児童虐待を理由に離婚するには?
ざっくりポイント
  • 児童虐待とは?
  • 児童虐待は犯罪?
  • 児童虐待を理由に離婚する方法とは?

目次

【Cross Talk 】児童虐待を理由に離婚できますか?

子どもへの児童虐待を理由に離婚することはできますか?

児童虐待を理由に離婚することができます。

児童虐待と離婚について詳しく教えてください。

児童虐待を原因とする離婚するためには?

配偶者が子どもに虐待をしている場合、子どもを守るためにどうすればいいのでしょうか。
児童虐待を理由に離婚するにはどうすればいいのでしょうか。
この記事では、どのような行為が児童虐待に該当するのか、児童虐待を理由に離婚するにはどうすればいいのか等について弁護士が解説していきます。

児童虐待とは?

知っておきたい離婚のポイント
  • 児童虐待とは?
  • 児童虐待が犯罪となる場合

どのような行為が児童虐待となるのでしょうか?

児童虐待の種類について解説していきます。

児童虐待の種類 

児童虐待とは、保護者がその監護する児童(18歳未満)に行う虐待で、大別すると以下の4種類に分けることができます(児童虐待防止法第2条参照)。

  • 身体的虐待
  • 性的虐待
  • ネグレクト
  • 心理的虐待

「身体的虐待」とは、打撲傷、あざ(内出血)、骨折、たばこによる火傷など外傷を生じるような行為を指します。具体的に、児童の首を絞める、殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、熱湯をかける、布団蒸しにする、溺れさせる、逆さ吊りにする、戸外に締め出す、一室に拘束するなどの行為は身体的虐待に該当します。
打撲や熱傷などは外部から見てわかるため、周囲の大人が気づくことがあります。しかし、骨折や頭蓋内出血などは外部からは分かりにくいため、発覚が遅れる可能性があります。また、身体的虐待は栄養障害や体重増加不良、低身長などの影響を与えることがあります。

「性的虐待」とは、子どもへの性交・性的行為(教唆を含む)、子どもの性器を触る・子どもに性器を触らせる、子どもに性器や性交を見せる、子どもをポルノグラフィティの被写体とするなどの行為を指します。
性的虐待のほとんどが家庭内で行われるため、別の家族が気づいたり本人が周囲に相談したりすることでしか発覚しません。加害者が子どもに口封じをしている場合や、子どもが未成熟のため性的行為を理解できていないという場合もあります。
「ネグレクト」とは、子どもの健康・安全への配慮を怠っていること、子どもを遺棄したり置き去りにしたりする行為のことを指します。

具体的には、食事を与えない、重大な病気になっても病院に連れていかない、乳幼児を家に残したまま外出する、家や下着を不潔にするなどの行為はネグレクトに該当します。
最近では、親がパチンコや買い物をしている間、低年齢の子どもを自動車の中に放置したことで、子どもが熱中症になったり誘拐されたりする事件についても、ネグレクトという虐待の結果であると考えられています。

「心理的虐待」とは、言葉による脅迫や、子どもを無視し・拒否的な態度を示す、子どもの心や自尊心を傷つける言動、他の兄弟姉妹とは著しく差別的な扱いをするなどの行為を指します。
心理的な虐待によって、子どもはメンタルに不調を来すおそれがあります。心理的虐待により、第三者との対人関係を良好に構築できなかったり、自己に対する評価が著しく低くなったり、攻撃定・衝動的になり粗暴な行動をとるようになったりする可能性があります。

児童虐待は犯罪?

児童虐待行為の内容・態様によっては、犯罪に該当する可能性もあります。
児童に対して殴る・蹴るなどの有形力を行使した場合には暴行罪・傷害罪に問われる可能性があります。また、児童に対して性的・わいせつな行為をした場合には、不同意性交等罪・不同意わいせつ罪、児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われる可能性があります。
児童虐待が刑事事件に発展した場合には、警察による捜査が行われることになり、逮捕・起訴されて刑事罰が科されるおそれもあります。

児童虐待を理由に離婚する方法

知っておきたい離婚のポイント
  • 児童虐待を理由に離婚するには?
  • 離婚は弁護士に相談する

児童虐待を理由に離婚することはできますか?

