

- エネ夫との意味・特徴とは?
- エネ夫による具体的な被害事例とは?
- エネ夫被害への対処法とは?
【Cross Talk 】エネ夫に対してはどのような対処法がありますか?
私の夫はエネ夫かもしれません。エネ夫に対してはどのように対処すればいいのでしょうか。
エネ夫による被害がひどい場合には、離婚や慰謝料を請求できる可能性もあります。
エネ夫の法的な問題について、詳しく教えてください。
「エネ夫」という言葉をご存知でしょうか。もともとはインターネット掲示板上の用語です。
夫が姑の肩ばかり持つ、夫が妻のことをバカにするなどの場合には、この「エネ夫」に該当するかもしれません。それでは、エネ夫の特徴とはどのようなもので、エネ夫に対してはどのように対処すべきなのでしょうか。
この記事では、このような疑問点について弁護士が解説していきます。
エネ夫とは?

- エネ夫の定義とは?
- エネ夫の特徴とは?
「エネ夫」とはどのような夫のことを指すのでしょうか?
「エネ夫」とは、妻の見方をせずに苦しめる夫のことを指す俗称です。
エネ夫の特徴
「エネ夫」とは、妻の味方をしないどころか、逆に妻を苦しめる行動や発言を行う夫のことを指すインターネット用語です。英語の「エネミー(enemy:敵)」という用語と、「夫」を掛け合わせた造語です。
本来の夫婦は協力し合って生活すべきであるにもかかわらず、あらゆる局面でエネミー(敵)となってしまう夫を妻が批判するためにインターネット掲示板上で作り出された言葉だと考えられています。
このようなエネ夫の特徴としては、妻の味方をしない・妻を攻撃する第三者の肩を持つといったものがあります。具体的なエネ夫の特徴としては、以下が挙げられます。
エネ夫の具体的な被害事例

- エネ夫による具体的な被害事例とは?
エネ夫によって妻はどのような被害を受けているのでしょうか?
ここでは、エネ夫による具体的な被害事例をご紹介していきます。
給料を好き勝手に使い十分な生活費を渡さない
この事例は、十分な稼ぎのある夫が、妻に十分な生活費を渡さないというエネ夫の事例です。
夫と結婚して10年以上になるAさん(40代・専業主婦)には、2人の子どもがいます。
結婚して以降、夫は妻と子どもの生活費として月々15万円を家庭に入れていました。
Aさんの夫は、運送会社を経営する社長で、年収は1000万円を超えていましたが、預貯金等の所在はAさんには秘密にされていました。
あるとき、Aさんは、子ども2人が大きくなり塾や習い事を始めるようになったのを機に、夫に生活費をもう5万円上げて欲しいとお願いしました。
しかし、Aさんの夫は、「今までの生活費の範囲でやりくりできるはずだ」「足りないのはお前が無駄遣いしているからだ」などとAさんを責めました。さらに、子どもを言い訳に金を無心していると非難されAさんは非常にショックを受けました。
姑の肩を持ち、妻を貶す
この事例は、同居している夫の母親(姑)の味方ばかりをして、妻を貶(けな)すというエネ夫の事例です。
Bさん(30代・パート勤務)は、結婚してから今まで、夫の母親(姑)と同居して生活しています。結婚当初は、短期間だけ同居する予定でしたが、夫婦の間に子どもが生まれてからは、育児と家事に忙しい毎日が続いており、ズルズルと姑との同居も続いています。
もともと、姑はBさんの言動に苦言を呈することが多く、子どもが生まれてからは、その子どもを独占してBさんの悪口を言ったり、のけ者扱いしたりすることが目立ち始めました。
Bさんは姑の嫌がらせを夫に何度も相談しましたが、まともに取り合ってくれませんでした。それどころか、「俺の親を悪く言うな」と怒鳴られてしまいました。
最近は、夫と姑が一緒になって、Bさんの人格を否定するような発言をしたり、バカにするような発言を繰り返したりするようになりました。
友人の前で妻を貶す
この事例は、ママ友たちの前で妻のことを貶(けな)すエネ夫の事例です。
Cさん(20代・会社員)は、夫と3年前に結婚し、保育所に通う子どもがいます。Cさんは、同じ保育園に子どもを通わせているママ友とも良好な関係を築いていました。
あるとき、保育園のイベントの準備を保護者も手伝うことがありました。普段は忙しい夫もその日は準備に参加していました。夫は、保護者の中でもリーダー格で、テキパキ指示を飛ばし準備をするママ友のことを褒めちぎり、具体例をたくさん出して妻Cさんが「何もできない」ことをバカにし続けました。
それ以降、夫は他人の前で妻Cさんのことをバカにする発言が当たり前になりました。そのような発言をやめて欲しいというCさんに対しても、「自覚がないのは重症だ」などという始末でした。
Cさんはこのような夫の言動にショックを受けて、夫婦関係を続けられる自信をなくしてしまいました。
エネ夫の被害に遭っている妻がとるべき対処法

