当事者に対しては慰謝料を請求することができます。不倫相手のみならず、自身の配偶者に対しても慰謝料を請求することができます。
なぜなら、不貞行為は、配偶者の貞操権・人格権を侵害する不法行為にあたるからです。不法行為を行ったものはそれによって生じた損害を賠償する責任を負います(民法第709条)。したがって、不倫当事者には、不貞行為によって配偶者が受けた精神的な苦痛を補償するために慰謝料を支払う義務があるのです。
慰謝料が高額になる場合には、分割支払いの合意がなされることがあります。もし支払いが遅れた場合には、示談書に基づいて強制執行ができるように公正証書の形で示談書を作成しておくことがおすすめです。
不倫の重要な証拠となる
示談書では、不倫の事実や当事者が不倫を認めていることを証明することができます。
示談書において、配偶者と不倫相手の間に不貞行為があったことを確認する条項を記載することが一般的です。
このような内容を記載しておくことで、合意された内容が守られなかったとして訴訟を提起する際に、不貞行為の事実を立証するための重要な証拠となります。仮に相手方が示談書に反して不貞行為の事実を否定したとしても示談書に記載して署名押印している以上、そのような反論は認められない可能性が高まります。
将来の不倫トラブルを防止できる
合意内容について示談書を作成しておけば、約束「した・していない」といった水掛け論を回避することができます。
また、「二度と配偶者と接触しないこと」や「示談書の合意に違反した場合の賠償額の予定」を記載しておけば、将来における不倫トラブルをあらかじめ回避することも可能になります。
不倫の示談書に記載すべき内容

- 不倫の示談書で記載すべき内容とは?
不倫トラブルの示談書には何を記載すればいいのでしょうか。
以下では、示談書に記載すべき内容・条項について解説します。
)不倫の事実
不倫の示談書には、不倫当事者が不倫関係にあったことを確認したり、相手の謝罪の意思を記載したりすることがあります。
例えば、「A(不倫相手)はB(あなた)に対して、〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までの間、Bの配偶者であるCと不貞関係にあったことを認めるとともに、これについて謝罪する」といった確認条項や謝罪文言を盛り込むことができます。
2)慰謝料の金額・支払い方法・支払い期限
示談書には、慰謝料に関して次のような内容を明記しておくことが重要です。
・慰謝料の金額
・慰謝料の支払い期日
・慰謝料の支払い回数・支払い方法
・支払いに係る手数料の負担 など
3)守秘義務・清算条項
不倫について、第三者に口外したり、SNSなどインターネット上に投稿したりしないことを誓約させる条項を入れることができます。
例えば、「Aは、Bに対し、本件に関し、口頭での伝達、インターネット上への書き込みその他いかなる手段によっても、本件に関する情報を第三者に口外しないことを誓約する」などと記載することができます。
また、示談書で合意された権利義務以外には当事者間に債権債務関係がないことを確認する清算条項が入れられることがあります。
具体的には、「AとBの間には、本件に関し、本示談書に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する」などと記載されます。
4)求償権の放棄
被害者は自分の配偶者ではなく不倫相手だけに慰謝料を請求することができます。しかし、不貞当事者は共同して慰謝料を賠償する責任を負っているため、不倫相手は自己の賠償範囲を超えて支払った部分については、不倫した配偶者に負担を請求することができます。これを求償権といいます。不倫した配偶者と離婚しない場合には、不倫相手が求償権を行使すると、慰謝料の一部を家計から回収されてしまう結果になります。
そこで、相手が支払った慰謝料の一部を配偶者に求償できないように、求償権の放棄を約束させる条項を入れるという方法があります。
まとめ
以上この記事では、不倫トラブルにおいて示談書を作成するメリットや、具体的に示談書に盛り込むべき内容などについて解説してきました。
不倫トラブルについてお困りの場合には、一度弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士に依頼して示談書を作成してもらえば、慰謝料を確実に受け取ることができ、将来の不倫トラブルについても未然に防止できる可能性が高まります。