片方が不貞行為を認めない場合の対処法を解説いたします。
ざっくりポイント
  • 片方が不貞行為を認めない場合、証拠を集め客観的に証明する
  • 不貞行為は法定離婚事由であり離婚、慰謝料の請求ができる
  • まずは証拠を集め、離婚に強い弁護士に相談を

目次

【Cross Talk 】片方が不貞行為を認めない場合にはどうすれば良い?

配偶者のスマートフォンを見たところ、メッセージアプリで不貞行為が発覚しました。しかし配偶者は認めません。どうすれば良いでしょうか?

まずは証拠を集めましょう。メッセージアプリの履歴を保存し、他に証拠がないかチェックします。

詳しく教えてください!

片方が不貞行為を認めない場合の対処法、慰謝料請求について解説していきます。

不貞行為をしていることが分かったものの、配偶者もしくは不倫相手が不貞行為を認めない場合には一体どうすれば良いのでしょうか?
まずは不貞行為の証拠を集めましょう。慰謝料を請求したい場合には話し合う、もしくは調停を申し立てる必要があります。
不貞行為の定義と証拠になるもの、離婚と慰謝料請求の方法などを解説していきます。

不貞行為を立証するための方法とは

知っておきたい離婚のポイント
  • まずは不貞行為の証拠を集める。ホテルの領収書や不貞行為をしていることが分かるメール・音声・動画などが証拠となる
  • 不貞行為が立証できると、離婚と慰謝料請求が可能になる

不貞行為の証拠となるものは何ですか?

ラブホテルに出入りする写真や不貞行為の事実が分かるメールや写真・動画・メッセージアプリの履歴、ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細などがあげられます。

1)不貞行為とは?証拠になるもの
不貞行為とは、既婚者が自分の意思で異性と性的関係をもつことです。
2人で会っており、キスやハグはしているものの性的関係がない場合は不貞行為とはみなされない可能性が高いでしょう。
性犯罪の被害に遭った場合は、自分の意思ではないため不貞行為ではありません。

不貞行為の証拠になるものとしては、ラブホテルに出入りする写真や浮気相手からのメールや写真・動画・メッセージアプリの履歴、ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細などがあげられます。

ただし,配偶者のスマートフォンをチェックし,メッセージアプリのログインパスワード等を勝手に使用し,メッセージアプリの内容を確認した場合,「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」※2に抵触する恐れがありますので注意が必要です。
不利になることがありますので慎重に調査しましょう。お金はかかりますが、探偵事務所に依頼するという方法もあります。

直接的に不貞行為があることが分かるものはもちろん、間接的にほのめかすものも証拠となる可能性があります。

証拠がない場合には不貞行為を理由とした離婚や慰謝料請求は認められませんので,可能な限り、
配偶者の外泊した日時や帰宅時間を記録としてつけておきましょう。

2)不貞行為は法定離婚事由となり離婚・慰謝料請求ができる
不貞行為は民法770条の「法定離婚事由」に該当します。

第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

法定離婚事由とは、離婚裁判になった場合に離婚が認められる事由です。
不貞行為が立証されると、離婚ができ慰謝料を請求できます。
慰謝料は民法709条の「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」という不法行為による損害賠償を指します。

不貞行為により夫婦関係が破綻した場合に権利が侵害されたとみなされます。
もっとも,数年間夫婦間で会話がなく,長期間別居しているといった,既に夫婦関係が破綻している状況で相手方が不貞をした場合,侵害される夫婦関係が観念されないため,慰謝料を請求することは困難となります。

相手方が不貞行為を認めない場合の対策

知っておきたい離婚のポイント
  • 慰謝料は配偶者と不倫相手に請求できるが、金額が2倍にはなるわけではない
  • できる限り証拠を集め、離婚問題に詳しい弁護士に相談を

不倫相手は不貞行為を認めています。配偶者ではなく、不倫相手に慰謝料を請求できますか?

請求できます。しかし、不倫相手が既婚者だと知らなかった場合や既に夫婦関係が破綻している場合では請求が困難になるでしょう。

不貞行為の慰謝料は誰に請求する?3つのパターン

不貞行為は、基本的に配偶者と不倫相手の連帯責任となります。
慰謝料も連帯で請求は可能ですが、金額が2倍になるわけではありません。

慰謝料を請求する場合は(1)2人に慰謝料の合計を請求する、(2)配偶者または不倫相手のどちらかに全額を請求する、(3)配偶者と不倫相手それぞれに請求するという3つのパターンがあります。

なお不倫相手に対して配偶者が独身と偽っていた場合には慰謝料請求が困難になります。
不倫相手が「既に夫婦関係は破綻していると聞いていた」と主張する場合もあるかもしれません。
例えば長年に渡って別居している場合では夫婦関係が破綻していたといえますが、同居して夫婦の会話がある場合には破綻しているとは言い難いでしょう。

慰謝料請求の期限は、不貞行為の事実と不倫相手を知ってから3年以内です。

証拠を収集し、弁護士に相談を

相手方が不貞行為を認めていない場合には、まず証拠を集めましょう。
証拠が既にある場合には、配偶者や不倫相手と交渉し慰謝料を請求します。話し合いが成立しない場合には調停や裁判の手続きを行います。

不倫相手もしくは配偶者が不貞行為を認めない場合、まずは弁護士に相談してみるという方法もあります。
離婚問題に詳しい弁護士のアドバイスにより、自分では証拠と思っていなかったもので不貞行為が立証できる可能性があります。また法律的な観点からの対処法を知ることもできます。
任意の話し合いで代理人として交渉してもらうことも可能です。

まとめ

不貞行為を相手方が認めない場合には、証拠を集め客観的に立証することで離婚や慰謝料請求が可能です。
証拠が見つからない場合には、探偵事務所に依頼する、弁護士に相談するなどの方法があります。
慰謝料請求では「配偶者や不倫相手と顔をあわせたくない」という場合が多いでしょう。
弁護士に代理人として交渉してもらうことが可能ですので、悩んでいる方はまず弁護士に相談をしてみてはいかがでしょうか。