ここでは、児童虐待を理由に離婚する方法を解説していきます。

児童虐待の証拠を集める

児童虐待をしている配偶者と離婚をするためには、児童虐待をしている証拠を確保しておくことが重要です。児童虐待をしている親は自らの行為を正当化することがあるため、児童虐待の主張を認めようとしない可能性があります。
また、児童虐待を理由に離婚する場合には、慰謝料を請求し、親権の獲得・面会交流の拒否などを主張していく必要がありますが、そのためにも虐待の事実を立証するための証拠が必要となります。
児童虐待があったことを証明することができる証拠としては、以下のようなものがあります。

  • 虐待の内容を記した日記やメモ
  • 児童相談所などへの相談内容・記録
  • 虐待により医療機関を受診した際の診断書
  • 虐待による怪我や症状の写真
  • 虐待の様子を記録した音声・動画データ など

子どもの身体に外傷が残るような虐待の場合には、診断書や写真などにより虐待は用意ですが、言葉や態度による虐待の場合には、立証が難しい可能性もあります。どのような証拠が立証のために有効となるのかは事案によって異なりますので、すみやかに弁護士に相談されることをおすすめします。

ただし、子どもへの虐待がひどく一刻も早く相手の元から離れなければならない場合には、子ども健康・安全を最優先してください。虐待の証拠を集めるために子どもを危険な状態に晒すことだけは絶対に避ける必要があります。

裁判所の離婚手続きを利用する

夫婦が離婚をするためには、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類の方法があります。
協議離婚は、夫婦が話し合いによって離婚することや離婚条件を決めることになるため、費用や面倒な手続きはありません。しかし、相手が児童虐待をするような場合に、スムーズに離婚協議を進めることは難しいでしょう。

協議離婚が難しい場合には、調停離婚・裁判離婚の方法によることになります。
調停離婚とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚する方法です。調停手続きでは、家庭裁判所の裁判官と調停委員が当事者の間に入り合意の道を探ることになります。調停手続きにおいて当事者は交代で調停委員に事情を話すことになるため、お互いに顔を合わすことなく手続きを進めることができます。

離婚調停が不成立になった場合には、離婚裁判を提起することになります。
離婚訴訟では、子どもに対する虐待があったことを原告側が主張・立証する必要があるため、医師による診断書や音声・動画データなどが非常に重要となってきます。離婚訴訟となった場合には、原告・被告双方が弁護士に依頼することが一般的であるため、離婚事件・児童虐待防止法などに詳しい弁護士に相談・依頼されることをおすすめします。

弁護士に依頼する

児童虐待を理由に離婚をしたい場合には、早い段階で弁護士に相談するようにしてください。
弁護士に相談すれば、必要な手続きや有効な証拠の収集方法などについて適切なアドバイスを受けることができます。また、相手との話し合いや交渉についても弁護士が代理して行ってくれるため、相手と直接会ったり、話し合ったりする必要はなくなります。

調停や訴訟に発展した場合であっても、弁護士であれば引き続き裁判対応を任せておくことができるため、本人の手続き的な負担や心理的な負担はかなり軽減されるはずです。

特に児童虐待を理由にする離婚の場合には、児童虐待防止法や一次避難所など親子を保護する制度について詳しい弁護士に相談・依頼することが重要となります。

まとめ

以上この記事では、児童虐待の種類や、児童虐待を理由とする離婚の方法などについて解説してきました。
離婚について悩まれている方や児童虐待に悩まれている方は、子どもの健康・安全を守るためにも、すみやかに弁護士の助けを借りるようにしてください。
弁護士に相談すれば、今後の方針やとるべき対応などについて、適切なアドバイス・サポートを受けられるはずです。