

- 協議離婚を成立させるためには証人が必要
- 離婚届の証人欄に記載すべき内容とは?
- 協議離婚の証人になることのデメリットとは?
【Cross Talk 】協議離婚をするためには2名の証人が必要
離婚をするためには、証人が必要となると聞いたのですが?
夫婦が話し合って離婚届を提出する場合には、証人2名の署名が必要となります。
協議離婚に必要となる証人について、詳しく教えてください。
夫婦が離婚をする場合には、離婚条件を話し合ったうえで、離婚届を市区町村役場に提出することになります。離婚する方法にはいくつか種類があり、夫婦が協議離婚をする場合には、「証人」が必要となります。それでは、この証人になれるのはどのような人なのでしょうか。また、証人が必要ない場合はあるのでしょうか。さらに、離婚の証人を引き受けることに何らかのデメリットはないのでしょうか。
この記事では、上記のような疑問点について、弁護士が解説していきます。
協議離婚をするためには、証人が必要?

- ポ協議離婚で必要となる証人とは?
- 離婚する場合に証人が不要な場合はある?
離婚をする場合には、証人が必要となるのでしょうか?
ここでは、証人が必要な場合や証人となることができる人などについて解説していきます。
協議離婚の届出には証人が必要
協議離婚は、夫婦間の話し合いで合意が成立すれば、裁判所を通さずに離婚が成立する制度です。しかし、その届出には一定の条件が求められます。その一つが、成年の証人2名以上の署名です。離婚の届出については、婚姻の規定が準用されるため、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面の届出が必要となります(民法第764条、739条2項)。
したがって、証人の署名がない場合には離婚届が受理されません。
証人を必要とする理由は、離婚が単なる書面上の手続きではなく、夫婦関係という身分に重大な変化をもたらす行為であることが関係しています。つまり、離婚に伴い扶養義務や相続権といった法律上の権利義務にも影響が及び、慎重に手続きを進めるため、当事者以外の第三者が関与する形で離婚届の署名を確認できるようにしているのです。
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離婚の証人になれる人とは?
証人は、成年であれば誰でもなれます。
成人年齢が引き下げられたことにより、令和4年4月1日以降は18歳以上が対象となります。証人の資格について特別な制限はなく、実際には夫婦いずれかの両親や友人、職場の同僚など、身近な方が選ばれることが一般的です。さらに、18歳以上であれば子どもが親の離婚届の証人になることも可能です。
また、証人は実際に存在する人物である必要があります。虚偽の記載や実在しない人物の名前を記入する行為は、文書偽造罪などの犯罪に該当する可能性があり、厳しく罰せられます。この点は、手続きを進める際に十分注意する必要があります。
一方で、全く面識のない他人が証人になることも法律上は問題ありません。ただし、依頼した証人が夫婦双方の離婚意思を確認したことを表明することになるため、信頼できる人物を選ぶことが大切です。
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証人が不要な場合とは?
協議離婚以外の方法で離婚する場合には、証人は不要です。具体的に離婚をする方法には、大きく以下の4つの種類があります。
1.協議離婚:夫婦間で話し合いによって離婚の合意が成立する場合です。この場合のみ証人が必要となります。
2.調停離婚:家庭裁判所を通じて話し合いを行い、調停が成立することで離婚が成立する方法です。この場合、調停委員が関与するため、証人を必要としません。
3.審判離婚:調停が成立しない場合に、家庭裁判所が審判を行い、離婚を認める方法です。これも証人を要しませんが、実際に行われることは非常に稀です。
4.裁判離婚:話し合いや調停では合意に至らず、裁判所の判決によって離婚が成立する場合です。この場合も証人は不要です。
調停・審判離婚や裁判離婚では、裁判所が法的手続きの妥当性を確認するため、第三者の署名や証人の存在が不要とされているのです。一方で、協議離婚は夫婦だけで話し合いを進めるため、第三者による確認が必須です。
離婚届の証人欄の書き方

