夫が他の女の家に出入りしていることは不貞行為にあたる?
ざっくりポイント
  • 家の出入りが不貞行為になる場合とは?
  • 家の出入りで不貞行為を主張するためのポイントとは?
  • 家の出入りで不貞行為を主張する場合には弁護士に相談すべき

目次

【Cross Talk 】家の出入りだけで不貞行為と言える場合もある

夫が他の女性の家に出入りしている場合、不貞行為といえるのでしょうか。

家の出入りが不貞行為と評価される場合があります。

家の出入りと不貞行為について詳しく教えてください。

家の出入りでも不貞行為を主張できる場合がある

夫が他の女性の家に出入りしている場合、不貞行為として責任追及できるのでしょうか。
家の出入りがある場合、一定の場合には、不貞行為に該当していると評価される可能性があります。
それでは、不貞行為となるのはどのような場合なのでしょうか。また家の出入りで不貞行為を主張する際のポイントはどこなのでしょうか。
この記事では、上記のような疑問点について、弁護士が解説していきます。

家の出入りだけでも不貞行為になるか?

知っておきたい離婚のポイント
  • 家の出入りが不貞行為となる場合は?
  • 家の出入りが不貞行為とならない場合は?

家の出入りがあれば不貞行為と言えるのでしょうか?

家の出入りが不貞行為となる場合とならない場合がありますので、ここで解説します。

不貞行為とは?

そもそも、「不貞行為」とは、どのようなものなのでしょうか。

不貞行為とは、配偶者以外の第三者と自由な意思で性的な関係を持つことを指します。
そのため、不貞行為に該当するためには、性的な関係(肉体関係)を持つことが条件となります。性行為や性交類似行為(口腔性交・肛門性交・手淫など)がなければ不貞行為とはいえません。例えば、食事やデート、ショッピングなどをしただけでは、「性的な関係を持った」とは言えませんので、不貞行為には該当しません。

さらに、第三者との性行為は自由な意思で行わなければなりません。一方が性行為に同意していないにも関わらず無理やり性行為をした場合には、同意していない相手に対して不貞行為責任を問うことはできません。例えば、夫が別の女性を無理やり強姦した場合、相手の女性も被害者であり、この場合、不貞行為の責任を負いません。

それでは、家の出入りがある場合には、不貞行為に該当するのでしょうか。以下の通り、家の出入りがある場合に不貞行為に該当する場合と該当しない場合の両方があります。

家の出入りが不貞行為となる場合

不貞行為に該当するためには、第三者との肉体関係が確認あるいは推認される必要があります。
たとえ、異性の家であったとしても、単に家の出入りをしただけという場合、そのことから直ちに不貞行為があったとは推認することはできません。しかし、成人した男女が一定の条件のもとで家の出入りをしていた場合には、肉体関係を容易に推認できる可能性があります。

次のような場合、家の出入りによって不貞行為があったと判断される可能性が高くなります。

  • 2人きりの滞在がある場合
  • 複数回にわたり家の出入りがある場合
  • 宿泊や長期間の滞在を伴う出入りがある場合

性行為は通常、当事者だけの密室で行われるため、肉体関係を推認するためには、2人きりの滞在があれば家の出入りによって不貞行為を推認することが可能です。
また、一定の期間内に複数回にわたり、いずれかの家に出入りしている事情がある場合にも、肉体関係にあったことを推認することができます。特に、宿泊や長期間の滞在を伴う家の出入りがある場合には、性行為があったことを強く推認できることになります。

家の出入りが不貞行為にならない場合

異性の自宅を訪問したという事実があっても、必ず肉体関係を持っていることが推認されるわけではありません。男女が2人きりの空間であったとしても、「他の正当な理由により、自宅に立ち入っただけ」という可能性を排除できなければ、不貞行為を推認することは難しくなります。

不貞行為の可能性を否定することができる合理的な理由としては、以下のような状況が想定されます。

  • 現場に複数名いた場合
  • 短時間の訪問であった場合
  • 仕事上の顧客の自宅に訪問した場合
  • お礼や挨拶のための訪問である場合

他に家族や知人がいた場合には、性行為に及んだと推認することは難しくなります。また、数分の滞在時間である場合にも、そのことだけでは肉体関係を推認することは難しいでしょう。複数回の訪問があったり、他に当事者間に親密な関係があったりすることを証明しなければ、不貞があったとは言えません。
また、仕事の所用のため顧客の自宅を訪問したり、お世話になっている相手にお礼や挨拶に行ったりするということも考えられますが、具体的な状況次第では、不貞行為を否定できない場合もありえます。
少なくとも、「仕事のため」というためには、特定の相手のみならず、別の顧客に対しても同じように自宅に訪問していなければ、反論としては通用しないでしょう。

家の出入りで不貞行為を主張するためには?

