

- 離婚調停は弁護士なしで進められる?
- 離婚訴訟は弁護士なしで進められる?
- 離婚裁判を弁護士なしで進めるメリットとデメリットとは?
【Cross Talk 】離婚裁判は弁護士に依頼せずとも自力で行うことができますか?
離婚裁判をする場合、弁護士に依頼せずに自力で行うことはできますか?
離婚裁判は弁護士なしで行うことができますが、デメリットもあるため慎重に判断する必要があります。
離婚裁判を弁護士なしで行う場合について、詳しく教えてください。
夫婦が離婚トラブルに直面している場合、話し合いでは解決しない可能性があります。夫婦間で離婚協議をまとめることができない場合には、離婚調停や離婚訴訟などの裁判手続に移行します。裁判手続については弁護士に依頼するイメージが一般的だと思いますが、逆に弁護士なしで進めることはできるのでしょうか?弁護士に依頼すると弁護士費用がかかるため、できるだけご自身で対応したいという感情も理解できます。
この記事では、離婚裁判を弁護士なしで進めることができるのか、離婚裁判を弁護士なしで行うことのメリットやデメリットについて、弁護士が解説していきます。
離婚裁判は弁護士なしでも進められる?

- 離婚裁判は弁護士なしで進められるのか?
- 弁護士なしで離婚調停と離婚訴訟をするとどうなる?
離婚裁判は弁護士なしで進めることができますか?
ここでは、離婚裁判の種類ごとに弁護士なしで進める場合について解説していきます。
離婚調停の場合
夫婦が離婚をするかどうかは、話し合いで決めることが基本です。しかし、夫婦間で話し合いがまとまらず、円満な解決が難しい場合には、家庭裁判所における離婚調停という手続きが有効な手段となります。
離婚調停とは、裁判官ではなく、調停委員と呼ばれる第三者が間に入り、夫婦双方の話し合いをサポートしながら、離婚の条件や子どもの親権など、離婚に伴う様々な問題について合意を目指す手続きです。調停委員は中立の立場で双方の意見を聞きながら仲介するため、当事者としては話し合いを円滑に進めて合意に達することが期待できます。
離婚訴訟を提起するためには、原則として離婚調停を経ていなければなりません。これを調停前置主義といいます。これは、離婚が夫婦双方だけでなく、子どもや周囲の人々にも大きな影響を与えるため、裁判所が強権的に判断を下す前に、話し合いによって解決を図る機会を保障することを目的としています。離婚調停を経ることで、訴訟に
比べて費用や時間が抑えられるというメリットもあります。
そして、離婚調停は弁護士なしで本人だけでも行うことができる手続きです。上記のとおり、離婚調停は調停委員を介して話し合いをする手続きであるため、厳格な訴訟とは性質が異なります。実際に、全体の4割程度は、双方に弁護士がついていない事件となっています。離婚調停を弁護士に依頼せず、ご自身で行う場合は、家庭裁判所への申立ても調停期日への出席も、全ての段階を自分で対応する必要があります。
管轄の家庭裁判所に離婚調停の申立てを行うためには、必要な書類を揃えて提出しなければなりません。
申立て後、通常1ヶ月~2ヶ月程度で第1回の調停期日が設定されます。この期日に、両当事者は家庭裁判所に出頭し、調停委員を交えて話し合いを行います。調停委員は、離婚の条件や子どもの親権などについて、双方の意見を聞きながら調整を進めます。その後も数回にわたって調停期日が設定され、当事者は、調停委員を介して、話し合いを続けていくことになります。
夫婦が調停内で提示された離婚条件に合意した場合、調停は成立となります。これに対して、夫婦が合意に至らなかった場合、調停は不成立となります。この場合、調停前置が満たされます。
申立てた方であれば調停を取り下げること可能ですが、調停で実質的な話し合いが行われたと判断された場合に限り、調停前置を満たすことになります。
離婚訴訟の場合
離婚調停が不成立になった場合に、離婚を成立させるためには、離婚訴訟を提起して裁判上の離婚を成立させる必要があります。離婚訴訟の場合には、離婚請求が認められるか否かを裁判所が判断することになります。そして、裁判所に離婚を請求できるのは、次のような法定離婚事由のうちいずれかに該当する場合のみです。
1.配偶者に不貞行為があったとき
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
3.配偶者の生死が3年以上不明なとき
4.配偶者が、強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
ただし、有責配偶者(①や②の行為に及んだ本人)は、原則として離婚請求はできません。
離婚訴訟を弁護士なしで行うことはできます。代理人弁護士を付けずに本人自身で離婚訴訟を行うことを本人訴訟といいます。原告の場合、裁判を始めるには、いずれの法定離婚事由に該当しているのかを示した訴状を裁判所に提出しなければなりません。被告の場合には、期限までに答弁書や準備書面を提出して、適切に反論していかなければなりません。
離婚訴訟は以下のような流れで進んでいきますが、本人訴訟の場合には、いずれの段階もご自身で適切に対応することが求められます。
離婚を希望する当事者は、夫または妻の住所地を管轄する家庭裁判所に訴状を提出します。当事者の表示や請求の趣旨、請求原因などを適切に記載していないと、裁判所から何度も訂正を求められる可能性があります。
原告から訴状が提出されると、第1回口頭弁論期日が指定され、裁判所から被告に答弁書の提出が求められます。
期日までに詳細な反論が難しい場合には、裁判で争うという意思があることだけを記載して提出します。
口頭弁論が公開の法廷で開かれ、争点を整理して、主張と立証が展開されます。
双方が主張と立証をし尽くすまで、必要に応じて口頭弁論期日や弁論準備期日が開かれます。期日は1ヶ月に1回のペースで開催され、原被告が交互に主張と立証を行うことが一般的です。
双方がある程度主張立証をし尽くした段階で、当事者への尋問(本人尋問)が行われる場合があります。本人尋問は当事者本人が相手方や裁判官からの質問に答える証拠調べ手続きです。本人が話した内容は供述証拠となります。
裁判所は、事実認定できる段階になり、和解の見込みがない場合には、判決により原告の離婚請求を認容するか棄却するかの判断を行います。裁判所の判断については、判決書に理由とともに詳しく記載されることになります。
離婚裁判を弁護士なしで行うメリットとデメリット

