SNSでの不倫をほのめかすやり取りをもとに慰謝料請求できるのか、解説いたします。
ざっくりポイント
  • SNS上の不倫の証拠になるものの例は、2人でホテルに出入りする写真・性行為があったことが客観的に分かるメッセージのやり取りなど
  • SNS上で誰と誰がやり取りしていたか、送信日時なども分かるように証拠を集める必要がある
  • 配偶者のID・パスワードでSNSにログインすることは不正アクセス禁止法に抵触する可能性があるため要注意

目次

【Cross Talk 】SNSで配偶者が不倫をほのめかす投稿をしていた。どうすれば良い?

夫のSNSで、夫と見知らぬ女性がよりそっている写真を見つけてしまいました。もし不倫しているのであれば離婚したいと思っています。

まず、SNSのアカウントの持ち主が本当に夫のものか、確認する必要があります。そして不貞行為とは肉体関係を持つことを指しますので、男女がよりそっている写真だけでは立証が難しいといえます。様子を見ながら証拠を集めていきましょう。

詳しく教えてください!

SNS上で不倫の証拠を集める方法と、慰謝料請求について解説していきます。

SNSは公開設定にしていれば誰でも閲覧できますので、不倫の証拠を集めるために有効なツールとなる可能性があります。
配偶者を尾行して写真を撮るといった方法に比べて手間がかかりませんが、アカウントの持ち主が配偶者もしくは不倫相手であることが分かり、2人が肉体関係にあることが明らかになる写真・メッセージのやり取りなどを見つける必要があります。
不貞行為に該当する事例と該当しない事例、証拠として認められるやり取り、慰謝料請求について解説していきます。

SNSでの不倫をほのめかすやり取りは不貞行為の証拠になる?

知っておきたい離婚のポイント
  • 2人でホテルに出入りしている写真、泊まりがある旅行など、不貞行為があったことと推測される投稿などが証拠になる可能性がある
  • 配偶者に伝えると証拠を隠してしまう恐れがあるため、まずは証拠を集める

どのようなSNSでの投稿が不倫の証拠になるのでしょうか?

例えば2人でホテルに出入りする写真、性行為があったことをほのめかす文章などが証拠となる可能性があります。メッセージのやり取りも内容によっては不貞行為の証拠となるでしょう。

不貞行為に該当する事例と該当しない事例

不貞行為とは、自分の意思で配偶者ではない者と肉体関係を持つことです。

キスやハグ、手をつなぐといった行為だけでは、客観的に不貞行為と認められるのが困難となります。ただし、頻繁に2人で会い夫婦関係を破綻させた場合は、慰謝料請求が認められる可能性もあります。

SNS上では、性行為があったことが分かる文章、2人でホテルに出入りしている写真、泊まりがある旅行の写真など、不貞行為があったことが推測される投稿が証拠になる可能性があります。
ただし、SNSの場合、匿名のユーザーが多いため、アカウントの所有者が配偶者または不倫相手であることも証明する必要があります。

一方で、デートをした、手をつないだなどの内容だけでは、不貞行為があったと認められる可能性は低くなるでしょう。

配偶者もしくは不倫相手のものと思われるSNSを見つけた場合、まずはアカウントの所有者が本人であることが分かる投稿、不貞行為の証拠となる投稿などを集めましょう。

証拠として認められるSNSでのやり取りとは?

証拠として認められる可能性が高いSNSでのやり取りとしては、以下のものが挙げられます。

  • ホテルに出入りする写真
  • 不貞行為があったことが分かるメッセージのやり取り例:「○○ホテルに○時にしよう」など
  • 性行為があった事実が分かる画像・動画・音声(日時などがはっきりしている)
  • ホテルや不倫相手の家に宿泊した事実が分かる画像・動画・音声(日時などがはっきりしている)

「今日は最高だった」「会いたい」などの内容では、客観的に見て性行為をしたことが明らかではないため証拠力が弱いかもしれませんが、文脈が分かるようにスクリーンショットで画像を保存し、他の証拠とあわせて専門家に相談してみましょう。
他の証拠と組み合わせることで証拠力が高くなる可能性があります。

慰謝料請求する場合に証拠としてSNSのやり取りを収集する方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 不倫相手に慰謝料を請求する場合には、既婚者であると知っていた(故意)もしくは明らかに分かる状況なのにそれを見落としていた(過失)といった要件を満たす必要がある
  • 不正アクセスなどの違法行為は避ける。詳しくは専門家に相談を

慰謝料の請求で、SNSの画像やメッセージのやり取りは証拠になりますか?

不貞行為をしたことが分かる内容であり、端末・アカウントの持ち主などが明らかであれば有効な証拠となるでしょう。

端末の持ち主、送信日時などが分かるように証拠を集める

SNSでのやり取りで証拠を集める場合、ほとんどの場合ではスマートフォンやタブレットを利用することになるでしょう。集めた証拠は、スマートフォンやタブレットの端末の持ち主が分かるようにしておきましょう。端末も撮影しておくことで、客観的に誰の端末にあった写真なのか、誰の端末からメッセージが送信されたのかなどが分かるようになります。

メッセージでは、やり取りしている2人が誰なのか、送信日時はいつなのかが分かることが望ましいです。前後のやり取りなども保存しておきましょう。

なお、不貞行為による慰謝料請求は民法709条※1の「不法行為による損害賠償」として請求できます。

第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

配偶者は自身が既婚者だということをもちろん知っているため、「故意」によって他人の権利・保護される利益を侵害したとみなされるでしょう。

不倫相手に慰謝料請求をしたい場合には、不倫相手が「故意または過失」によって、夫婦関係を破綻させた場合に請求が可能です。

不倫相手が、配偶者が既婚者だと知っていた場合や、例えば配偶者が結婚指輪をしていた、妻や子どもの話をしていたなど、既婚者であることが明らかであるにもかかわらずそれを見落としていたといえる場合には、慰謝料を請求できます。

ただし、不倫相手に慰謝料を請求しても、金額が二倍になるわけではありません。

また、不倫をする前から夫婦関係が破綻していた(長期間別居をしていたなど)場合では、円満な婚姻生活を送る権利を侵害されていないため、慰謝料の請求は認められない場合があります。

SNSで不倫を立証するためのポイント

SNSで不倫を立証するための主なポイントは以下の通りです。

  • SNSで誰と誰がやり取りしているかがが分かる
  • 特定の相手とホテルにいたことが分かる写真などがある
  • メッセージのやり取りで不貞行為があったことが明らかである

SNSは不特定多数の人が投稿できるツールですので、アカウントの持ち主が誰で、やり取りしている相手は誰なのかを明らかにする必要があります。

メッセージでのやり取りは、配偶者と不倫相手のアカウント同士で不貞行為があったことが分かる内容であれば、証拠力が高いでしょう。

不正アクセスなど違法行為は避ける

証拠を集めるために、配偶者のID・パスワードでSNSにログインする行為は不正アクセス禁止法※2に抵触する恐れがあります。ログインをしてデータを自分のスマートフォンなどに転送する行為も同様です。
もっとも、既に端末に保存されているデータを閲覧することは、不正アクセスには該当しません。
そのため、証拠となるデータは、端末ごと自身のスマートフォンなどで撮影して残しておきましょう。

まとめ

SNSの投稿やメッセージのやり取りは、場合によっては有力な証拠となる可能性があります。
ただし、証拠として有効であるか、慰謝料を請求できる状況であるかなどは判断が難しいため、専門家に相談することをおすすめいたします。不倫や離婚問題に詳しい弁護士に相談すると、対処法やアドバイスをもらうことができるでしょう。