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  • 家の出入りで不貞行為を主張するためのポイントとは?

家の出入りを不貞行為というためには、どうすればいいのでしょうか。

家の出入りを不貞行為と主張するためポイントについて解説していきます。

家の出入りの日時を詳細に記録する

家の出入りで不貞行為を主張するためには、家の出入りの日時や回数、滞在時間などを詳細に記録しておくことが重要です。

家の出入りの回数が多いほど、別の用事で訪問していたとは考えられなくなるため、回数を記録しておくことは重要です。また、滞在時間についても、肉体関係を証明するためには重要なポイントになります。自宅を訪れた時間と自宅から出て行った時間の両方を記録しておくことで滞在時間を示すことができます。できるだけ出入りの時間について詳細に記録しておきましょう。

家の出入りがわかる写真や動画を撮影する

家の出入りで不貞行為を主張する際は、家の出入りがわかる写真や動画を撮影することが重要です。

家の出入りを動画や写真に記録することができれば、もはや相手が反論することは容易ではなくなります。スマートフォンやデジタルカメラで撮影した場合には、日時も同時に記録できるため、家の出入りの事実・時間について、かなりの正確性で証拠とすることができます。

なお、有効な証拠とするためには、家の出入りをしている人物が特定されている必要があります。なぜなら、写っている人物の顔が特定されていない場合には、「人違いだ」と反論されてしまうおそれがあるからです。出入りの際の顔がはっきりと分からない場合には、その前後の服装や持ち物などから特定の人物として判別できることが重要となります。

その他、親密さが分かる証拠を収集する

証拠として家の出入りをしていることしか抑えられていない場合には、その他、不倫当事者間の親密さが分かる証拠を収集することもポイントです。

たとえば、不倫相手と頻繁にしているLINEやメールのやり取りや、通話中の録音データなどが挙げられます。それ単体としては、不貞行為を立証することができない証拠であっても、複数の証拠を組み合わせることで不貞行為を推認できる可能性があります。

当事者間の親密さがわかる証拠を示すことにより、ただ家に出入りしただけではないということに説得力が増し、裁判官などが不貞行為を推認しやすくなります。

家の出入りで不貞行為を主張する場合には弁護士に相談?

知っておきたい離婚のポイント
  • 家の出入りで不貞行為を主張する場合には、弁護士に相談すべき
  • 弁護士であれば独自の調査も可能

家の出入りで不貞行為を主張したい場合、弁護士に相談すべきなのでしょうか。

ここでは、弁護士に相談すべきメリットについて解説していきます。

家の出入りで不貞行為を主張する場合には、弁護士に相談するようにしてください。
そもそも、異性の家に出入りしているという事実だけでは、直ちに不貞行為を証明することはできないこともあります。そこで、不倫トラブルに詳しい弁護士に相談することで、不貞行為を立証するための方法や、その他有効な証拠の収集方法などについて、アドバイスを受けることができます。

さらに、配偶者や不倫相手と話し合いが必要となった場合に、話し合いを弁護士に任せることができることもメリットです。ご本人が直接連絡や交渉をする必要がないため、その点のストレスを軽減することができます。示談金や解決金などの和解条件についても、不倫問題を専門的に取り扱っている弁護士であれば、適切な内容で取りまとめてもらえます。

仮に、調停や訴訟などの裁判手続きに移行した場合であっても、弁護士であれば、引き続き代理人として対応を一任できます。

まとめ

以上のように、異性が家に出入りしている場合、不貞行為であると評価される可能性が高いでしょう。家の出入りを証明するための証拠やその他親密さを証明する証拠を組み合わせることによって、不貞行為を推認することができます。
そして、不貞をした配偶者や不倫相手に慰謝料を請求する場合には、弁護士に対応を依頼すべきでしょう。
配偶者との離婚する場合には、慰謝料の金額も高額化する可能性があります。
家の出入りで不貞行為を主張したいと考えている場合には、一度、不貞トラブルに詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。当事務所には、不貞トラブルに解決実績のある弁護士が在籍しておりますので、お気軽にご相談ください。