- 離婚裁判を弁護士なしで行うメリットとは?
- 離婚裁判を弁護士なしで行うデメリットとは?
離婚裁判を弁護士なしで行うべきなのでしょうか?
離婚裁判を弁護士なしで行うことには、メリットとデメリットがあるため、慎重に判断する必要があります
離婚裁判を弁護士なしで行うメリット
離婚裁判を弁護士に依頼せずに進める最大のメリットとは、弁護士費用がかからないという点です。
弁護士に依頼する場合には、次のような弁護士費用がかかってきます。
経済的な負担を少しでも抑えたいという場合には、弁護士に依頼せずに離婚裁判を進めることも一つの選択肢となります。弁護士なしで離婚裁判を行う場合には、裁判所に納める収入印紙代と郵便切手代、戸籍謄本の取得費用などの実費しかかかりません。およそ2万円~4万円程度で済むため、出費を節約できるという点ではメリットとなります。
離婚裁判を弁護士なしで行うデメリット
しかし、一方で、弁護士なしで離婚裁判を行うと、予想外に不利な条件で離婚が成立してしまうというリスクもあります。本来もらえるはずであった婚姻費用や養育費、財産分与・年金分割について、法的な知識が不十分であったために受け取れなくなるという可能性もあります。
また、主張書面の作成や、有効な証拠の提出、裁判所への出廷、相手方への反論などをご自身で適切に行わなければなりません。これらが適切に行われないと、希望する内容とは違う方法に手続きが進んでしまうというリスクもあります。
離婚裁判を弁護士に依頼すべき理由とは?

- 離婚裁判は弁護士に依頼すべきか?
- 離婚裁判を弁護士に依頼するメリットとは?
離婚裁判については、弁護士に依頼すべきなのでしょうか?
ここでは、弁護士に離婚裁判を依頼すべきいくつかの理由を解説していきます。
離婚裁判は、人生において大きな決断を伴う出来事であり、複雑な法律問題が絡み合うことが少なくありません。そのため、弁護士に依頼してサポートを受けることが有効な手段となります。
離婚裁判を弁護士に依頼することには、以下のようなメリットがあります。
離婚裁判は、訴状等の書面の作成や提出、期日への出廷など、様々な手続きが必要となります。
これらの手続は、法律の知識がなければ、非常に複雑で時間も労力もかかります。弁護士に依頼することで、これらの事務処理を全て任せることができます。
裁判では、自分の主張を明確かつ論理的に裁判所に伝える必要があります。
しかし、法律の知識がないと、適切な表現ができず、不利な判決に繋がる可能性があります。弁護士は、豊富な法律知識と経験に基づいて、当事者の主張を的確に裁判所に伝え、有利な判決を引き出すための戦略を立ててくれます。
離婚裁判は、孤独な戦いとなることがあります。
弁護士は、離婚に関する様々な問題について相談に乗り、当事者の気持ちを理解し、解決策を一緒に考えてくれます。
また、弁護士が裁判手続を代行することにより、当事者は他のことに専念することができます。
離婚には、財産分与、養育費、親権など、様々な問題が伴います。これらの問題を解決するためには、法律に関する深い知識が必要となります。
弁護士は、これらの知識を駆使して、ご自身の権利を守り、最適な解決策を見つけるためのサポートをしてくれます。
離婚裁判は、専門的な知識と経験が必要な複雑な手続きです。弁護士に依頼することで、以上のようなメリットが期待できます。
まとめ
離婚調停や離婚訴訟については、弁護士を代理人にせずともご本人だけで裁判手続を進めることができます。特に、弁護士費用を節約するために、弁護士なしで離婚裁判に対応しようとする人も少なくありません。しかし、離婚トラブルの場合には、財産分与・養育費・親権など、関連した問題も多いため、ご自身だけで対応していると、予想外に不利益な内容で離婚が成立してしまい、取り返しがつかなくなるというリスクも存在しています。
そのため、離婚トラブルで裁判手続になる場合には、一度弁護士に相談されることをおすすめします。後悔しない結果を得るためにも、離婚トラブルに詳しい弁護士にアドバイスをもらうようにしてください。当事務所には離婚問題に詳しい弁護士が在籍しておりますので、お気軽にお問い合わせください。