- エネ夫の被害に遭っている妻がとるべき対処法とは?
- エネ夫に対して慰謝料・離婚を請求できる可能性がある
エネ夫の被害を受けている場合、妻はどのように対処すればいいのでしょうか。
事案によっては、夫に対して離婚や慰謝料を請求できる可能性があります。
エネ夫との離婚は可能?
夫婦は話し合いによって離婚をすることができます(協議離婚)。しかし、エネ夫は自分のしている行為に妻が深く傷ついていることに気づいていない可能性があります。
話し合いで離婚にエネ夫が応じない場合には、離婚調停・審判を申立てることになります(調停離婚・審判離婚)。
調停手続きとは、夫婦の間に家庭裁判所の調停委員会が入って、離婚について話し合いを行う手続きです。もし、調停・審判によっても離婚が成立しない場合には、離婚訴訟を提起する必要があります(裁判離婚)。
裁判離婚を請求する場合には、民法に規定された5つの離婚理由(法定離婚事由)のいずれかに該当していなければなりません。
エネ夫の場合には、「悪意の遺棄」や「婚姻を継続し難い重大な事由」という離婚事由に該当している可能性があります。
正当な理由がないにもかかわらず、妻に対して生活費を渡さないエネ夫は、「悪意の遺棄」と評価される可能性があります。また、姑やママ友など第三者の味方ばかりして、妻の人格否定を繰り返す場合には、これ以上夫婦関係を継続することが期待できないほどに関係が破綻していると評価される可能性もあります。
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エネ夫に対して慰謝料は請求できる?
単に夫が妻の見方をしてくれない・妻の人格を否定する発言をするという程度では、慰謝料を請求することは難しいでしょう。
しかし、エネ夫による嫌がらせの結果、適応障害やパニック障害などの精神疾患を負った場合には、夫による虐待を理由に慰謝料を請求できる可能性があります。
夫による精神的な虐待が原因で心療内科や精神科で診断を受けた場合には、必ず医師に診断書を書いてもらうようにしてください。医師による診断を受けたことと、診断書に「夫による精神的な虐待と訴えている」などと原因が記載されている場合には、夫の不法行為を立証するのに非常に有効な証拠となります。
弁護士に相談する
エネ夫に対して、離婚や慰謝料の請求を考えている場合には、夫婦間トラブルに詳しい弁護士に相談してください。行為だけでは、法定離婚事由該当性や、不法行為該当性を立証することは難しい可能性があります。
ただし、弁護士が当事者の間に入って交渉することで、話し合いによって離婚や慰謝料について合意できる可能性もあります。夫のエネ夫行為が具体的にどのようなもので、実際にご自身がどのような被害を受けているのかによって、対応の方針は異なることになります。
そのため、エネ夫によって苦しめられている場合には、一度、離婚問題に強い弁護士に相談してアドバイスを受けられることをおすすめします
エネ夫へ仕返ししてもよい?

- エネ夫に仕返しがしたい場合はどうすればいいのか?
これまでひどい目に遭わされてきたことから、エネ夫に復讐してやりたいのですが?
エネ夫に対して不当な方法で復讐することは避けるべきでしょう。
これまで、エネ夫に苦しめられてきた妻の中には、エネ夫に仕返しして復讐したいという方も少なくありません。
しかし、エネ夫に対して、同じような方法で仕返しする行為は控えるべきです。仕返しをしたからといって、事態が解決するとは限りません。むしろ、感情に任せて事態が悪化することで事態がより複雑化するおそれもあります。
エネ夫に対して、適切な仕返しとなるのは、「縁を切ること」です。
別居して生活したり、実家に帰えったりする方法もありますが、最終的には離婚を突き付けることがもっとも正攻法の仕返しになるはずです。
お一人で悩まず、エネ夫と縁を切って新しい人生を歩み始めるために、法律の専門家である弁護士に一度相談されることをおすすめします。
まとめ
以上、エネ夫とは、妻の味方をしないどころか、逆に妻を苦しめる行動や発言を行う夫のことを指します。エネ夫の被害を受けている場合、事案によっては離婚や慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし、エネ夫の被害と言っても様々なので、ご自身の場合にどのような対応が取れるのか分からないという場合には、まずは弁護士に相談するようにしてください。