不倫の誓約書のテンプレート、作成するメリット・注意点などを解説いたします。
ざっくりポイント
  • 不倫の誓約書は、不倫をした配偶者や不倫相手に書いてもらう書面。内容は相手と取り決める
  • 慰謝料について記載している場合は、公正証書に残して「強制執行認諾文言」を入れると支払いが滞ったときに強制執行が可能に
  • 内容によっては無効になってしまう恐れがあるため、気になる方は弁護士に相談を

目次

【Cross Talk 】不倫の誓約書を書かせたい!

夫が不倫しました。離婚はしませんが、もう不倫しないという誓約書を書かせたいです。

不貞行為の事実を認めること、今後不倫はしないことに加えて約束を破ったときのペナルティも記載しておくことをおすすめします。

詳しく教えてください!

不倫の誓約書には何を記載するのか、テンプレート、作成するメリット・注意点などを解説していきます。

不倫をした配偶者や不倫相手に書かせる誓約書は、不倫をした事実を認めること、二度と連絡・接触しないことなど当事者間で取り決めた事柄を記載できます。
しかし、内容が社会通念上不可能または不適切と思われる、公序良俗に違反する場合は効力を生じません。
今回は不倫の誓約書に記載することの例、テンプレート、作成するメリット・注意点などを解説していきます。

不倫の誓約書に記載する事項とテンプレート、念書・示談書との違い

知っておきたい離婚のポイント
  • 不倫の誓約書は、当事者間で話し合い不貞行為の事実を認める、関係を解消する、慰謝料請求や約束を破ったときの違約金について記載できる
  • 内容によっては効力を生じないこともあるので、気になる方は弁護士に相談を

誓約書に「もう不倫しない」と書いたら、抑止力になるでしょうか?

抑止力にはなるかもしれません。しかし、実際に不倫しないかは相手のモラルの問題なので何とも言えません。約束を破ったときのために違約金の支払いについて記載をするという方法もあります。

不倫の誓約書とは?念書・示談書との違い

不倫の誓約書は、不倫をした配偶者や不倫相手との間で合意した(誓約した)内容を書面化したものです。
内容は当事者間で取り決めますが、主に以下のような事項を記載します。

  • 不倫が事実であること、不倫の内容
  • 不倫関係を解消すること
  • 慰謝料を請求する場合は慰謝料の額・支払時期など
  • 再び不倫をした場合の違約金・損害賠償など
  • 約束した内容を書面化することで、いざというときに証拠として役立つ可能性があります。
    「言った」「言わない」のトラブルを避けることもできるでしょう。

    なお誓約書を「念書」「示談書」「合意書」と呼ぶことがありますが、重要なのは題名よりも内容ですので、誓約書に示談について取り決めた内容を記載することも可能です。

    不倫の誓約書に記載する事項・テンプレート

    誓約書のテンプレートを見てみましょう。
    今回のテンプレートでは、
    甲…不倫した配偶者、乙…不倫された配偶者、丙…不倫相手
    という関係において、甲と丙が肉体関係をもった(不貞行為をした)状況で、甲乙夫婦と丙が誓約書を作成した場面を想定しています。

    誓約書
    甲、乙及び丙は、甲と丙の不貞行為について以下のとおり誓約した。

    1.甲の不貞行為について
    甲と丙は、○○年〇月から〇〇年〇月の間、甲乙の住居や△県△市のラブホテルなどで複数回不貞行為を行った事実(以下、「本件不貞行為」という。)を認め、以下のことを約束する。

    (ア) 本件不貞行為の慰謝料として、甲は乙に対し金○○円を支払う義務があることを認める。
    甲は金○○円を、□年□月□日までに乙の指定する以下の口座に一括で振り込む方法で支払う。振込手数料は甲が負担する。
    【振込先口座】
    ○○銀行××支店
    口座番号 1111111 口座種別 普通預金
    口座名義 □□□□
    (イ) 甲と丙は、本件不貞行為について深く反省し、乙に対して真摯に謝罪する
    (ウ) 甲、乙、丙は、本件について第三者に口外しない。
    (エ) 丙は、甲及び乙に、メール・SNS・手紙・対面など手段を問わず連絡・接触しない。