- 離婚届に証人が記載すべき事項とは?
- 離婚届への押印は任意
協議離婚の証人はどのような内容を記載しなければならないのでしょうか?
ここでは、協議離婚の証人が離婚届に記載すべき事項について解説していきます。
証人が記入すべき事項
それでは、協議離婚の証人は離婚届にどのような内容を記入する必要があるのでしょうか。離婚届の証人欄には、以下の4つの事項を記入する必要があります。
【署名】
証人は自分の名前を署名する必要があります。
筆記用具は黒のインクペンまたはボールペンを使用してください。鉛筆や熱で消えるペンは不可となっています。
【生年月日】
証人の正確な生年月日を記入する必要があります。
【住所】
証人の現住所を住民票の記載通りに記入します。
両親や知人など、同じ住所の証人が複数いる場合でも問題ありません。
【本籍】
証人の本籍地を戸籍謄本の記載通りに記入します。
本籍の欄に「同上」と記入して提出した場合でも受理される場合はありますが、場合によっては書き直しを求められることもあるため、事前に本籍を省略しないで記入するよう依頼しておくことをおすすめします。
これらの事項を正確に記入することで、離婚届の受理がスムーズに進む可能性が高まります。
押印は任意
令和3年(2021年)9月1日以降、離婚届への押印は不要となりました。
これは証人欄についても同様で、印鑑の押印は任意となっています。ただし、押印欄は従来の書式通り残されているため、慣習として押印を行うことも可能です。
押印をする場合、認印であれば問題ありませんが、シャチハタなどのスタンプ印は使用できません。また、証人が同じ姓であっても、異なる印鑑を使用する必要があります。
押印が任意である一方で、証人を依頼する・された際には押印の要否や印鑑の種類についても事前に確認しておくと良いでしょう。
協議離婚の証人となるデメリット

- 協議離婚の証人となることのデメリットとは?
- 証人に法的なデメリットはない
離婚届の証人となることに何かデメリットはありますか?
ここでは、協議離婚の証人になることの法的・事実上のデメリットについて解説していきます。
協議離婚の証人となったとしても、法律上の義務や責任を負うものではありません。
そのため、離婚届の証人となることに伴う直接的な法的デメリットはありません。証人の役割は、単に夫婦が離婚の合意に至ったことを確認する第三者として署名をするものであり、「保証人」のように、借金の返済義務やその他の金銭的責任を負うことはないのです。
したがって、離婚届の証人となったことで経済的な負担が生じることや、法的なトラブルに巻き込まれるリスクは基本的にはありません。
一方で、協議離婚の証人となることにはいくつかの事実上のデメリットが考えられます。
まず、証人となる行為自体が夫婦間の問題に巻き込まれるきっかけとなる場合もあります。証人が双方の知人である場合、一方からの依頼で証人となることで、もう一方から不満や反感を買うこともあり得ます。
離婚の証人として名前を記載することで、自分が関係者であることが明らかになり、感情的な摩擦が原因で人間関係が悪化する可能性はゼロではありません。
また、離婚届には証人の氏名だけでなく、住所も記載されます。めったにありませんが、このような個人情報をきっかけに、対立する配偶者やその周囲の人々からの調査や嫌がらせに発展する可能性もわずかながら存在しています。
なお、上記のような事実上のデメリットは、非常に稀であるため、証人となることの明確なデメリットとは言いにくいでしょう。
まとめ
夫婦が協議離婚をする場合には、その離婚届に証人2名の署名が必要となります。証人は、成人している方であれば誰でもなることができます。証人は、証人それぞれの生年月日・住所・本籍を証人欄に記載する必要があります。なお、令和3年9月1日以降、押印の義務は廃止されており、署名のみで受理されるようになりました。証人となったとしても法的なデメリットはありませんが、事実上のトラブルに巻き込まれる可能性はあります。
離婚の問題でお悩みの場合には、離婚問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめ致します。当事務所には、離婚問題の解決実績のある弁護士が在籍しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。