弁護士なしで慰謝料請求する方法、メリット・デメリットを解説いたします。
ざっくりポイント
  • 弁護士を立てずに慰謝料を請求するためには、任意の話し合い、調停、裁判という方法がある
  • 弁護士なしで慰謝料請求すると、弁護士費用がかからないが相手が弁護士を立てた時に不利になる可能性がある
  • 弁護士を立てずに慰謝料請求はできるが、有利に進めたい方は弁護士に相談を

目次

【Cross Talk 】弁護士を立てずに慰謝料請求できますか?

不倫した夫に慰謝料を請求して離婚したいです。弁護士を立てるとお金がかかりますよね。弁護士なしでも慰謝料請求はできるのでしょうか?

はい、弁護士を立てずに慰謝料を請求することは可能です。ただし、自身で交渉をしなくてはいけません。合意できた内容を書面化する必要もあります。

詳しく教えてください!

弁護士なしで慰謝料を請求する方法とメリット・デメリットを解説していきます。

「慰謝料請求したいけど、弁護士を立てるとお金がかかる」と気になる方は多いのではないでしょうか。
弁護士を立てずに慰謝料を請求することは可能ですが、自身で交渉をする必要があります。また、弁護士費用がかからないというメリットがある一方で、相手が弁護士を立ててきた時に不利になる恐れがあるといたデメリットがあります。今回は、弁護士なしで慰謝料請求をする方法、慰謝料の相場、メリット・デメリットを解説していきます。

弁護士なしで慰謝料を請求する方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 慰謝料請求には相手と任意の話し合いをする、調停や裁判を申立てるという方法がある
  • 不倫・DV・モラハラなどの慰謝料の相場は、50~300万円程度

調停や裁判は時間がかかるので、話し合いをしようと思います。知人がお金を払えば代理人になってくれるそうですが、依頼しても良いでしょうか?

弁護士法第72条で、弁護士資格の無い方が報酬を得る目的で訴訟や一般法律事件の代理をすることは禁じられています。

相手と任意で話し合う

配偶者など慰謝料を請求したい相手と任意に話し合います。
調停や裁判は手続が必要で解決までに時間がかかるというデメリットがあります。
任意の話し合いでは、双方が合意さえできれば良いためスピーディーな解決が期待できます。

ただし弁護士を立てない場合には、基本的には自身で直接相手と交渉する必要があります。
共通の友人や親などに代理を依頼する予定の方もいらっしゃるかもしれませんが、弁護士資格が無い人が、報酬を得る目的で法律事件の仲裁をすることは弁護士法違反の恐れがあります。

弁護士法※1第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

話し合いは、合意が出来ないと決着がつかない、相手と直接顔を合わせるため嫌な思いをする可能性があるというデメリットがあります。

調停・訴訟を申し立てる

調停・訴訟を申し立て、慰謝料請求を行う方法です。
相手の不貞行為やDVが原因で離婚することになった場合は離婚調停もしくは訴訟を申し立てます。
調停は解決に向けて話し合う場です。一方で、訴訟は証拠を提示する、証言を聞くなどの方法で裁判所が決定(判決)を下します。条件をすりあわせ和解という形で終結することもあります。
訴訟を起こすためには、以下5つの「法定離婚事由」が必要になります。

民法※2第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

3「悪意で遺棄された」とは、配偶者が困ると分かっていながら家にお金を入れない、勝手に家を出て行くなど夫婦の同居・協力・扶助の義務を怠ることです。
5「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、長期間の別居や暴力・虐待、過度な借金や浪費などを指します。
離婚裁判を含む民事訴訟の流れは以下の通りです。

民事訴訟の流れ

※3

不倫・DV・モラハラなど慰謝料の相場とは

不倫・DV・モラハラなどの慰謝料の相場は、50~300万円程度といわれています。

「不倫したうえに暴力を振るい、勝手に家を出て行った」など複数の不法行為や、被害者の精神的な苦痛が大きいと想定される場合では慰謝料の金額が高くなる傾向があります。
例えば不貞行為で慰謝料請求をする場合、婚姻期間が長い、未成熟の子どもがいる、不倫の期間が長く頻度が多い、慰謝料の支払う側の収入や資産が多いなどの要素があると金額が上がる事例が多いです。

慰謝料を請求する前に、まずは証拠を集めておくことをおすすめします。

弁護士なしで慰謝料を請求するメリット・デメリット

知っておきたい離婚のポイント
  • 弁護士なしでの慰謝料請求は、弁護士費用がかからないというメリットがある
  • 相手が弁護士を立てた時の対応が難しい、合意できても書面化で不備が生じるリスクがあるといったデメリットも

相手が弁護士に依頼したようで、慰謝料の減額を交渉されました。上手く交渉ができず・・・どうすれば良いのでしょうか?

弁護士に依頼することを検討してみましょう。弁護士は法律の専門
家ですので、1人で対応するのは難しい場合が多いです。

弁護士なしで慰謝料を請求するメリット

弁護士に依頼せず自身で慰謝料を請求することのメリットは、弁護士費用がかからないことです。
調停や訴訟に発展した際にも、コストは裁判所に支払う費用のみです。

相手が「大事にしたくないから要求に応じる」といった、交渉が不要なときに有効かもしれません。

弁護士なしで慰謝料を請求するデメリット

弁護士なしで慰謝料を請求することで、相手が弁護士を立ててきた時に対応が難しくなるというデメリットがあります。過去の判例などを元に、証拠の信ぴょう性や慰謝料の金額の妥当性などについて反論されるかもしれません。場合によっては自身の落ち度を指摘され、逆に慰謝料を請求されてしまう可能性もあります。
交渉が難航する恐れがありますので、相手が弁護士立てた場合には自身も弁護士に依頼することを検討しましょう。
また、弁護士なしでの慰謝料請求は、交渉が成立して合意ができても書面化が難しいというデメリットがあります。

合意内容を書面化する際には、取り決めたことを明確に記載し、約束を破った場合についても明記しておくことが重要です。
的確に書面化するためには、ある程度の法律の知識が必要となりますので「合意はできても書面化できず徒労に終わった」という結果になってしまうことが想定されます。

慰謝料請求を有利に進めたい方は弁護士に相談を

慰謝料請求を有利に進めたいという方は、法律の専門家である弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。費用はかかりますが、初回相談無料という弁護士事務所もあります。

まとめ

弁護士なしで慰謝料請求する方法、メリット・デメリットを解説しました。
できるだけ費用をおさえたい方は合意した内容を書面化する時だけ弁護士に依頼するという方法もあります。まずは無料相談を活用することをおすすめします。