    2. 関係の清算
    甲と丙は、甲丙間の交際関係を△△年□月□日に終了し、二度と会わないことを誓約する。

    3.違反した場合
    甲が本合意書の記載事項に違反した場合、甲は、乙に対し、違約金として金○○円を支払うことを約束する。

    本誓約書に記載した内容を証するため、本誓約書を3通作成し各自1通を保有する。

    ○○年〇月〇日

    住所:
    (署名・印)

    住所:
    (署名・印)

    住所:
    (署名・印)

    上記はあくまで一例なので、合意ができれば異なる内容にしても構いません。
    ただし、社会通念上不可能または不適切と思われる内容、公序良俗に違反する場合は、誓約書を作成しても無効となる可能性があります。例えば1時間に1回は行動を報告する、24時間GPS機能付きのスマートフォンを身につける、違約金を法外な金額に設定するといった内容です。
    無効になることを避けつつ誓約書を作成したい方は、事前に弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

    不倫の誓約書は、不倫相手ではなく配偶者に書かせる場合が多い

    不倫の誓約書は、多くの場合不倫相手ではなく配偶者に書かせる事例が多いです。
    配偶者と不倫相手とは今後連絡・接触しない旨を記載しましょう。

    慰謝料については、不倫相手にも請求できますがいわゆる「二重取り」は認められておらず金額が2倍になる訳ではありません。しかし相手が任意の話し合いで合意したときには、指定した金額を慰謝料として受け取ることが可能です。

    配偶者と離婚しないことを選んだ場合は、今後配偶者とどのように信頼関係を再構築するかを重点に置き、内容を検討しましょう。

    不倫の誓約書を作成するメリット・注意点

    知っておきたい離婚のポイント
    • 不倫の誓約書を作成することで、いざというときに証拠として役立つ可能性がある
    • 慰謝料や違約金に関して取り決めた場合は、公正証書に「強制執行認諾文言」を入れることで強制執行の手続きが可能に

    慰謝料について記載しても良いですか?

    はい、もちろんです。相手の支払いが滞った場合に備えて、公正証書に「強制執行認諾文言」を入れると強制執行の手続きが可能になります。

    不倫の誓約書を作成するメリット

    不倫の誓約書を作成することで、いざというときに証拠として役立つことが期待できます。
    また誓約書に署名・押印することで、配偶者や不倫相手にとって抑止力となる可能性があります。

    不倫の誓約書を作成する際の注意点

    誓約書を作成することで、配偶者や不倫相手にとって抑止力になることが期待できますが、相手が必ず約束を守るとはかぎりません。

    特に、金銭の支払が滞った場合には、財産の差押え等の強制執行をしたいと考えるかもしれません。
    ただし、強制執行をするには、単に誓約書を作るだけでなく、強制執行を受けることを認める内容を含む公正証書で書面を作成する必要があります。

    公正証書とは、依頼により公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書です。※1
    公正証書に、取り決めた内容や支払義務を負う方の支払いが滞った場合に「強制執行を受けることを認諾する」という「強制執行認諾文言」を記載することで強制執行の手続きが可能となります。

    誓約書の内容が、法的に無効にならないように注意を

    誓約書の内容が違法である、慰謝料があまりにも相場とかけ離れている場合などに無効になる恐れがあります。

    お困りの方は弁護士に相談を

    法的に実効性のある不倫の誓約書を作成したい、有利に話し合いを進めたいという方は弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。法律の観点からアドバイスや対処法を聞くことができます。

    まとめ

    不倫の誓約書のテンプレートや作成するメリット・注意点などを解説しました。
    誓約書や示談書を作成したい方、慰謝料で相手と揉めている方は弁護士に相談することをおすすめします。
    まずは無料相談を検討してみましょう。