別居しても離婚の話が進まない場合の対処法を解説いたします。
ざっくりポイント
  • 離婚の方法には協議離婚・調停離婚・離婚訴訟があり、離婚訴訟は同意が無くても離婚できる
  • 話し合いが進まないときには、弁護士に交渉してもらう、調停を申立てるなどの対処法がある
  • 別居中であっても婚姻費用の不払いや不貞行為は、不利になる可能性がある

目次

【Cross Talk 】別居中ですが、離婚の話が進みません。

別居中で、離婚に向けて話し合い中です。お互いに感情的になり,なかなか話し合いが進まないのですが、どうすれば良いのでしょうか?

すれ違いで話が進まないのであれば、弁護士等の専門家が間に入ったほうがよいかもしれませんね。弁護士は当事者ではないので冷静に話し合いが進みやすいかもしれません。

どうしたら良いか詳しく教えてください!

別居中で離婚の話が進まない方への対処法を解説いたします。

「離婚に向けて別居したけど話し合いが進まない」という場合は多いのではないでしょうか。
お互いの生活リズムが違う、相手が話し合いに応じないなどの理由で話し合いが進まず、離婚に至らない場合には弁護士に間に入ってもらう、調停や訴訟を申立てるといった方法があります。
また,離婚訴訟では相手の合意がなくても離婚をする旨の判決が得ることができれば,離婚が可能です。
今回は、離婚の話が進まない要因と調停・訴訟による離婚、別居しても離婚の話が進まないときの対処法などを解説していきます。

別居しても離婚の話が進まないときの対処法

知っておきたい離婚のポイント
  • 離婚の話し合いが進まない場合は、弁護士に間に入ってもらうという方法がある
  • 調停や訴訟を申立てることで離婚できる事例も

協議離婚を希望していますが、話し合いができない場合はどうすれば良いのでしょうか?

協議離婚を目指すのであれば、弁護士に代理人として交渉してもらいましょう。協議で話がまとまらない場合には、調停・訴訟を申立てる流れとなります。

相手方が話し合いに応じない場合はどうすれば良い?

相手方が話し合いに応じない場合は、弁護士に交渉を依頼するという方法があります。
「別居していて連絡がつかない」という場合でも、弁護士に依頼し配達記録郵便で「離婚協議申入れ書」を送付し相手に「離婚の協議をしたい」という意思を伝えられます。

弁護士に代理人として交渉してもらう

弁護士は依頼者の代理人として交渉が可能です。
協議離婚でも弁護士に間に入ってもらう事例はありますので、交渉の依頼を検討してみましょう。

調停を申立てる

離婚調停を申立てる方法です。調停は調停委員を通して解決に向けて話し合う場です。相手が離婚を拒否している、欠席するなどの場合では不成立に終わることもあります。
ただし、調停が不成立に終わり審判に移行し裁判官が「離婚」という決定を下すこともあります。

訴訟を起こす

法定離婚事由がある場合には訴訟を起こすことが可能です。
訴訟で離婚という判決が出た際には、相手が同意していなくても離婚ができます。

調停・訴訟で離婚できる事例が増えている

上述のとおり、離婚の方法には、交渉(協議離婚)、調停、訴訟の3パターンがあります。
厚生労働省の「2022年度 離婚に関する統計の概況」で、協議離婚と裁判離婚(調停離婚と訴訟離婚)の割合の推移を見ていきましょう。

※1厚生労働省 令和4年度 離婚に関する統計の概況「図表データのダウンロード」でダウンロード

「協議離婚」の割合は,2004年以降低下し 80%台となっています。
一方で、調停を経て離婚する調停離婚と訴訟による離婚を合わせた「離婚訴訟」の割合は近年増加しています。

離婚訴訟は,協議離婚よりも時間や手間がかかりますが、離婚訴訟により離婚の判決が出た場合は相手の合意が得られなくても離婚が可能です。

なお離婚訴訟で離婚が認められるためには、以下の法定離婚事由がある場合に限られます。

民法※2第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

3の「悪意で遺棄された」とは勝手に家を出て行き,生活費を渡さない場合など、配偶者が夫婦の「同居・協力・扶助の義務」を故意に怠る行為です。
5のその他婚姻を継続し難い重大な事由とは暴力や虐待(身体的なものだけではなく精神的・経済的なものも含む)、借金やギャンブル・浪費・長期間の別居などが挙げられます。
なお、法定離婚事由に該当するものが無く「性格が合わない」といった場合でも、調停を申立てることは可能です。

離婚に向けた別居中にしてはいけないこと

知っておきたい離婚のポイント
  • 別居中でも相手より収入が多い方は婚姻費用を負担する義務がある
  • 不貞行為・相手に嫌がらせをするなどは不利になる可能性があるので避ける

別居中ですが気になる人がいます。離婚に向けて協議中ですし、恋人を作っても良いですよね?

たとえ別居中であっても、婚姻期間中に誤解を招く行為があると離婚時に不利になる可能性があるので注意が必要。

わかりました。そのほかにも注意が必要な点があれば教えてください!

不貞行為・異性を家に泊めるなど誤解を招く行為

別居中でも,別居期間が短く婚姻関係が破綻していないよう場合,異性と関係を持つと不貞行為となってしまうおそれがあります。
そうすると,不貞行為によって慰謝料を請求される,有責配偶者からの離婚が認められづらくなる可能性が生じます。調停・訴訟でも不利になってしまう可能性が高まります。

婚姻費用を支払わないと、離婚時に不利になる可能性がある

別居中でも夫婦は扶養の義務があり、一般的に収入が高い人は低い人に婚姻費用を支払います。
婚姻費用とは、衣食住にかかる費用・医療費・交際費・子どもに関わる費用など結婚生活を続けるうえで必要な費用です。
婚姻費用の不払いは、「悪意の遺棄」とみなされ、離婚時に不利になってしまうおそれがありますので必ず支払うようにしましょう

まとめ

離婚の話し合いが進まない場合は、まず弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。
弁護士に代理を依頼し、相手の家に弁護士からの郵便物が来ることで「話し合いをしなくては」という気持ちになる可能性があります。
代わりに交渉してもらうことで、有利な話し合いができる事例もあります。多くの場合は、調停や訴訟に発展した際にも引き続き案件を受理してもらえますのでまずは検討してみましょう。